お客様のお役に立つために「引き出しをどう広げていくか」と悩む営業の方からよく相談をいただきます。
多くの営業は、お客様に「どうしたら御社のお役に立てますか?」と聞くのですが、曖昧な聞き方では明確な回答が返ってこずに「じゃあ安くしてよ」と言われて終わってしまいます。 こういった場合の鍵は、”タイミング”を聞くことです。
「お客様はどこで心が動くのか」を知る
多くのお客様は、営業への期待値が高くないため「どんなことをしてくれたら嬉しいか」のイメージが湧いていません。 そのため、わかりやすく値引きの要望になってしまうのです。
したがって「あれこれお客様のお役に立ちそうなことをやってみて、プラスに感じていただいた反応を確認できたら、その直後に聞く」という順序をおすすめします。
「あれこれやってみる」というのは、労務提供、情報提供、共感を示す……など何でもOKです。 何かしらお客様の心がポジティブに振れたのが見えたら、「どの瞬間に心が動いたのか」を尋ねてみましょう。 資料説明でも、反応が良いページがあったらすかさず質問します。 これによって、「お客様はどこで心が動くのか」に詳しくなることができます。
人の心は、自分の想像とは違うところで動く
営業に限らず、「人の心は、自分の想像とは違うところで動くものだ」と理解することが重要です。 例えば、採用面接を通過したときに、自己PRが響いていたのかと思いきや、実は「挨拶のしかたが好印象で面接官の心にグッと響いていた」ということがあります。 こういうことは、相手の心が動いた後にしか確認できないのです。
実は、自分の行動がお客様の心を動かしている場面があっても、多くの営業はそれに気づかずスルーしています。 しかしその瞬間をとらえ、お客様からフィードバックをいただくと、「そういうことが喜ばれるのか」とわかり、その後の行動にも再現性が備わっていきます。 こうして営業の強みや武器が磨かれていくのです。
そのうち、複数のお客様からポジティブなフィードバックをもらえる瞬間がやってきます。
A社様「こういう情報をいただけるのすごく助かるんです」
B社様「いただいた資料、社内に展開したら評判良いです」
……こういうことが積み重なると、自分の情報提供の仕方には「心を動かすポイント」があるのだとわかり、自信にもなります。