お客様との接点を増やすためのコツ
今回は「お客様との接点を増やすハイブリッド営業の鍵」についてお伝えします。
コロナ禍が始まった2020年以降、オンライン商談やハイブリッド営業(対面を主とした従来の営業活動に、デジタル技術の活用を加えた営業スタイルのこと)の概念は多くの人々に身近になっています。
しかし今回は、オンライン商談のテクニックについて語るわけではありません。重要なのは、「お客様との接点をどう増やすか」という点です。
年末年始になると、弊社も次年度の投資計画を練ります。弊社は12月決算なので新年度は1月から始まるわけですが、ここで注目したいのは「買う側」の心理です。弊社も最近、おおよそ1000万円分の発注を決定しました。これは買う側に立った時によく感じることなのですが、買う側の抱える課題やニーズが、営業の方にあまり伝わっていないことがあります。
言語化の敵は「時間がない」こと
ここで、買う側の心理を深掘りしてみたいと思います。
買う側としては困っていること、やりたいことが明確な場合もあれば、それが曖昧な場合もあります。「すごく困っているからこれが必要だ」という場合もあれば、「そんなに困っているわけじゃないけれど、良さそうだから買ってみようか」という場合もありますよね。
営業側に立った時にどちらのお客様の方が営業をしやすいかというと、すごく困っていたり、やりたいことが明確にあったりするお客様の方でしょう。
一方で顧客側に立った時、困っている度合いが高い場合もあれば、そもそも自分が困っていることややりたいことがまだ正確には言語化できていない場合もあります。困っている度合いが高くて言語化されている場合もあれば、言語化されていない場合もあります。
では、なぜ困っていることややりたいことを言語化できていないのでしょうか。それは多くの場合、「時間がないから」です。
予定が多数詰まっている中、会社の課題を整理する時間を確保するのは中々できません。実際問題として、多くのビジネスパーソンにとって会社の課題を整理する時間は少ないのではないでしょうか。
お客様のニーズを明確にする
このギャップを埋めるところに、営業が活躍できる場があります。
一度ですべてを解決するような営業は難しいですが、お客様と何度もコミュニケーションを取ることで、お客様の課題やニーズを徐々に明確にしていくことができます。商談だけでなく、翌日には電話で確認を取り、2日後くらいにはまたオンラインで話をする、といったようにこまめにコミュニケーションを取り続けることが重要です。
このようにしてお客様との関係性を深め、課題をしっかりと整理していく時間を作るのです。特に課題が明確で困っている度合いが高いお客様にとっては、これは非常に価値のある時間となります。ですから、営業はこのようなこまめなコミュニケーションを通じて、お客様との接点を増やしていくべきです。
費用対効果を重視するお客様は、さまざまな選択肢から最適な商品やサービスを探します。営業としては、その多数の選択肢から選ばれたいわけです。 弊社の「営業1万人調査」によると、目標達成の常連である営業でさえ、提案内容のみで差別化を図るのは極めて困難です。そのため、異なるアプローチでの差別化が求められます。その1つの方法として、お客様と頻繁にコミュニケーションを取ることが挙げられます。
速やかな対応や情報提供で関係性を深化させよう
お客様は忙しいのが現実です。そこで重要なのが、速やかな対応や定期的な情報提供で関係性を深化させることです。オンラインツールは、対面商談以外でお客様と接触する大きなチャンスです。電話やメールで効率よく情報を提供することで、お客様とのコミュニケーションが活発になります。
お客様が発注先を選択する際には、コミュニケーションが密な営業が優先される傾向にあります。特にお客様が困っているケースでは、お客様との接点が多いことがプラスに働きます。
そこで考慮すべきは、効率的な時間の使い方です。以前は60分の対面商談が一般的でしたが、30分のオンライン商談も効率的に感じられるケースが増えています。コロナ禍の影響で、30分のオンライン商談でさえも長いと感じ始めている方もいらっしゃいます。
そのため、5分や10分で必要なポイントを伝える短い電話は、多忙なお客様にとってもありがたい選択肢になるでしょう。短時間であれば、時間を見つけやすいというメリットもあります。 要するに、時代とお客様のニーズに合わせて、営業のアプローチを柔軟に変えることが成功の鍵なのです。
60分の対面商談から、5~10分の電話に
一般的に、特に若手の営業はお客様の貴重な時間を取ってしまうことに抵抗感を感じ、電話でアポイントを取ることに対して不安を抱いています。この問題に対する解決策として、弊社が研修やコンサルティングで提案するのは「短時間で効果的な情報提供を行う」ことです。
お客様も長時間の商談が無駄に終わるリスクを感じています。しかし、5~10分の電話ならば、時間の制約が働き、必要な情報の交換が効率的に行えます。
弊社の「営業1万人調査」によると、対面商談を主な手段としているお客様は約7割、Eメールは約6割、オンライン商談は約4割となっています。これを踏まえると、多様な商談手段を組み合わせる重要性が高まっているといえます。
チャットツールやショートメッセージも近年、使われ始めています。特にショートメッセージは読む確率が高く、情報がコンパクトにまとまるため、効果的なコミュニケーション手段といえるでしょう。特に忙しいビジネスパーソンにとっては、時間を効率的に使いながら必要な情報を得られる方法が求められています。