商談で資料を使った説明をするとき、注意すべきは「お客様の視線の行く先」です。
ここへのケアが足りず、説明やプレゼンの内容がお客様にほとんど伝わっていない場合が少なくありません。
対面でもオンラインでも、それぞれコツが必要です。
●説明時にサインを出す
●双方向のリズムを作る
●ボリュームと構成
説明時にサインを出す
まず、「こちらが伝えたいポイントをお客様がちょうど見てくれているかどうか」についてです。
対面であれば、お客様が別のところを見ている気配があったら、相手の興味関心とプレゼンの内容や進め方に何かしらズレが起こっているので、そのまま進めてはいけません。
説明を止めて、本日の関心ポイントを聞きます。
いったん確認し、「私はあなたの興味関心に合わせて説明します」というサインを出します。
このサインを出さないと、お客様が自分の見たいページをめくっていながらも、営業は見られていないページを一生懸命説明するという事態が起こります。
一方、オンライン商談では相手の視線が追えません。
ここでお勧めするのは、PPT資料を投影モードではなく編集モードでプレゼンすることです。
そうすれば、強調しているポイントをなぞったり、補足をその場で書き込んだりしやすくなります。
この動きによって、オンライン商談でも、視線と説明の流れを一致させるという意思を示します。
双方向のリズムを作る
「相手の視線と説明箇所を一致させながらプレゼンする人だ」とお客様に認識していただければ、あとは双方向に話を進めるリズムを作ります。
こちらが資料の最後まで説明してから「ご不明点はありますか?」だと、濃い反応は返ってきません。
こちらが少し話したら、次は相手のターン。
このリズムを作りながら場を進めていきます。
たまに、「まずは最後まで一通り聞きたいと思います」というタイプのお客様が現れます。
このような場合、実は3つのパターンがあります。
①既に判断ポイントが明確
②じっくり考えてから意見を言いたい
③実はあまり考えていない/心がここにあらず
③のパターンの場合、そのまま進めても意味がないので要注意です。
お客様の判断ポイントが明確なのか、じっくり考えたいのかを予めわかっていれば、タイプに合わせて資料を作ります。
結論ファーストで端的に示すか、資料の中に論点マップを作って全体像を示しておきます。
いずれかわからないときは、「コンパクトな本編」+「網羅的な参考資料編」でページの塊を分けておきます。
お客様が「実はあまり考えていない/心がここにあらず」のときは、そのまま進めずに、いくつか質問を投げることで、話すことへフォーカスを合わせます。
ボリュームと構成
いずれにせよ、こういったことを臨機応変にやっていこうとすると、ボリュームのある資料をいっきに最初から最後まで説明するのは避けたいところです。
特にオンライン商談では、お客様のタイプもわからないままに「画面の向こう側で反応が薄い」ということが、ままありますし、さらに相手も複数だったりします。
そのため、とにかく、商談でリアルタイムに使う資料は「枚数を少なく、双方向の議論ができる」ボリュームで作成します。
情報量が多くなるときは、事前か事後に送付します。
いちばん避けたいのは、「絶対に必要なページ」と「念のためにあった方がいいページ」が混ざって1つのファイルになっていて、それを最初から最後まで説明してしまうことです。
「絶対に必要なページ」を見極めるためには、日頃から「相手の視線の動きと説明箇所を一致させる」ことをしておく必要があります。