営業メンバーのスキルを上げたい

2024.11.06

お客様の本音や価値観は「選ばなかった選択肢」に現れる

初回訪問では「お客様の温度感が上がる問いかけ」をしよう

初回訪問の際に重要なこととは?

初回訪問に苦手意識のある営業は多いようです。初回訪問では「お客様を具体的に理解すること」が重要です。今回は初回訪問での効果的なアプローチについてお伝えします。

初回訪問の際に聞くべきこと

営業の初回訪問で、「御社の課題は何ですか?」といった平凡な質問をすると、お客様から冷たい反応を受ける可能性があります。また、「御社はこれが課題なのでは?」と仮説を立てても、それが外れてしまうと逆効果です。そのため、初回訪問を成功させるためには「お客様がこれまでに課題に対して取ってきたアクションの理由」を理解するための質問をすることが重要です。これにより、初回訪問の質が格段に向上します。

営業が初回訪問で聞くべきことには、2つの種類があります。

営業が初回訪問で聞くべきこと

  • (A)見積もりや提案を作成するために必要な情報
  • (B)お客様を真に理解するために必要な情報

多くの営業は(A)の情報だけを収集し提案を作成しますが、これでは表面的な提案に終わり、お客様の期待に応えられないことが多いです。それでは、(B)の情報をどのように収集すれば良いのでしょうか?

お客様が他の手段で悩みや課題を解決できていたのであれば、そもそもこの商談をしていないはずです。つまり、「他の手段では解決しきれなかった何かがある」からこそ時間を割いていただいているわけです。そこで、知りたいのは以下の点です。

  • なぜ、これまで当社と出会わなかったのか?
  • なぜ、このタイミングで当社と出会ったのか?

しかし、いきなりこれらの質問をストレートに投げかけると、不思議な顔をされてしまいます。そこで、「お客様がこれまでにどのようなアプローチを取ってきたのか」を聞きます。事前に調べられることは調べた上で、「核心質問」を投げかけるのが効果的です。

高橋

お客様はこれまでAのアプローチを取ってこられましたが、なぜBのアプローチを選ばなかったのでしょうか?

このような質問は、お客様の価値観を理解する上で非常に有効です。何かを「選ばない」と決めるときには、選ぶとき以上にお客様の本音や価値観が現れるからです。

このように、「選ばれなかった選択肢」を掘り下げていくことで、以下のことが理解できます。

  • お客様の根深い課題
  • お客様のリソースやケイパビリティの実情
  • 組織で検討を進める上での本当のネック

また、「選ばれなかった選択肢」を話すときのお客様の声のトーンや表情に注目しましょう。その「非言語」に大きなヒントが眠っています。

お客様の本気度は初回訪問で見極める

お客様は「何かしなければならないと思っているんです」と言いつつも、実際には行動する意思があまりない場合があります。若手の営業はお客様の本音を見抜けず、「提案のチャンスがある」と期待してしまいますが、そのような案件は流れてしまうことが多いです。お客様の本気度は提案を出してからではなく、初回訪問の段階で見極める必要があります。

成功する可能性が高いのは「過去に選ばなかった選択肢」についてお客様に「本当はそれをやりたかったが、できなかった理由」がある場合です。そして、当社の提案がその障害を解消できることをお客様が実感したときに、初めて商談が前進します。初回訪問でテンプレート通りのヒアリングをするだけでは、このような重要な瞬間を捉えることはできません。

組織の課題を解決するのは難易度が高いです。何かを解決するにしてもお金や時間をそれなりに投じるということであれば、1人の個人的な意見だけでは決めることが出来ません。

そこには様々な人たちのお話を聞いたり、議論や調査といったものが必要とされます。そうすると、そこに行き着くまでの間に様々な試行錯誤があるはずです。それをつぶさに理解していくことによって、お客様にとって大事なことを捉えることができます。

課題に対してどんなアクションをとってきたかは意思決定をする側の人と話さなければわかりません。例えば組織の中で経営側と現場側があった時、現場側には経営側がどんな検討をし、どんな意思決定をしたのかはよくわかりません。

そのためある程度のお金を使うような意思決定であれば経営側の人と話す必要があります。しかしそれは、現場側の人たちと話すことに意味がないということではありません。試行錯誤をしながら日々の業務に従事しているのは現場側の人です。そのため、現場側の人のことが理解できなければ良い提案は出来ません。

お客様のことを「具体的に」理解しよう

例えば「今、この業務が非効率的なんです」とお客様から言われ、「業務が非効率である」ということを課題と捉えて解決に行くと、あまり上手くいきません。

なぜかというと、課題というのは「具体的に解決されなければならない」からです。

課題が具体的に解決されなければならないのだとすると、具体的にどのような試みがなされていたのかということをしっかり理解しないと商談が現実味を帯びてきません。

弊社でお客様のご支援をする際、「なぜ弊社を選んでいただいたのですか?」と聞くことがあります。それに対して「具体的だから」という回答が多くなっています。

お客様は次のように言います。

お客様

「こうした方がいいよ」という抽象論はみんな言ってくるんです。ただ、「具体的にこうしたらいいですよ」と言ってくれる会社はありません。

つまり、お客様は「提案がしっかりとしたアクションに結びついているかどうか」を重視しているのです。

弊社がそれをどのようにやっていたかというと、とにかく「起こってることを具体的に理解する」ということに尽きます。

ただ、それをやるときのネックというのは「一見すると自分が提案する商材やサービスに結び付くかどうかわからない」ということです。例えば、具体的に起こっていることを理解していったら「結局今は、外部の会社にお願いするステージじゃないのかもしれない」という結論に至るかもしれません。

もちろん、営業からすると案件に繋がった方が望ましいという思いはあります。しかし、お客様のことを深く具体的に理解できたら、それは後々そのお客様に役に立つかもしれません。あるいはどこかのタイミングで他のお客様に対してそれを応用させることで、他のお客様のお役に立てるかもしれません。具体的な事実を集めるということは課題解決型の提案をする営業はやっておくといい習慣の1つです。

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