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2025.02.13

保守的な決裁者は「現状を変えたくない」というわけではない

サービスが良くても提案が通らない理由

保守的な決裁者の合意を得るには?

新規提案を行う際、担当者は賛同しているものの決裁者が保守的で「今のままでよい」と言われてしまう営業は多いようです。そのような場合、決裁者が「今のやり方を維持している理由」を理解することが重要です。今回は提案において組織全体の合意を得る方法についてお伝えします。

新規提案における3つの落とし穴

新規提案を行う際、担当者は賛同しているものの決裁者が保守的で「今のままでよい」と言われてしまうことはよくあります。そのような場合、以下のような落とし穴があります。

1

安易に上司を同行させる

上司を同行させて担当者の上長を説得しようとするのはよくある手段です。しかし、「向こうも上司がくるので」と設定されたアポイントは決裁者も身構えます。営業側としては、「上司を連れて行った商談でうまく進まなかった」となるとそこで手詰まりになってしまいます。そのため、上司の同行訪問は勝算を立ててから設定しましょう。

2

限られた情報ルートで勝負する

担当者に対して「上司の方はどういう基準で判断されるのですか?」と聞くだけでは、「そうですね、上司は現状を変えたくないタイプで…」といった当たり障りのない回答しか得られないことが多いです。もしお客様の社内で他に接触できる人物がいるなら、なるべく複数の方向から情報収集を進めておくことが重要です。

3

「今のままでよい」お客様を論破しようとする

決裁者に「御社が変わるべき理由」を説得力のある論理で説明しても、相手に響かなければそこで終わってしまいます。ビジネスコミュニケーションの基本は「理解してから、理解される」の順番です。決裁者の個人的な目的を把握した上でアプローチするようにしましょう。

意外と盲点になりがちなのが「なぜ、決裁者は現状維持にこだわる(ように見える)のか」です。「現状維持=悪」という固定観念で商談に臨んでしまわないように注意しましょう。実際に話を聴いてみると「単に現状を変えたくないというわけではない(良くしたいとは思っている)」ということが多いです。

決裁者が「単に現状を変えたくないというわけではない(良くしたいとは思っている)」と思っていることが重要なヒントになります。そのような言葉が出てきたら「それはどういうことなのか?」「現状に対してどう良くしたいのか?」を丁寧に掘り下げましょう。「御社は変わらなければいけません」と説得するより、まずは相手に寄り添うことが重要です。

決裁者の個人的な目的を把握するまでの道のりは簡単ではありません。それ以前に担当者もきちんと味方につけておいた上で、色々な方面から情報を集めましょう。その際、「組織課題」という概念を意識しておくと良いでしょう。組織課題と各個人の個人的な目的が絡んだ全体像を理解できると糸口が見えてきます。

「今のやり方を維持している理由」を理解しよう

「良い提案なのに組織全体の承認を得られず進まない」というご相談は増えています。

近年ではAIやデジタル技術を活用した便利なサービスが増えました。製品やサービス自体には大きな自信があり、機能面でも実績面でも非常に優れています。大手企業にも導入され、品質、実績、価格のどれを取っても申し分ないです。そんな「やらない理由がない」と言えるほどのサービスが、お客様と商談を重ねる中で「良いですね」と好感触を得ても、そこから先の進展が見られないということが多々あるのです。

そのような悩みを持つ営業は増えています。そこで、そんな営業の商談の進め方をヒアリングし、簡単なロールプレイを通して確認してみると、よくあるパターンが見えてきます。それは、お客様に対して「こういう課題はありませんか?」と質問し、「●●が非効率」「●●に無駄が多い」「●●ができていない」といった課題を引き出して、その課題を自社のソリューションで解決するというストーリー展開のパターンです。

このアプローチは理にかなっており、サービスというのはもともと課題を解決するために開発されたものなので話の展開の仕方としては「正しい」のですが、それでも組織全体の合意に至らないのには理由があります。

そこでよく見られるのが、冒頭に挙げた社内で考えが「保守的」とされる決裁者が「今のままでよい」と言っているケースです。

しかし、決裁者の方たちが今のやり方を維持しているのにはそれなりの理由があります。今のやり方に至るまでに深い背景や歴史、文脈があるのです。この点を十分に理解し、どのように組織全体の合意を得るかを考えることが重要です。

決裁者の「感情」に寄り添おう

弊社代表の高橋は現場担当者の方から「外部の立場からうちの決裁者に強く言ってもらえませんか」といった依頼を受けることがあります。そのような場合、高橋は次のようにお伝えしています。

高橋

そのまま強い言葉で伝えると感情的な反発が先に立ってしまい、肝心な内容に耳を傾けてもらえません。そのため、まずはどのような思いでこれまでのやり方を続けてこられたのかをしっかり理解させていただけませんか。決裁者の方々にも思うようにいかないことがあると思いますので、どんな点が課題になっているのかを詳しくお聞きしたいのです。

こうしたアプローチを取ると、特に役員クラスの方々は自分たちが積み重ねてきた歴史について語り始めてくれることが多いです。上層部の方々も思うようにいかない部分にストレスやモヤモヤ、時には憤りを感じていることがあります。そうした感情を理解しようと努めると、やがて相手の方から「自分も必ずしも正しいとは思っていない」といった言葉が自然と出てくることがあるのです。

このような言葉が出ると、その場の空気が一変します。つまり、決裁者の方も思うようにいかないことについて自分にも非があると感じているのです。

相手から「自分も必ずしも正しいとは思っていない」といった言葉が出てきたときは、「もう少し詳しくお話を聞かせていただけますか?」とさらに深掘りしていくことが大切です。深掘りをすると、多くの場合、役職や立場から「◯◯しなければならない」という強い思いがあることがわかってきます。

特に日本の組織では明文化されていない暗黙の了解や社内の空気が人の行動に非常に強く影響します。役職の高い方々はそうした空気を作り出す立場であると同時に、その空気に縛られている立場でもあるのです。そうした背景を理解して話を進めていくと、「今のままではいけない」という言葉が相手から自然と出てくることがあるのです。そこまで話が進んだ段階で解決策を提案し、合意を得るための道筋を作っていきます。

アポイントをいただいて初めてお会いする際、そうした役職の高い方々は「ジャッジ」の目線を持っています。日常的に会社で多くの判断をしているため、「この外部の会社はどんなものなのか」という視点で営業を試すような姿勢を取られることがあります。そのような状況で「あなたを理解させてください」と伝えるのは勇気がいることです。

そのため、自己紹介は短く1分程度にとどめて、「今日はどのような趣旨でお時間をいただきたいかと申しますと…」と切り出し、その後は正直に「◯◯さんのことをしっかり理解させていただきたいのです」と伝えるようにしましょう。

そのようにして、提案に対する組織全体の合意を得る際には「合意をしてもらおう」と焦るのではなく、その前段階でお客様への本当に深い理解を持つようにしましょう。

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