提案資料の「型」の作り方
今回は「提案資料の型作り」についてお伝えします。
営業チームから「提案資料の『型』を作りたい」という相談を受けることがあります。その際に「構成」や「ストーリー」までを含めて仕組み化しようと考えると、人それぞれの意見が異なり、なかなか1つにまとまりません。
このような状況でおすすめしたい方法は、「1枚のキースライド」から始めることです。この手法を使うと、成果を具体的に実感することができ、施策も進みます。
営業によって資料の出来の差をなくすためには、資料を統一した形にすることが重要です。
弊社代表の高橋は以前、営業組織をゼロから構築していたとき、資料作成のスピードが人それぞれ異なることに気がつきました。非常に時間をかけて作られたものもありましたが、その結果が良いとは限らなかったようです。そこで高橋は、提案書の一部を共通化するアイデアを思いつきました。
まずは、予算の提案書を全員で共有し、標準化をすすめようとしました。しかし、標準化を進める中で難しい問題に突き当たりました。
それは、「どこまでを全員で揃えるのか」という課題でした。お客様の状況や背景の理解から始めて、提案資料の枚数や情報の選び方など、考え方が人それぞれだったからです。
結果、営業メンバーは「無難な」資料を作り上げることになりました。大量生産はしやすくなりましたが、受注率は上がらなかったようです。
個性的な提案書とのよい塩梅が必要でした。弊社の「営業1万人調査」の結果でも、同様の問題が浮かび上がりました。同じように困っていらっしゃる方は多かったのです。
まずは、要件整理の1枚だけは揃えよう
ここから学べるのは、営業資料の型作りは、まさに「修羅の道」とも言える難しさがあることです。しかし、この問題を克服するための方法を見つけ、成功への道を開くことが、営業としての使命であるとも言えるでしょう。
ここからは、その後高橋がどう対応したのかについてお伝えします
まず、要件整理の1枚だけは必ず揃えるようにしました。それ以外の部分は自由にしたのです。
要件整理の1枚にはお客様の要望やお悩み、課題をキーワードとして縦に並べ、それぞれ具体化しました。そしてそれに対する自社の対応を示し、番号をつけて優先順位を示しました。
そして、資料の表紙から始めて3枚以内に「要件整理」の1枚は必ず入れるというルールを設定しました。一旦それ以外は自由でいいとし、複数人から要望が上がったら新たな共通のフォーマットを作る、という方針を採りました。
ルールを厳格にしなかったのには理由があります。ルールを厳格にすることで、ルールに反している人とのコミュニケーションが増え、その分時間的なコストがかかってしまうことを避けるためです。
効率的な営業活動を支える3つのポイント
営業は現実的ですから、「役に立って、売れる」と思えば使います。高橋は今でも、同じ方針で営業の仕組み作りを進めています。
ツールは進化しましたが、考え方は同じです。つまり、揃える部分は最小限にし、お役立ち資料をストックするという方針です。資料は「複数の人からほしいという声が上がったら作る」というスタンスは変わっていません。
これにより、効率的な営業活動が可能となりました。
ポイントを3つまとめます。まず、共通フォーマットは最小限に揃えることです。次に、お役立ち資料を用意することです。そして最後に、複数の要望があったら新たな共通フォーマットを作ることです。これらを守れば、効果的に資料作成の効率化を進められるのではないかと思います。
効果的な資料作成の方法については、例えば前田鎌利さんの『社内プレゼンの資料作成術【完全版】』(ダイヤモンド社)などがおすすめです。
他にも、皆で一緒に資料を読み合わせ、どこを改善できるかを検討するディスカッションをすることも効果的でしょう。
さらに、X(旧Twitter)やSNSでスライドデザインのプロの方を見つけて、少しお金をかけてでもスライドを直していただくと、資料の見栄えがよくなります。
また、情報共有のルールも確立しましょう。情報共有のルールを確立することで、共通フォーマットを追加した際などにもスムーズに資料を共有することができます。
最後に、資料を探すための時間は極力減らせるようにしましょう。まずは、ファイルやフォルダのルールを統制するところから始めると良いかもしれません。