営業メンバーのスキルを上げたい

2024.02.15

お客様は実は営業に話を聞いてもらいたい?

お客様との関係を深めるためには「サイン」を見つけよう

お客様との関係性を深めるには?

「深掘り質問が怖くてできない」という悩みがある営業は多いのではないでしょうか。お客様との関係性を深めるには深掘り質問は非常に重要です。今回はお客様との会話の深め方についてお伝えします。

「言葉にする」ことが、課題の整理につながる

営業支援の現場に行くと、「深掘り質問が怖くてできない」というお悩みを聞くことが多いです。その恐怖感の根底には、「聞くだけ聞いて何も出来なかったらどうしよう」「お客様をきちんと理解していないのにこんな突っ込んだ質問をしては失礼ではないか」といった気持ちがあるようです。

もちろん、ホームページで確認できるような基本的な情報は調べてからお客様とお会いするべきですが、恐怖心を軽減するために重要なポイントがあります。それは「自分はお客様のことはほとんど理解していないのだ」ということです。「同じ会社で働いている仲間を理解することすら難しいのだから、異なる会社で働くお客様のことを完全に理解できているはずはないのだ」という前提で営業をしてみてください。

そして、もう1つ覚えておくとよいことがあります。それは、「話を聞いてもらうこと自体に価値がある」ということです。世の中にはカウンセラーやコーチなど、人の話を聞く仕事が存在しているのはその証拠でしょう。

「営業はカウンセラーやコーチとは違うのではないか」と思われるかもしれませんが、ここで重要なのは人の心理や性質です。多くの人は、日常的に自分の考えを明確に言語化しながら仕事をしているわけではありません。特に、課題が大きくなると複雑で、簡単に言葉で説明することは難しくなります。

お客様自身も話しながら自分の考えを整理されていることもあります。営業としては、この「話しながら整理する」プロセスをサポートすることが非常に重要になります。

この2つのポイントを認識しておけば、深掘り質問への恐怖心はほとんど払拭されるでしょう。

ヒントはお客様が不本意な感情を示した時

それでは、深掘り質問へのテクニックについてご紹介します。

商談の際、お客様が不本意な感情を示した時は深掘り質問をすべき大切なタイミングです。

例えば、「本来は●●であるべきなのに、(不本意ながら)こんな状況です」といった発言が該当します。このような場合、多くの営業は「早急に対応策を考えて提案しよう」と考えがちですが、ここには落とし穴が存在するので注意が必要です。

お客様の不本意な感情は、理想と現状のギャップを表しており、これが「真の課題」を突き止めるための貴重な手がかりとなります。言葉の表面だけを捉えるのでなく、背後にある背景や葛藤、悪循環を起こしている要因などを丁寧に理解することが重要です。そこで深掘り質問を活用し本当に理解すべき課題へアプローチをします。

その他、下記では不本意な感情を表しているいくつかの「サイン」をご紹介します。

1

ビジョンや目標の名言

組織や個人のビジョン、あるいは目標について相手がわざわざ強調したとき

2

繰り返し出てくる発言

同じキーワードが会話の中に繰り返し登場し、そこに相手が何かしらの感情を抱いていそうなとき

3

理想と現状のギャップ

「本来はこうなって欲しいのに、こうなってしまっている」という問題や課題を表す表現が感情混じりに出てきたとき

4

周囲と本人のギャップ

自身と周囲との間での意見の食い違いや考え方の違いについて、感情をまじえて言及したとき

5

よく出てくる構造

他のシーンで見かけた「悪循環にはまって抜け出せないケース」に近いことが目の前で起こっており、相手がジレンマを感じているとき

お客様との関係を深める4つの価値訴求パターン

次にお客様の不本意な感情を理解した後はどのように商談を進めるべきなのかについてご説明します。

根深い課題を特定できたとしても、その課題を即座に解決するのは難しいことがほとんどです。そこでまずは価値訴求をしてお客様のお役に立ち、そこからお客様との関係を深めていくことが重要になってきます。下記に4つの価値訴求パターンをご紹介します。

1

労務提供

お客様がタスクの負担を大きく感じている場合は労務提供が有効です。お客様に何かしら力になれそうなことを見つけ、それほど負担を負うことなく貢献できるポイントを探りあて、素早くサポートを提供しましょう。素早い対応はお客様の理解を深めるチャンスでもあります。

2

共感

お客様が個人的に「理解されていない」という不満を社内に対して抱えている場合、共感を示すことで関係を深めることができます。お客様の味方であることを示すことは、彼らにとって心強い存在となります。

3

情報提供

お客様が良い情報を探している場合、情報提供が役立ちます。しかし、どのような情報を探していて、どのように提供すると役立つのかを特定しておかないと、せっかく情報提供をしてもお役に立てないリスクがあるので注意が必要です。お客様のニーズに合わせた情報提供を行うために、質問力を駆使しましょう。

4

+αの提言

お客様が「頼りになるパートナーを探している」気配が見えたら、提案を積極的に行いましょう。お客様に対して、言われたこと以上に主体的な行動を起こす営業は彼らにとって非常に魅力的です。彼らが放っておきたくない存在となりましょう。

「こんなこと、普段は話さないんですが」を目標に

特に④は難易度が高いですが、同時に非常にインパクトがあります。ただ、④が出来ないからといって価値がない訳ではなく、①や②や③でも充分にお客様にとっては価値があることを忘れないでください。

営業というのは非常に特別な立場にいます。お客様から直接、率直な感情や本音を聞き出せるだけでなく、それに対して有益な解決策を提供できるという立場です。更には、自社の製品やサービスを用いて具体的な解決を行い、その結果として売上を上げることができるのです。

当社もお客様から「こんなこと、普段は話さないんですが」といった言葉を頂くことを1つの指標としています。そのような言葉を頂けた場合、それはお客様としっかりとした関係を築けている証拠だと考えています。

お客様が抱える不明瞭な感情や課題が見えた際には、その深層を探る「深掘り」が重要である、というテーマでご説明しました。是非実践していただければと思います。

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