成果があがる営業組織を作りたい

2024.12.24

「接戦案件」に勝ちパターンのカギが隠されている

「接戦案件」を基に営業組織の勝ちパターンを作ろう

「勝ちパターン」を作るには?

強い営業組織を作るには「勝ちパターン」を作ることが重要です。「勝ちパターン」には明確な「作り方」があります。今回は「勝ちパターンの作り方」についてお伝えします。

「7つの手順」で勝ちパターンを作ろう

今回は「勝ちパターンの作り方」についてお伝えします。

書籍『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)では「接戦理論」について詳しく解説しています。「接戦理論」では、案件を「楽勝案件」「接戦案件」「惨敗案件」の3つに分類します。

無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

高橋浩一

「楽勝案件」とは、最初から「これは受注できるだろう」と確信できるような案件です。例えば、自社のファンであるお客様からの依頼や、初めから自社に依頼することが前提の商談などがこれに該当します。これらは、誰が対応してもほぼ間違いなく受注できるような案件です。

「惨敗案件」は失注することがほぼ確実な案件です。例えば、他社と既に強固な関係を築いているお客様が、単なる比較のために見積もりを依頼してくる場合などです。見積もり依頼が来るものの、実際に受注するのは難しい案件です。こうした案件は「惨敗案件」に分類されます。

そして、「接戦案件」とはどちらに転ぶかわからない案件を指します。

まずは、この接戦理論を基に営業組織で勝ちパターンを作る7つの手順についてご説明します。

①最近の決着案件をリストアップ

まず、最近の「決着案件(受注・失注の両方)」をリストアップし、議論に適した人数(数人程度)で以下の図のような「原因カテゴリ」についてディスカッションを行います。案件数が多すぎると議論が難しくなるため、20〜30件程度に絞るようにしましょう。

②決着案件から楽勝と惨敗を除く

「楽勝案件」と「惨敗案件」は営業の実力と受注率に大きな相関がないため、これらは議論から除外します。「接戦案件」に集中することで、「やり方次第で結果が変わる部分」に注力できます。楽勝案件を増やすにはマーケティングと商品開発が、惨敗案件を減らすにはターゲティングが重要です。一方、接戦案件の勝率を上げるためには営業力の強化が必要です。

③接戦案件の勝敗因を振り返る

「接戦案件」について、詳細な経緯を確認しながら受注・失注の要因を議論します。この議論は単に成功や失敗を賞賛・批判するものではなく、「接戦の勝敗がどこで決まるのか」をみんなで探求する姿勢が重要です。

④カテゴリについて組織で仮の合意を取る

議論を進める中で、例えば「多くの案件が『スペックが合わない』に分類されているが、本当にそうなのか?」といった意見が出ることがあります。このようなフィードバックをもとに、カテゴリの見直しをしましょう。最終的には、「増やしたい受注」「減らしたい失注」が明確になるまで議論を重ね、仮の合意を取ります。

⑤最近の決着案件についてカテゴリを一通りつける

仮の合意ができた受注・失注要因のカテゴリを組織に周知し、各営業が自分の案件に対してカテゴリを振り分けます。過度に多くならないよう、一人あたり10〜20件程度の案件にカテゴリをつけた後、現状を集計してみます。

⑥以降、受注・失注カテゴリを振る

その後は、営業会議において接戦案件の振り返りを行い、直近の決着案件の詳細な経緯を確認しつつ、今後のアクションを議論します。このプロセスでは、特定の案件だけでなく、組織全体として「増やしたい受注」「減らしたい失注」の観点から改善策を検討します。

⑦一定期間ごとに振り返る

カテゴリを基にPDCAサイクルを回し、定期的に集計と見える化を行い、営業活動が改善されているかどうかを確認します。時間の経過やメンバーの変更に伴い、カテゴリの定義を見直し、組織全体で認識を揃えていくことが重要です。

勝ちパターンのカギを握るのは「接戦案件」

書籍『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』(日経BP)の中で、「強い営業組織の4つの柱」というテーマを取り上げました。具体的には、「勝ちパターンをつくる」「活動の実態を『見える化』する」「人が育つ仕組みをつくる」「コミュニケーションのバランスを整える」の4つの柱に整理し、図表を用いながら解説しています。

