営業の現場で、上司と部下がお互い不毛だと感じていても、なかなか無くならないこんな会話はありませんか?
●「あの案件どうなってる?」(報告をめぐるすれ違い)
●「なんでもっと早く相談しないの?」(手遅れの相談)
●「今月、達成できそう?」(着地見込があてにならない)
今回は、これらを無くす方法についてお話します。
不毛な会話の原因
お互いに不毛だと感じている会話が無くならないのは、
●見えるべきものが見えていない
●優先順位の認識が揃っていない
●大事なことが緊急対応に埋もれている
といったことが原因になっているケースが多くあります。マネジャーは「不毛な発言が繰り返されている」と感じたら、何かを見直す必要があると考えたほうがよいでしょう。
マネジャーの行動傾向
マネジャーは基本的に、
①問題を認識する
②考える
③コミュニケーションする
の順番で行動します。①の手段が「メンバーからの報告」や「業績やKPIの集計表」だと、
●多くのメンバーは、悪い情報を報告したがらない
●KPIの集計を見ても、多くのマネジャーは分析の仕方がわからない
といった点でつまづきがちです。
営業マネジャーは①問題を認識した後、②考え、③コミュニケーションする際に、「訪問件数が少ない」→「訪問件数を増やせと言う」傾向があります。不足した数字に対して、増やすよう直接的な指導をするのです。これだとメンバーは具体的にどうしたらいいかわからず、結果として、しばらく経つと同じことが起こってしまいます。
SFAを使い切れていない現状
営業を「見える化」するためにSFAが導入されることは多いのですが、多くのマネジャーは、「数字の集計結果を見る」から先の使い方を理解していません。少なくとも、
●どこを見るか
●どこで介入するか
●どう指示出しをするか
●どう確認するか
までの使い方を各マネジャーが押さえた状態を作っておきたいものです。
「ATM」の使い方がおすすめ
そこで、SFAのダッシュボードを「ATM」の観点で使うことをおすすめします。すなわち、
●Alert:要注意案件及び、停滞や抜け漏れ
●Targeting:優先順位の高い未アプローチ先リスト
●Monitoring:進捗や結果、比較分析
で表示するということです。マネジャーは、現場での確認や指示にAやTを使いつつ、Mのダッシュボードをウォッチするような使い方になります。
SFAを使ったマネジメントサイクル
ATMダッシュボードは、
A:黄色信号(これに注意)
T:青色信号(ガンガン進める)
M:カーナビ(目的地への途中経過)
のように機能しているかどうか、常に確認する必要があります。そして、
●マネジャー及びメンバーに使い方をレクチャーする
●使いにくいダッシュボードを改善する
ということを地道に繰り返していくのです。
SFA活用を成功させるポイント
SFAのダッシュボード活用は、一筋縄ではいきません。組織ぐるみでのサポートが必要です。下図に示した7段階のステップの中で、特にSFA活用の成否を分けるのは①④⑤です。
うまくいかない時は
①「会社から言われているので」の伝言ゲーム
④導入支援部署VS現場の対立
⑤形骸化した入力項目
という現象が起こっています。
SFA活用の成功イメージは「使いこなしている人(チーム)ほど成果が上がっている」状態です。縦軸に業績、横軸に活用度合いをプロットしたら、ラグビーボールのような形状の分布になります。ここまでくると、「マネジャーとメンバーの間に起こる不毛な会話」は激減しているはずです。
「ATM」を共通言語に
SFAはあくまでも手段であり目的ではありません。関係者全員が頭ではわかっていても、実際に使いこなす難しさを前にすると、つい忘れがちになってしまいます。
そこで、ダッシュボードの「ATM」を共通言語化すると、組織全体での意思疎通がスムーズになります。概念ではなく、具体的に作るべきものやタスクを明確にしていきましょう。