よく若手営業の方から「うちの会社では上司が教えてくれない」というお悩みをいただきます。世の中には色々な勉強方法がありますが、勉強するだけでは成果を上げることはできません。若手営業の成長スピードを最も左右するのは、「工夫と改善の楽しさを自分の身体に覚え込ませること」ができているかどうかです。
大量行動を楽しめる「体質」を作る
営業の世界には「まず行動量、次に行動の質」という不文律があります。確かに、大量行動があってこそ質に転換するというのは真理だと思います。ただし、「大量行動」ができるマインドセットについては、タフなものが求められますよね。成果が出ない一定期間を耐えられるかどうか……この世界観では「苦しさ」が伴います。
上司やマネジャーは、大量行動して成果をあげた成功体験があるから、「沢山やればそのうちわかる」とアドバイスします。確かにそれはそうなのですが、「成果がまだ出ない状態にある若手」が素直に受け入れるにしてはシビアなメッセージだと思います。そのプロセスを楽しめる「体質」を作るほうが先ではないでしょうか?
工夫と改善の楽しさを知る
私は、大量行動をするよりも「工夫と改善の楽しさを自分の身体に覚えさせること」が先だと考えています。
工夫と改善を伴わない大量行動は、肺活量を上げるために洗面器に顔を突っ込んで息を止める我慢比べのようなものです。我慢できず顔を上げると「またやり直し」のやり方です。何度も繰り返し洗面器で息を止めていれば、肺活量は鍛えられるかもしれません。しかし、肺活量を上げるやり方は他にもあります。
●友達を誘ってランニングをしたらどうか?
●Netflixを見ながら家でエアロバイクに乗ったらどうか?
色々と試してみて、肺活量のスコアを見ながらやり方を工夫し、改善していくのです。
自分で始める工夫と改善ゲーム
工夫と改善を重ねて「うまくいく」感触をつかむのは楽しいプロセスで、ハマって中毒になることもあります。この楽しさを実感した人は、ビジネスでも成果を上げやすいものです。
「アポが取れない、上司はアポ件数を増やせと言う、しかしやり方は教えてくれない」と嘆く前に、「どうせなら、好き勝手に色々と試してみよう」と、工夫と改善ゲームを自分で始めてみると、たくさんの発見がありますよ。
●メールの送り方を工夫してみたらどうか?
●電話のトークを工夫してみたらどうか?
●SNSを頑張ってみるといいことは起こるか?
このように、少し試しては改善するサイクルを回していくのです。
先に「工夫と改善の楽しさ」を身体で覚えた人は、大量行動のプロセスを楽しみながら実行できます。工夫と改善を重ねた先の良い景色がイメージできているから心が折れないのです。その原体験は、営業でなくともいいと思います。何かで工夫と改善をくり返して成果をあげた成功体験を持つことが重要です。