2024.06.09

SPIN(スピン)話法を商談で実践するコツ

すでにおなじみの概念かもしれませんが、SPIN話法(以下、スピン)はヒアリングのフレームワークです。

●S(Situation):状況質問
●P(Problem):問題質問
●I(Implication):示唆質問
●N(Need-Payoff):解決質問

スピン実践3つのコツ

スピンは実践が難しいという声をよく聞きますが、コツが3つあります。

●お客様のお悩みをしっかり掘りさげ、不本意な感情に焦点を当てる
●それを放っておいたらどうなりますかという観点で問題を顕在化させる
●お客様の感触について選択肢で聞く

これらの3つを意識してもらうと随分スピンがやりやすくなると思います。

深掘りするポイントに気づく

まずはスピンのP(プロブレム)について。Pが意味するところは、問題を深掘りする、悩みを深掘りする質問です。図で言うと2番目のところですね。

プロブレムに関しては、「どこを深掘りすればいいのかに気づけない」というお悩みがよくあります。

皆さんは、「自分が意識しているものだけが情報として入ってくるように感じられる」という現象のカラーバス効果をご存知でしょうか。

深堀りが難しいと感じる理由のヒントが、カラーバス効果の中に隠れています。

カラーバス効果の例

【赤色を意識すると、街中を歩いているときに赤いものばかり目に入ってくる】

フィルターを不本意な感情にしぼる

営業の方の多くは、商談中に「どうやって自分の提案に結びつけよう」「どうやって自分の商品を売ろう」というような意識に支配されているのではないでしょうか。

そうすると、お客様がちょっと欲しそうな反応をしたり、お客様が当社のサービスに紐づきそうな課題やお悩みをおっしゃると、ピンとくるでしょう。これがカラーバス効果です。

ただ、お客様からすると、目の前の会社の商品を買うために商談に同席しているわけではないことが多いですよね。

スピンのPの段階で、自社の商品や自社のサービスを売ろうという意識からフィルターが強くかかりすぎてしまうと、そこに引っかかってこない情報をスルーしてしまいがちになります。

そこでそのフィルターを、お客様の「不本意な感情」に焦点を当てることにしてみましょう。

すると、こうなったらいいのになあ、現状ちょっとこうなっちゃってるんだよなぁ、という「不本意な感情」がお客様からちらほら出てきたときに、そこにピンときて、「それ、どういうことですか?」というふうに掘っていくことができるのです。

質問の角度を変える

Iのインプリケーションは、その物事の重要度、影響度について尋ねる、潜在的な課題を顕在化させる質問、などと言われています。

少し表現が難しいので、私のおすすめは「それを放っておいたらどうなりますか?」と質問する方法です。

「放っておきたくないぞ」「今のままにしておけないぞ」と思わせる角度から聞いていくのがインプリケーションのコツ。

「これを放置するとどうなるのか」という角度の質問は分かりやすいのでおすすめです。

選択肢で回答を引き出す

最後に、ニードペイオフ(N)です。実践するときには、感触を確かめるイメージでいくといいと思います。

例えば、

●「すぐに取り組んでみたい」「とりあえず半年間ぐらいは大丈夫そうかな」というならどちらに近いでしょうか
●やってみたい度合いは7対3か3対7、どちらでしょうか
●社内に共有したいレベルですか、それとも個人の中にとどめておくレベルですか

このような問いかけです。

とにかく2択で聞くようにすれば、誘導尋問というよりは「あなたの所感を聞かせてください」という角度から質問ができます。

そうすると、相手の言葉で「それやりたいです」とご返答いただけるような問いかけになっていきます。

補足:スピンの練習方法

まだまだスピンがやりにくいという方には、SからP・PからI・IからNというような分割での練習をおすすめします。

スピンを分割して練習したら完成しないのでは?と思われるかもしれませんが、その要素の1個1個を練習するだけでも、商談において大きなインパクトが生まれます。

1回の商談で全て完璧にできなくてもいいので、まずは分けて練習をしてみてください。

そして、すでにスピンができている人の商談に同席する時には、お客様からご許可をいただいたうえで録画・録音をして、商談を文字起こしする、という練習方法もあります。

私はnottaという音声の文字起こしツールを使っており、まず商談内容を文字に起こしてしまいます。そして文字に起こしたテキストを全部コピーしてExcelに貼りつけるのです。

そうするとテキストが行に分かれますので、ちょっと気になるところをピックアップしていきます。この方法で、スピンができている人の商談を分析したり、ご自分の商談を改善したり、色々なことに役立てることができます。

今は便利なツールがいろいろありますので、文明の利器として使えるものはぜひ便利に使ってみてください。

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