「オンラインとリアルのハイブリッド営業を」という話をすると、「とにかくオンライン商談のスキルを上げろということですか?」と質問をいただくことがありますが、個人的には「メールの書き方」がすぐにテコ入れしやすい改善ポイントだと思っています。通り一遍のテンプレメールばかり書いている営業は、成果が出なくなってしまうのです。
よくあるテンプレメール
コロナ禍の影響で、買い手が受け取るメールは大きく増えました。特に多いのが、このようなメールです。
●単に「ご検討状況いかがでしょうか」
●日程候補だけ書かれた「面会のお願い」
●機械的なセミナー案内
会社を経営していると、当社のような小さい企業でも、1日に何通も「テンプレメール」を受け取ります。ましてや大手企業においてはなおさらでしょう。
テンプレメールの「見えないコスト」
ビッグデータの分析によると、
①ひと手間かけて文章を送る
②大量にテンプレを送る
①と②では、②の方がアポ獲得の効率が良いらしいということがわかっています。「文章作成と送信にかけた時間」だけ見たらそうかもしれません。テンプレも数打てばターゲットに当たるのでしょう。しかし、それには盲点(見えないコスト)があります。
お問合せフォームに自動で送るサービス自体を否定しているわけではありませんが、営業個人が”人力”でテンプレメールを送り続けることは、
●企業のブランド価値の欠損
●スルーされ続けることで「お客様から必要とされていない」マイナス感情の蓄積
などの「見えないコスト」を生み出します。
お客様と文脈を共有するメールへ
営業が個人レベルで書くメールにおいて、すぐできることとしては、
●相手の固有名詞や、過去の商談で出てきた「台詞」を入れ、背景や文脈を共有する
●なぜ、この情報を「いま」「御社(あなた)にこそ」読んでほしいのか理由を入れる
といったことです。ある意味、これらが入っているだけでも「コンテンツ」になります。
「これからの営業はコンテンツの時代」と言われますが、見栄えの良い資料を作ることや、希少性の高いデータレポートが必須ということではありません。それよりも、お客様との「コンテクスト(文脈)」を共有したコミュニケーションこそが、先に来るべきだと考えます。大量のテンプレに、購買側も営業側も疲れているのです。
脱テンプレはハイブリッド営業への入口
テンプレメールが「読まれる”お役立ちメール”」に変わることで、営業としては選択肢が増えます。読んだ後にポジティブな感情を喚起するメールを送ることができれば、お忙しくて読む暇がないお客様にフォローする電話もできますし、その延長線上でオンライン商談のアポも取りやすくなり、ハイブリッド営業への入口へと繋がりますね。