成果があがる営業組織を作りたい

2024.07.16

お客様の「不快指数」には3つの理由があった

お客様から返事がこない本当の理由と処方箋

お客様と連絡が取れなくなった時のアプローチ方法とは?

営業活動において、「お客様と連絡が取れなくなった」という悩みを聞くことがあります。そのような時、お客様はどのような状態にあるのでしょうか。今回はお客様との連絡が取れなくなった時のアプローチ方法についてお伝えします。

「連絡を遮断し、リマインドにも応えない」お客様の心

今回は「お客様と連絡が取りづらい案件のクロージング」についてお伝えします。

途中までいい感じに進んでいると思っていた案件で、「いきなりお客様と連絡が取れなくなった」「リマインドの連絡をしても返事がこない」という営業の悩みを聞くことがあります。 ここでは「連絡を遮断し、リマインドにも応じない」お客様の状況について「3つの壁」を乗り越えることが必要です。

まず「連絡を遮断し、リマインドにも応じない」お客様は、何らかの大きな社内状況の変化が起こっている可能性が高いです。多くの場合、具体的には以下の3つが発生していると考えられます。

1

社内状況の変化によって非常に忙しくなった

お客様からすれば「こっちはそれどころじゃなくて、とても忙しいんだ!」という心理があります。大抵の場合、その忙しさが発生した理由は突発的な(かつ、お客様ご本人にコントロールできない)要因であることが多いです。その段階で既に「不快指数」が非常に上がっているという事実を認識しておく必要があります。

2

その忙しさを説明する時間がない

「社内状況の突然の変化」を社外に説明するのは骨が折れる、ということです。社内状況については社外に出せることと出せないことがありますので(大抵は出せない情報が多いです)、それを社外の営業にわかりやすく説明するというのは相当にエネルギーがかかります。状況を説明するメールを1本書くのも憂鬱になるような状態です。

3

検討の優先順位が落ちたことを伝えるのが心苦しい

営業が「これまで良い感じに進んでいた」と思っている案件であればあるほど、その検討が暗礁に乗り上げていることを営業に伝えるのは心苦しくなる、ということです。どんな人でも、相手をがっかりさせたくはありません。お客様の心理からすれば、営業が悲しむ顔は見たくないのです。だから、どうしても営業への連絡がしづらくなってしまいます。

催促をする際は、「営業都合の連絡」は避ける

これらのポイントを理解した上で、避けるべき行動は以下の3つです。

お客様に催促をする際に避けるべき3つの行動

  • 「ご検討状況はいかがでしょうか」という単純なリマインド(営業側の都合だけが優先されてしまっています)
  • 「早くお返事頂けないと困ります」という類のクロージング(プレッシャーが逆効果に働いてしまいます)
  • 何回か電話して、つながらない状態を作ってしまう(折り返しの心理的負担が高まってしまいます)

まずはメールで、以下の3点について「理解しています」というメッセージを伝えるようにしましょう。

  • (お客様が悪いわけではなく)外的/会社の要因によって、急激な変化が起こったこと
  • お客様がそれによって忙しくなっていること
  • 検討ステータスもおそらく以前とは前提が変わっていること

さらにその上で、以下のメッセージを伝えます。

  • 私は個人的に、XX様と一緒にお仕事がしたい(感情)
  • それに、この提案は貴社に〜のメリットがある(論理)
  • だから、貴社のご事情に合わせて、もう1回、社内文脈上ご無理のない形で、プランを練り直したい(決意)

そして、それを読んで頂いているであろうタイミングで電話をしましょう。

それでも電話に出て頂けないときは、自分の上司に依頼して「先般より、当社の●●(←自分)がご負担をかけてしまっており、誠に恐縮です」というメールをお客様に送ってもらいましょう。そこまですると、お客様も「スルーはさすがに申し訳ないな」と思います。少なくとも、上司のメールに対しては返信がきます。

