某上場企業で全社の営業改革をお手伝いしたときに、全国の販売会社を回ったことがあります。その際、「うまくいっている拠点と苦戦している拠点の違いは何なのか?」「同じ商材を扱っているのに、何が原因で差がつくのか?」というポイントに興味を持ちました。一通り回ったところで「営業組織のステージ」の着想に至ったので、以下で解説してみたいと思います。
「探る」勝ちパターンを見つける
コロナ禍の影響で営業組織の前提はガラッと変わりました。過去の勝ちパターンが通用せず、事業トップもどういう方針を出すかに悩みます。こういう状態は「探る」のステージにあたります。
「とにかくがんばれ」の精神論では組織を導くことはできません。戦略思考型のリーダーシップに基づき、「計算された試行錯誤」が求められるのです。
「回る」ルールや仕組みを整える
勝ちパターンが見い出されたら、「回る」のステージに突入します。「これをやれば成果が出る」というセンターピンを明確にしたら、あとは、やりきるオペレーションを指示統制型のリーダーシップで構築していきます。皆が仕事しやすくなるよう、やることが発散しすぎないように注意しながら、ルールや仕組みを整えていく段階です。
「手放す」自ら考え、試行錯誤する
ルールや仕組みを整え、ぐるぐる回すと成果があがってきます。しかし、「決まったことをきっちりやる」方向に行きすぎると、逆に「言われたこと以外やらない」という雰囲気が漂ってしまうのです。そこで、権限移譲型のリーダーシップで「手放す」ステージへ移行します。目的ベースで自ら考え、試行錯誤する環境を作っていきます。
「仕込む」基準を上げリスクを取る
権限移譲したメンバーが自ら考え、試行錯誤しながら成果があがってくると、リーダーが現場から離れるほど事業や組織がうまくいくようになります。そこで、しばらく安定成長が続きます。ある日、タイミングを見てリーダーは基準を上げリスクを取る決断をします。率先垂範型のリーダーシップで、新しい世界に皆で挑戦していく「仕込む」ステージです。
ステージは進化しながら循環する
新しい世界にチャレンジすると、最初はうまくいかないものです。新規事業や子会社の立ち上げ、大幅なサービス改変、大胆な組織変更……など目指す視座が高いほど、今までの延長線上にはない様々な課題への対処が必要になってきます。こうなると、また「探る」ステージに戻る、というように営業組織のステージは循環していきます。
営業組織のステージは「循環」しますが、同じレベルでぐるぐると周り続けるわけではありません。1巡目より2巡目、2巡目より3巡目というように、チームは進化していくのです。こういった循環と進化が見通せていると、経営者や事業トップは、先を見据えた上で様々なデザインをしやすくなりますね。