目標やノルマには、”辛い””苦しい”のイメージがつきまといます。
多くの営業組織が「目標」とうまく付き合えない理由は、大きく3つに集約されます。
①マネジャーに、目標達成のためのきちんとした方法論がない
②目標への意味付けが伝えられていない
③「目標よりも大事なこと」について話す場がない
抜けがちな概念
営業目標に満たないメンバーへの関わり方で多いパターンと言えば、以下のようなことが挙げられます。
①●円足りないから●円やろう
②KPIの■が低いからここに注力して
③▲の行動ができていないからやろう
④今のギャップについて君はどう思う?
⑤●円足りないのを逆算で計算すると、行動件数が▼件必要だね
さて、これらに出てこない概念は何でしょうか?
営業目標に満たないメンバーと話す際、抜けがちな2つです。
●どのぐらいのペースで何をやらないといけないのか
●「頭でわかっていてもできない」問題
ペースをつかんでウォッチする
多くのマネジャーは、「今」をスナップショットで切り取って会話します。
しかし、成績は急には上がらないので、「ペース」に関する話をする必要があります。
「ペース」とは、
●いくらのヨミをいつまでに積んでおくべきか?
●週(月)あたり、いくらの商談を新しく作るべきか?
など、「期限や単位期間と紐付けられた金額目安」のことです。
安定して目標達成するためには、「ペース」をつかむ必要があります。
そして、期間を細かく区切って、ペースをウォッチします。
「ペース」を見れば、順調か否かを早期につかんで介入や指導を行えます。
しかし、そこでメンバーには「頭でわかっていてもできない問題」が起こります。
頭でわかっていてもできないメンバーには
「頭でわかっていてもできない」場合、アドバイスだけでは改善されません。
●技術的な指導
●優先順位への介入
●思い込みに気づかせる
いずれかが必要です。
多くのマネジャーは忙しいので、「指示」あるいは「アドバイス」で対応します。
しかし、頭でわかっていてもできないメンバーは、指示やアドバイスだけではなかなか改善されません。
ロープレや勉強会が継続的に実施されている営業組織は、こんなときに強いと言えます。
指示やアドバイスを補完する仕組みがあるためです。
目標達成の方法論が整っていても、目標への「意味づけ」が不十分だと、達成への士気が上がりにくいのです。
「会社からは今期、●●円の目標が我がチームにおりてきている」だけでなく、
●なぜその数字なのか?
●その数字を達成することにどんな意味があるのか?
をマネジャーの言葉でメンバーに伝えます。
目標を目的化させない
営業組織のキックオフに同席して多く見られるのは、「今期の戦略:●●カテゴリでXX円の売上を達成する」といったものです。
これは、「戦略=目標」というケースです。
ここからいきなり数字を達成するためのブレイクダウンに行くのは危険です。
数字にまつわる背景やストーリーを共有できれば、メンバーも自分ごととして考えやすくなります。
目標の意味づけがされた上で、目標達成のための方法論があれば心強いですし、さらに、「目標以外の大事なこと」について皆で話せる場が、たまにでもあることが望ましいです。
目標を目的化させず、「お客様は何を求めているのか?」「私達は何のために仕事しているのか?」といった大事なテーマに立ち戻る機会です。
ミッションやバリューも大切に
特に最近、「目標のために頑張れない若手が増えている」というマネジャーの悩みを多く聞きます。
会社目線で言えば「とは言っても、給料をもらっているプロとして最低限の責任を果たしなさい」というのが正論です。ただし、目標が仕事の最上位概念にきてしまうと、メンバーは精神的にすり切れてしまいます。
目標は達成すべきだし、とても重要なものです。
また、達成するのがプロとしての責任でもあります。
一方で、「何のために我々は仕事するのか?」というミッションや「何を価値観として大切にするのか」というバリューがすっぽり抜けていると、どこかでおかしなことが起こります。
そのため、ときどき「対話の場」が必要になります。