お客様とのコミュニケーションを途絶えさせない秘訣

「営業から追いかけられたくない」というお客様の傾向は、年々高まっています。

一因としては、新型コロナウイルスの影響でオンラインコミュニケーションが普及したことがあります。ウェビナーなどの手段が使えるようになった結果、営業とお客様の物理的・心理的な距離が広がってしまっています。それにより、お客様が落ち着いて検討したいという意向も強くなっています。逆に営業から見れば、お客様にシャットアウトされてしまうとクロージング率が低下してしまいます。

この状況を打開するポイントは、「お客様にどんな論点を残すか」ということです。例えば、100万円の商品を提案した場合、お客様が検討する論点は「この商品を100万円で買うか、買わないか」です。その判断基準があまりにもシンプルな場合、お客様は営業とのコミュニケーションが不要と感じる可能性が高まります。

要するに、問題が単純すぎると、「社内で検討しますのでお待ちください」と一旦連絡が途絶えてしまうケースが増えるわけです。

しかし、だからといってお客様にとって判断するのが複雑すぎる提案をするのは親切ではありません。そのため、営業としては「お客様にどのような論点で検討してもらいたいのか」を具体的に設計する必要があります。

お客様とどのような論点で議論するかを明確にする

弊社が手がけるビジネスは研修とコンサルティングです。この商材には、研修の「参加者」と「実施テーマ」の2つの主要な要素があります。資料だけで完璧に説明ができたとしても、お客様には「誰に研修を受けさせるか」と「どのテーマを選ぶか」について、検討する必要があります。

ここで重要なのは、お客様が自ら検討する「論点」が明確になると、相談や議論する余地が自然と生まれるという点です。

つまり、営業とお客様とがどのような論点で議論するかが明確になれば、より効果的なコミュニケーションが可能になるのです。この「議論の余地」をいかに設定するかは、商材によって異なりますが、それを考慮しないと、お客様も営業と意見を共有する動機が乏しくなってしまいます。

ポイントは、商材における「検討の余地」が何か、ということです。商品購入の判断基準が単純すぎると、お客様との接点が減少してしまいます。一方で、複雑すぎると、お客様が判断を下しにくくなってしまう危険性もあります。理想は、2つから3つの明確な論点が残り、それについて議論する余地がある状態です。

このバランスを見つけられるかどうかが、お客様と営業とが持続的にコミュニケーションを取るためのカギとなります。

コミュニケーションが途絶えがちになった時の救済法

しかし、そうはいってもお客様とのコミュニケーションが途絶えがちな状況に陥ることは営業にとっては避けられない現実です。その解決策として、弊社でよくしているのは「催促の匂いを100%消したお役立ちメールを送ること」です。

ここでいう「100%」というのは例えや比喩で言っているのではなく、「本当に100%消す」ということです。お客様からの返信を促すような表現は一切せず、お客様にとって有用な情報を提供するのです。

まず、催促というのは受けた側からすると嫌なものですし、催促する側にとっても心地いいものではありません。

「いつまでにお返事ください」「ご検討状況いかがですか」という催促メールを送り返事が返ってこないと、送る側も受ける側もお互いに苦しくなってきてしまいます。

お客様が返事をする「きっかけ」を作る

確かに営業としては催促の匂いを少し残したくなる心情があるかもしれません。ですが、少しでもそのようなニュアンスのあるメールを2回ぐらい送って返事が返ってこなくなってしまうと、営業にもお客様にもそこはかとない罪悪感のようなものが生まれてしまいます。

そうであれば完全に催促の匂いを100%消した全く関係のないお役立ち情報を送るようにしましょう。

お客様側にボールがあることは明らかなわけですから、お客様からの連絡を待ってる件には一切触れずに、単純なお役立ち情報を送るのです。実はその方が返信が返ってくる確率が上がります。純粋なお役立ちメールは相手にプレッシャーがかからないからです。

そのようなやりとりをしている中で、ふとした拍子に「そういえば先日の件、お待たせしてごめんなさい」という感じで連絡を送る、というのがお客様側からするとやりやすいのです。

営業都合でお客様側にプレッシャーをかけてしまうと、やはりなかなか物事は前に進みづらくなってしまいます。それを踏まえてどういうふうに商談を進めていくか、ということが今回のポイントです。

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