まだ関係が築けていない新規のお客様との商談では、課題やニーズを聞こうとしても「いま困っていません」という答えが返ってくることがあります。これは、お客様が「条件反射ブロック」を発動している証拠。実はこれを突破できる1つの”問い”が存在します。
「不信・不要」の壁を突破するには
新規のお客様の、心の中にあるのは「不信・不要・不適・不急」の4つです。そのうち前半には「不信・不要」の壁が存在します。 警戒するお客様は、売り込まれないように(条件反射で)「いま困っていません」というガードをしてしまうものです。その前提は、「(御社の商品に対しては)困っていません」ということを表しています。しかし、この前提を外さないと前に進めません。
質問の仕方を変えてみる
そこで、質問の仕方を変えるという方法があります。ぜひ「●●さん(御社)にとって、やりたくてもなかなかできていないことはありますか?」 という角度で質問してみましょう。これは、「長年解決されていない課題」を聞き出す核心質問のバリエーションの1つです。 このように問いかけることで、売り手の商品に関係する課題や悩みを聞くのではなく、買い手であるお客様の立場に寄り添いやすくなります。
「やりたくてもなかなかできていないこと」には、時間の問題、お金の問題 、社内リソースの問題、緊急性の高い他の課題との兼ね合い、組織内における人の思惑の違いなど、様々な要因が絡んでいます。この複雑に絡み合った要因をほぐすため、返ってきた答えをさらに掘り下げていきましょう。
「やりたくてもなかなかできていないことは?」という質問は、お客様の条件反射ブロックに引っかかりにくいのです。 「御社の課題は?」と聞かれると、売り込まれないよう瞬間的にガードしてしまいますが、「現状に100%満足」という方は非常に稀です。ほとんどの人(会社)は、理想と現状のギャップを抱えていると思っていいでしょう。
有名な「7つの習慣」という本の中で、時間管理の原則が紹介されています。緊急&重要で分けた4つの領域にある「重要度が高いものの、緊急度が低い第二領域に集中せよ」というメッセージは、世の中に広く浸透しています。これは裏を返すと「重要度が高くても緊急性が低いことは、手つかずになりやすい」ということです。
「不適・不急」の壁を突破するには
「やりたくてもなかなかできていなかった第二領域」を確認できたら、「不適・不急」の壁が出てくることが多いもの。そのため、いきなり売り込まずに、「なぜ今までは(手をつけるのが)難しかったのか」をきちんと深くヒアリングすることが重要です。ヒアリングが浅いと、緊急性の高い他の課題に埋もれてしまいます。
これまで難しかった理由を聞いたら「従来のやり方では登れなかった山に対して、別の登り方を提示する」という切り口でサービス紹介をしましょう。これは、「差別化」や「商品の強み」として訴求するポイントです。差別化や強みは、自社都合の文脈ではなく、お客様の文脈に合うようにぶつけることが大事です。