営業がお客様にヒアリングした後、
「〜という理解で合っていますか?」
「〜のように整理してみましたが、違和感ありませんか?」
と確認すると、お客様からは概ね「大丈夫です」という答えが返ってきます。
しかし、それに基づいて提案をすると、実は課題認識がずれていたということがよく起こります。
それはなぜでしょうか?
会話をしながら課題を探っていく
●お客様自身が課題を「正確に」認識する
●お客様が課題を「正確に」営業に伝える
●営業がお客様から聞いた情報を「正確に」受け取る
●営業がお客様に対して「正確に」言語化して確認する
これら全てが「正確に」行われる確率はかなり低いと言えます。
とはいえ、「どこが違うのか」を言葉にするのは難しいものです。
そもそも、営業が「この課題認識は果たして正解なのか?」をお客様に問う構図には無理があります。
そんなときは、少し回り道に感じられるかもしれませんが、
●AとBとではどちらに近いかを問う
●選んだ方について、なぜそう考えたかを問う
をきっかけにして、会話のやり取りをしながら探っていくのがお勧めです。
営業「お客様の課題は、業務の効率化ということで合っていますか?」
お客様「はい、そんなところです」
↓
営業「お客様としては、”より少ない人員で業務を回したい”のと、”全体にかかるコストを下げたい”とでは、どちらに近いですか?」
お客様「コスト削減ですね」
営業「と、おっしゃいますと?」
お客様の課題を捉えるには「(情報として)聞いた課題が合っているか?」を確認するより「どういう思考回路でそれが課題だと答えたのか?」を深掘していく方が、誤解が生じにくくなります。
対話を通じて、お客様の課題に対する理解が深まっていきますし、お客様も、自身の言葉で語っていくうちに腹落ちします。
事前準備のプロセスが重要
「AかBかを問う」はそれなりに有効なテクニックですが、私が言いたいことは、単なるテクニックの重要性ではありません。
お客様の課題をきちんと理解することはとても重要なため、「〜ということで認識合っていますか?」とカジュアルに済ませてしまうのは危険です。
お客様と双方向の対話を通して理解を深めていく必要があります。
また、「AかBかを問う」ためには、課題の仮説をかなり幅広く考えておかないと、商談の場で質問がスッと出てきません。
事前準備の段階で、お客様のことを色々と調べ、想像し、社内の事例を当たり、仮説を立て……そういったプロセスがあるからこそ、「AとBとではどちらに近いですか?」という問いかけができます。