無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ

高橋浩一

その中でも特に「勝ちパターンをつくる」が最初にくる重要な要素です。

一般的に、営業組織を構築する際にはコミュニケーションや人間関係といった土台作りの重要性が強調されます。もちろん、これらの要素は組織の基盤として非常に重要で、崩してはならないものです。

しかし、営業組織では売り上げが増えないと次第にチームの雰囲気が険悪になります。売り上げが増えなければ「四の五の言っていられない」という状況になるのです。

そのため、関係性の基盤がある程度整っているのであれば、次に必要なのは「勝ちパターンをつくる」ことです。「この方向に進めばうまくいく」という確信が曖昧なままでは、やがて限界が来て、チームは疲弊してしまいます。

プロ棋士の藤井聡太さんは対談本で「将棋が強くなるために何が最も大切か」というテーマについて非常に興味深いことを語っています。それは、「自分より少しだけ強い相手、つまり『頑張れば、勝てるかもしれない』と思える相手と戦うことが、強くなるためには最も重要である」ということです。

藤井聡太さんは最初、幼少期におばあちゃんを相手に始めたことから将棋を覚えるようになりました。おばあちゃんは将棋のルールをあまり知らなかったため、彼は連戦連勝でした。

それが楽しくて将棋に夢中になったわけですが、ルールを知らないおばあちゃんを相手にしているだけでは、ある程度のレベルからは強くなれません。

その後、藤井聡太さんは自分よりも少し強い相手との対局を通じて力をつけていったのです。

勝ちパターンの構築は「1つの案件」から

これを営業組織に置き換えてみましょう。

先ほどの藤井聡太さんの話における「頑張れば、勝てるかもしれない」案件は「接戦案件」に相当します。

営業組織が接戦案件において再現性高く結果を出せるようにするためには、「勝ちパターンをつくる」必要があります。「これをやればいい」という明確な方針が必要なのです。接戦案件には競合他社とのコンペティションだけでなく、1社提案であっても稟議が難しい場合や、お客様が内製化を検討しているケースなども含まれます。

「勝ちパターンをつくるのが難しい」とおっしゃる方々の話を聞いていると、「自社には勝ちパターンがない」と最初から思い込んでいるケースが多いです。その背景には、「成功事例が沢山ないと勝ちパターンはつくれない」という思い込みがあるのかもしれません。

しかし、実際の出発点はもっとシンプルです。接戦で受注できた案件が1つか2つあれば、そこからスタートできるのです。多くの案件から成功法則を見出す必要はありません。接戦案件での成功が少しでもあれば、それを基に考えていくことができます。接戦案件とはどちらに転ぶかわからなかった商談ですから、成功の裏側には必ず何かしらの背景が存在するわけです。

勝ちパターンを作る段階では、その具体的な内容がまだ明確ではありません。しかし、案件が成功に至った経緯を詳細に振り返ることで、必ず決定的な要素が浮かび上がってきます。

振り返りで重要なのは「決定場面」

最初の段階では多くの案件を振り返る必要はありません。その代わりに、1件について徹底的に振り返ることが重要です。特に、この作業は組織内で一定の権限や能力を持つ方がすることをおすすめします。ある程度の影響力を持つ人がこの作業を行わないと、勝ちパターンを見つけるのは難しいことがあるからです。

勝ちパターンを発見する際のポイントとして、「それが確実に影響を与えた」と確信できる必要があります。そのためには受注の理由だけでなく、「決定場面」という時間に関する情報が必要です。

例えば、社内で「今回、大型案件を受注しました」「よくやった!提案書を本当に頑張って作ったからね」というやり取りがあったとします。

しかし、実際には提案書の完成度が決定的な要因ではなく、その前段階でお客様と良好なコミュニケーションが取れていたことが本当の決め手だったかもしれません。それにも関わらず、提案書の話で盛り上がり、案件の決め手となったお客様とのコミュニケーションの部分が見過ごされてしまったら、他の人が同じ成果を再現するのは難しいでしょう。

そのため、「決定場面」に関する情報はしっかりと集めるようにしましょう。それにより勝ちパターンをより正確に特定し、再現性を高めることができます。

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