法人営業の新規提案で、「現場担当者はOKだが、決裁者が保守的で現状維持派」という場合の上申案件は難易度が高くなります。
そういうときに陥りがちな落とし穴は、
- 安易にとりあえず自分の上司を連れていく
- 限られた情報ルートで勝負する
- 現状維持を論破しようとする
といったものです。
これらに気をつけつつ、決裁者のパーソナルゴールをつかみましょう。
上司を連れて行く前に
担当者の上長を説得するために自分の上司を連れていくのは、営業における常套手段です。
ただ「向こうも上司がくるので」と設定されたアポは、決裁者も身構えてしまいます。
「上司を連れて行った商談でうまく進まなかった」となると、そこで手詰まりになってしまうため、勝ちの算段を立ててから同行アポを設定したいですね。
複数の方向から情報収集
お客様担当者に「上司の方はどういう基準で判断されるのですか?」と間接的なヒアリングで聞くだけでは、「そうですね、上司は現状を変えたくないタイプで……」などと、お定まりの回答が返ってきがちです。
もしお客様の社内で他に接触できる人物がいるなら、なるべく複数の方向から情報収集を進めておくのがおすすめです。
理解してから理解される
いざ決裁者に会えたとして、「御社が変わるべき理由」を理論武装してぶつけても、相手に響かなければそこで終わってしまいます。
ビジネスコミュニケーションの基本は「理解してから理解される」の順番です。
決裁者にとってのパーソナルゴールを把握した上でアプローチしましょう。
現状維持を選ぶ理由を掘り下げる
意外と盲点になりがちなのが、「なぜ、決裁者は現状維持にこだわるように”見える”のか」をきちんと理解することです。
現状維持=悪というステレオタイプで臨んでしまわないよう注意しましょう。
実際に話を聴いてみると「単に現状を変えたくないというわけではない(良くしたいとは思っている)」ということが多いのです。
「単に現状を変えたくないというわけではない(良くしたいとは思っている)」というのが、今後のアプローチにおける重要なヒントになります。
「それはどういうことなのか?」「現状に対してどう良くしたいのか?」を丁寧に掘り下げるべきです。
「変わらなければいけません」の論破より、まずは相手に寄り添うことが大切ですね。
決裁者のパーソナルゴールを把握するまでの道のりは簡単ではありません。
したがってそれ以前に、担当者もどっぷりと味方につけておいた上で、色々な方面から情報を探しましょう。
その際、「組織課題」という概念を意識しておくことをおすすめします。
組織課題と各個人のパーソナルゴールが絡んだ全体像を理解できると、糸口が見えてくるはずですよ。