目標ハイ達成者は「対応力」と「レスポンス力」が高い
今回は「成果をあげる営業の強みの磨き方」についてお伝えします。
特に、自身のキャリアや将来の成長を見据える際、どのように強みを伸ばすかは重要なトピックです。
この話題は、部下やチームメンバーを育成・マネジメントしている方々にとっても有用です。なぜなら、チームメンバーの強みをどう活かし、伸ばしていくかは、マネジメントにおいても重要だからです。
弊社の「営業1万人調査」で、特に注目すべき点がいくつかありました。そのうちの1つは対応力です。目標ハイ達成者が特に高いスコアを示した項目として、対応力とレスポンス力がありました。この事実は、対応力やレスポンス力が目標達成に直結する重要な要素であることを示しています。
一方で、目標未達者にもこのスキルがないわけではありません。ただし、目標未達者には傾聴力や共感力が特に高いという点が見受けられました。この傾向から読み取れるのは、傾聴や共感も重要なスキルですが、それだけに依存していると、全体としてのパフォーマンスが低下する可能性があるということです。
値引きやキャンペーンは本質的な解決にならない
さらに、目標未達者は、よく値引きやキャンペーンを使って成約を追い求める傾向があります。目標ハイ達成者も値引きやキャンペーンはしますが、それ以外の武器も多く持っています。
また、資料作成力は目標未達者が上回っています。目標未達者にとって資料作成力は上位半分に入る項目です。一方で目標ハイ達成者にとって、資料作成力はなんと21項目中最下位だったのです。
これは、非常に興味深い結果です。
もちろん、資料はうまく作れるに越したことはありません。ですがその一方で、その資料に頼ったり、資料を自分の強みにしたりするとなると、どうしてもお客様との関わりの部分が希薄になってしまいやすいのです。資料を作るのにかかりきりになってお客様へのレスポンスが遅れてしまったりすると、受注には結びつきにくくなってしまいます。
では、どのようにして成果に結びつく強みを磨いたらいいのでしょうか?
それには、自信をつけるプロセスが必要です。
お客様からの感謝の言葉で自信を高めよう
ほとんどの人は最初から自信に溢れているわけではありません。弊社代表の高橋も、劣等感とコンプレックスに満ちた状態からスタートしました。高橋は、だからこそ自分が成功したと感じられる瞬間が非常に貴重だったと言います。
自分が成功したと感じられる瞬間を作るための1つの方法としては、お客様からの感謝の言葉を直接耳にする機会を作ることです。
具体的には、お客様から受注をいただいた後、そのお客様を訪問して感謝の言葉を聞く場を設けるのです。そうすることで、「お客様に喜ばれた」という体験ができるわけです。
このような瞬間を体験することで、営業は自分の仕事に自信を持ち、次第にそのスキルも磨かれていきます。最終的にはそのような体験が積み重なり、真に価値を提供できる営業へと成長していくのです。
「強み」の自覚がパフォーマンスの向上につながる
数年前、高橋はチームメンバーと一緒にお客様と会食をした際に、ある洞察を得ました。お客様が、そのメンバーがしたメールが素晴らしかったと評価してくれたのです。この一言が、メンバーに対して大きな影響を与えました。翌日からそのメンバーの行動が変わり、自信に満ちた営業活動を展開するようになったのです。
その結果、そのメンバーは営業経験が少ないにも関わらず、競争の激しいビジネスシーンでも成功を収めるようになっていきました。自分の強みを認識することで、自然とパフォーマンスが向上したのです。
営業であれ、マネジャーであれ、お客様からの感謝の言葉に耳を傾けることでそれが自信に繋がります。お客様からのフィードバックは貴重な資産です。お客様から直接感謝の言葉を聞く機会があれば、積極的にその場に参加することが重要です。
自分の強みを発見するためには、具体的な質問をすることが重要です。この点については、高橋が以前書いた『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版社)という本でも触れています。
言い換えれば、多くの人からフィードバックを集め、その中に共通する要素を見つけ出すのです。 このようにして、3人、4人、5人と多くの人から意見を聞くことで、自分自身の強みを確実に掴むことができます。そして、できるだけそのフィードバックをお客様との具体的なやりとりの中で獲得することが、今後の成長にとって非常に役立つ指針になるでしょう。