お客様のキャラや主張が強い場合に「会話の主導権を取られてしまい、思うように自分のペースで商談ができない」と悩む営業からの相談を受けることがあります。多くの営業は「どう主導権を取るか」と考える傾向にあります。しかし無理に主導権を取り返そうとすると会話のリズムが噛み合わなくなってしまい、結果的に商談を成功に導くのは困難になります。
このような状況で商談を成功させるポイントは5つの「K」にあります。ここでは、それぞれの「K」について解説します。
(1)まずは落ち着いて「観察」する
まず、以下のポイントについて観察していきます。
●どんなキーワードがよく出てくるか
●どこで言葉や感情のトーンが上がるか
●どんな表情や雰囲気か
●どんなところにこだわりがありそうか
●なぜ、一方的に話すモードにしようとされるのか
●なぜ、こちらの話を聞いてくれないのか
観察した結果、一方的に話すお客様は、以下の二通りに分かれます。
(A)もともとのキャラでそうなっている(先天的)
(B)自分の「正しさ」を証明しようとしている(後天的)
Bの場合「本当は何か、周囲に理解してほしいのに、わかってもらえていない」という葛藤が眠っている可能性があります。介入するタイミングに注意しましょう。
(2)枕詞を使って「介入」する
介入する際、営業としておさえておきたいのは、「なぜ、お客様がこの場に時間を使っているのか」です。これが見えれば、商談のシナリオを描けます。
そこで、お客様のタイプがAとBどちらなのかが見えたら、介入できるタイミングで枕詞「誠に恐れ入りますが、一つ伺ってもよろしいでしょうか?」を使います。
Aの先天的なタイプには「なぜ、当社との商談に時間を使ってくれているのか」を尋ねましょう。何も理由がなければこの場にはお客様はいないはずです。
一方、後天的なBのタイプは「理解されていない葛藤」があるので、その点を突いてみましょう。その時は「先ほどおっしゃっていた”XXX”について、もう少し詳しく教えていただけますか?」という枕詞がおすすめです。
(3)お客様が時間を使う理由を「確認」する
ABとも「お客様が今この場に時間を使っている理由」を掘り下げることが大切です。Aは比較的ストレートに聞いても構いません。
Bは「何を理解されていないことに悶々としているのか」を突き止めることが重要です。社内にわかってもらえていないのか、それとも外部ベンダーとのズレにストレスを感じているのかを確認して、商談に生かしましょう。
(4)お客様が時間を使う理由に「共感」する
商談のクロージングに向けて、営業からの提案をどこかのタイミングでぶつける必要があります。しかし、7つの習慣の「理解してから理解される」にあるように、まずは営業がお客様を理解することが大切です。そこで重要なのは、頭だけではなく心で理解と共感をすることです。
(5)お客様が時間を使う理由に紐付けて「言葉」にする
「お客様が今この場に時間を使う理由」に紐付けて、提案ストーリーを言葉で伝えましょう。
(例)「本日はお会いできてよかったです。なぜかと申しますと、ちょうど、●●様がおっしゃったXXXという点、実は弊社が最も得意とするところでして…」
お客様のキャラや主張が強い場合は、いきなり会話の主導権を取り返そうと強引に頑張るより、まずは「観察(KANSATSU)」し、タイプを見極めたところで「介入(KAINYU)」しましょう。それから、今この場に時間を使う理由を「確認(KAKUNIN)」し、「共感(KYOUKAN)」を示しましょう。その後に、こちらの提案を、「言葉(KOTOBA)」にして伝えましょう。