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2024.12.17

「ご不明点はありませんか?」では良い商談にならない

質問の仕方次第でお客様のリアクションが変わる

お客様に「良い商談体験」をしていただくには?

商談の温度感が上がらないことを悩んでいる営業は多いようです。商談の温度感を上げるには「予定調和の商談」に変化を起こすことが必要です。今回は商談に「ちょっとしたずれ」を生んでお客様に「良い商談体験」をしていただく方法ついてお伝えします。

お客様が答えやすいような問いを投げかけよう

商談中に「ご不明点はありませんか?」と尋ねても、お客様から「いえ、大丈夫です」とそっけない返答が返ってくることは少なくありません。これは、お客様にとって「何がわからないかを言葉にする」こと自体が難しいためです。

そこで、お客様が答えやすくなるように、以下の2つの方法を活用するようにしましょう。

1

他社様の事例を使った枕詞

例えば、「他のお客様からは、よくXXXのようなご質問を頂くのですが、御社の場合はいかがですか?」と尋ねることで、予想される質問をFAQ方式で伝えます。これにより、お客様はリアクションしやすくなります。

2

選択肢付きの質問

「こちらの資料に書いてあることについて、AとBではどちらに近いですか?」といった形で、具体的な選択肢を提示する質問です。例えば、「A:かなり当てはまる」「B:半分ぐらい当てはまる」や、「A:社内の意見が一致している」「B:社内で意見が分かれている」といったパターンで質問するとお客様は答えやすくなり、負担が軽減されます。

これらの方法は、慣れるまではその場でスムーズに出すのは難しいかもしれませんが、オンライン商談においては「自分が話すこと」だけでなく、「どのタイミングで何を問いかけるか」までを含めた準備が求められます。

特にオンライン商談では、「画面越しだから反応が薄いのは仕方がない」と思考停止せず、お客様が負担を感じる状況を察知することが重要です。リモートワークの普及により効率化や便利さが求められ、負担がかかることは避けられる傾向が強まっています。このため、お客様が自発的に質問をすることは少なくなり、商談中に「わからないこと」をその場で口にするのも難しくなります。

さらに、商談が進むにつれてお客様のインプット情報が増えるため、理解が曖昧になりがちです。また、商談の終了間際に時間が押し迫ると、質問する機会が失われることも少なくありません。その結果、「お客様の理解度が不十分なまま商談が終了する」という事態が多発します。

オンライン商談では、こまめに質問を投げかけてお客様の発言を促すことで、会話のテンポを維持することが求められます。「ご不明点はありませんか?」以外の表現を知らないと会話が途切れがちになるため、①と②の言い回しを事前に準備しておくことが重要です。

「ずれ」を作り、予定調和の商談に変化を起こそう

「ご不明点はありませんか?」と不明点を解消するという方法だけで商談を終えてしまうと、お客様の感情が大きく動く場面がなく、結果として商談が印象に残らない可能性が高いです。

商談ではお客様が感動や嬉しさ、驚きといったものを感じることが出来たら良いはずです。しかし、ただ提案をするだけでは、多くの場合そういった感情の揺れ動きは生じず、価格競争に陥り、競合とどちらが安く提供できるかという話に終始してしまうことが多いです。

弊社代表の高橋はこの現象を20年程前から不思議に思っていました。その時、高橋はふと「すべてが予定調和で進んでしまうと、営業で良い結果が生まれにくいのではないか」と感じたのです。

予定調和で進むというのは説明するべきことをきちんと説明し、不明点があればそれを解消するということを指します。もちろん、それ自体は間違っていません。しかし、それだけでは営業の成果を上げるのは難しいのが現実です。

では、どうすれば良いのでしょうか。そんな時、話の内容を「ちょっとずらす」ことが鍵を握ります。「ちょっとずらす」とは、お客様からニーズや課題を聞いた際に、「これまでの情報には含まれていませんが、こちらについてはいかがでしょうか?」といったように新しい視点を提供することです。商品やサービスの説明時に資料に書かれている内容を少し超えた部分に触れることで、お客様の興味や関心を引き出すことができます。

ただし、ずらし過ぎると「ずれた営業」になってしまいます。例えば、お客様の要望に対して「その方法よりも、こちらの方が良いですよ」と大きく意見をずらすと、お客様としては「いや、そうじゃないんですけど」と受け入れられないことがあります。また、サービス紹介や商品説明で資料に大きく外れた内容ばかり話すと、「資料に書いてある内容は大丈夫なの?」と不安を抱かせてしまいます。

そのため、心地よい「ずれ」を作り出すことが重要です。例えば、資料に書かれている内容が100だとすると、それを150や200の範囲で話してしまうと「なんか違うな」と感じられてしまいます。

しかし、100から少しはみ出た103や105といった範囲で情報を提供すると、「それはどういう意味ですか?」とお客様の興味を自然と引くことができます。また、お客様のニーズが100である場合、それに対して150や200の範囲で対応すると、さまざまな問題が生じます。しかし、103や105の部分について尋ねることで、お客様の考えを刺激することができます。話の内容を「ちょっとずらす」際にはこのさじ加減が重要です。

お客様に「良い商談体験」を経験してもらうことが重要

特に若手の営業は予定調和から外れることに対して非常に嫌がる、あるいは恐怖心を抱くことが多いです。例えば、資料について説明した際に予期せぬ質問をされると困惑することがありますし、ニーズをヒアリングしている時にも自分が対応できる範囲を超える話に発展することを避けたがる傾向があります。

確かにその気持ちは理解できますが、本当にお客様との商談が初めから最後まで予定調和で進んでしまった場合、それが果たしてお客様にとって良い商談体験になるのかという疑問が残ります。

お客様のリアクションが薄いというのは、端的に言うとお客様にとって何の発見もない予定調和なやり取りに終始しているということを意味します。そのような状態で「何かご不明点はありませんか?」とか「ご質問はございますか?」と尋ねても、お客様としては「どうせ大体書いてある通りなんでしょう」と思えてしまい、プラスの期待を抱くことが難しいです。

したがって、多少の意外性を含む商談を作り出すことが重要です。そうすることでお客様からのリアクションや質問、コメント、リクエストが自然と出てくるはずです。もちろんその際にはさじ加減が重要で、あまりにも外れすぎるのは良くないし、逆に予定通りすぎるのも良くありません。このさじ加減を探ることに営業の1つの面白さがあります。

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