営業マネジャーのスキルを上げたい

2024.07.09

「みんなでロールプレイ」を優先すると社内に浸透しない?

ロールプレイの効果を最大化するための8つのポイント

効果的なロールプレイを営業組織に浸透させるには?

営業スキルを上げるにはロールプレイの実践が重要です。しかし、ロールプレイの重要性は感じているものの、優先順位が下がりがちな営業組織は多いです。今回は効果的なロールプレイの実践方法と、それを営業組織に浸透させるやり方についてお伝えします。

忙しい中でロールプレイの優先順位をどう上げるか

今回は「ロールプレイ練習の効果を上げる工夫」についてお伝えします。

「ロールプレイは重要だけれども、優先順位が下がりがち」という営業組織は多いです。しかし、効果を上げるためのポイントを的確に押さえれば、忙しい中でも実のあるロールプレイを行うことができます。以下は効果的なロールプレイを実践するための8つのポイントです。

効果的なロールプレイを実践するための8つのポイント

  • ①モジュール化
  • ②ゴール設定
  • ③チェックポイント
  • ④難易度設定
  • ⑤オブザーブ
  • ⑥軌道修正力
  • ⑦ローテーション
  • ⑧録画の記録

①モジュール化

自社の営業プロセスを細分化しておき、「商談のうちの一部分」だけでも練習可能なようにしておきます。特に新卒や若手の場合、どこができて、どこができていないかを具体化する必要があります。細かく分けておけば「ちょっと5分ロールプレイを行おうか」と気軽に実践できます。一度モジュール化しておくと、後々便利です。

②ゴール設定

多くのロールプレイは「話す練習」になりがちです。これだと、お客様との商談でも「(練習の成果を発揮して)一方的に話す営業」が育ってしまいます。たとえ5分のロールプレイであっても、双方向のやり取りを混ぜるようにし、ゴール(相手からどんな台詞が出てくる状態になったらいいのか)を明確にしましょう。

③チェックポイント

ゴールと共にチェックポイントを明確にしましょう。例えば「普段の商談では、間ができると沈黙を恐れて自分が話す割合が増えがちなので、間を恐れずお客様になるべく話して頂くようにする」といったものがチェックポイントになります。「普段の癖がこうだから、今回はここを意識する」ということを営業役がロールプレイを行う時に宣言します。

④難易度設定

本人にとってほどよい「接戦」レベルのロールプレイになることが望ましいです。易しすぎても、難しすぎても効果的な練習にはなりません。「やり方次第では前に進むが、言動を間違えてしまうと、うまく進まない」のが「接戦」です。お客様がどのぐらいアドリブを入れて揺さぶってくるかも含め、イメージをすり合わせておきましょう。

⑤オブザーブ

営業役とお客様役とだけで実施するより、「観察に徹する」役回りを入れておくのが効果的です。オブザーバーは非常に勉強になります。普段の営業活動では「観察に徹した同行」というのはやりづらいので、社内の練習だからこそオブザーブに集中できるということもあります。

⑥軌道修正力

「1回やって駄目出しされて終わり」のロールプレイが多いです。お客様役やオブザーバーからフィードバックをもらったら「その場で、アドバイスを活かしてすぐにやり直す」のが大事です。ここで軌道修正力を鍛えておけば、実際のお客様との間にズレが起こったときにそれに気づいて立て直すことができます。

⑦ローテーション

営業役・お客様役・オブザーバーという3つの役回りをローテーションしましょう。よくある構図は「新人はずっと営業役だけ」というものです。これだと、なかなか「気づきのアンテナ」が磨かれません。お客様役やオブザーバーをやるからこそ、色々な発見があります。営業役以外の目線を体験することが重要です。

⑧録画の記録

ロールプレイは記録を取っておきましょう。営業成績の良い人が営業役をやるときは、その動画を記録しておけば他のメンバーにとっても見本になります。さらに、新しいメンバーが入ってきたときに「誰がいつ頃にどのぐらいのレベルだったのか」の記録が残っていると、人材育成の観点からもプラスになります。

なぜ営業組織にロールプレイが広がらないのか?

多くの営業組織で共通して聞く話があります。それは「ロールプレイが重要であることは理解しているけれども、スタッフが忙しいために優先順位が下がってしまう」という問題です。この状況はまさに「鶏と卵」のような問題であり、ロールプレイが行われなければ成績が上がらず、成績が上がらないとロールプレイに取り組む時間が確保できません。

注意しなければならないのは、ロールプレイ自体が目的化してしまう点です。これが起きると、忙しい営業から見れば、貴重な時間が無駄にされると感じる可能性が高くなります。ロールプレイが目的化すると、基本的な業務に影響を与え、結果として成績が上がらないという悪循環に陥る可能性があります。

事実、高いレベルでお客様との説明、プレゼンテーション、ヒアリング、想定問答などができる営業は限られています。その結果、経営層や上級職から見れば、組織全体としては営業のスキルがまだ不足していると判断されがちです。そこで「ロールプレイを行うべきだ」という声が上がりますが、それがなかなか実施されないのです。

ロールプレイを否定されたら

一方、営業の中には「本当にロールプレイを行うことで成績が上がるのか?」と疑問を持っている人もいます。もしそのような疑問を営業が持っていたら、その営業はロールプレイに使う時間をお客様と過ごす時間に使う方が生産的だと考えるでしょう。

「ロールプレイをやったらうまくいくほど営業は甘くないんだ。だったらその時間を、お客様との時間に使わせてくれ」と言われてしまったら、それはもう「はい、わかりました」というふうに言わざるを得ないですよね。

「決してレベルとしては十分ではないのだけれども、一方でトレーニングもできない」というのが多くの営業組織が陥っている状態なのではないかと思います。

ロールプレイの成功事例を作る

では、何が解決の鍵なのでしょうか。そのポイントはただ1つ、「ロールプレイを行ったからうまくいった」という状態を作れるかどうか、です。

その際、妥協した方が良いポイントが1つあります。それは、「いきなりみんながロールプレイを行う状態を作ることは諦める」ということです。

なぜかというと、まずは「ロールプレイを行ったからうまくいった」という「ロールプレイを行なったことによる良い変化」を作るということが一番優先させるべきことだからです。

「ロールプレイを行なってもあんまり効果がないじゃないですか」という人を増やしてしまうと、その人たちはある意味で抵抗勢力になってしまうのです。そのため、まず何よりも優先するべきは「ロールプレイを行なったからうまくいった」という人を増やすことです。

多くの営業組織はこの順番を間違えてしまい、「みんながロールプレイを行う」という状態を先に作ろうとしてしまいます。それが多くの会社でロールプレイが上手く機能しない原因です。

実力者をロールプレイに加えよう

「ロールプレイを行なったからうまくいった」という状態を作るためには、それなりの実力者の人がそのロールプレイに加わっていることが必要になります。

そうすると、マネジャー側の高い成果を上げている人に参加してもらうことになります。すると、その人の貴重な戦力をロールプレイの時間に使うことによって、お客様向けの営業時間が減ってしまうという悩みが出てきます。

そうなった時に困らないように、ロールプレイは録画の記録を取っておきましょう。そうすれば、その実力者の方が入ったロールプレイが映像記録として残ります。そうすることでそれを教材として使ったり、他の人のレベルを上げていくということに役立てたりすることができます。

そこまで土台を作っておけば徐々に組織の展開というのがしやすくなってくるでしょう。

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