「接戦を受注する経験」が、営業パーソンの成長スピードを爆上げするきっかけになります。
なぜかというと、「迷うお客様の判断基準をどうクリアするか」と「選ばれるためにどこまでやりきらないといけないか」について、かなり深く学習するからです。
その経験は、今後に向けて大きな財産になります。
選ばれる理由を作り上げる
例えばコンペの超接戦案件。
お客様はどちらに発注するかをとことん迷うので、それぞれのポジ・ネガを洗い出して考えます。
●当社案のポジ・ネガ
●競合案のポジ・ネガ
そうすると、
●当社案のネガ
●競合案のポジ
いずれかが「当社が断られる理由」につながってしまうので、そこをケアする必要があります。
お客様が各社の提案をどう捉えているかについてきっちりヒアリングし、その上で「当社が選ばれる理由」を明確なストーリーに落とさなければいけません。
そのためには、お客様の判断基準を押さえた上で、当社提案への懸念を払拭したり、競合の優位ポイントについてキャッチアップするための方策を立てる必要があります。
お客様のコミュニケーションを想定する
「当社が選ばれる理由」をきちんと作り上げたら、そこから、お客様が「各関係者にどうコミュニケーションするか」を想定してフォローします。
①社内にどう上申するか
②当社にどう伝達するか
③競合をどう断るか
④自分なりにどう納得するか
ここで、多くの営業が①だけ考えて終わりにしてしまい、一歩足りずに案件を落としてしまうのです。
当社を選んでいただき、②当社に伝達される際、理由はシンプルで言いやすいものになっているでしょうか?
もしなっていなかったら、まだお客様は当社の提案に確信が持てていないことになります。
そして肝心なのは、次の③「競合を断る時の台詞」です。
超接戦のコンペでは、「お客様が競合を断る際の台詞」まで考えておくかどうかで勝率が圧倒的に変わります。
ここがクリアになっていないと、もつれて勝負がなかなか決まりません。
購買側を経験すると気づくことですが、際どい相見積もりの場合、「どこかを断る」というのは、心理的にけっこうな負担がかかります。
さらに、お客様が④「自分自身をどう腹落ちさせるか」まで考えておけると望ましいです。
特に法人営業の場合、購買側は「会社のお金で買う」わけなので、オフィシャルな発注理由と、個人的に腹落ちするポイントは同一とは限りません。
意外と個人的に腹落ちするポイントは、パーソナルな理由だったりします。
担当者が個人的に腹落ちするポイントの例としては、例えば
●業界1位の企業に発注する→「仮に納品で多少コケても、自分の責任は問われにくい」
●気に入った営業担当を選ぶ→「一緒に仕事すると楽しそう」
といったものがありますが、こういったパーソナルな理由は稟議書には書かれません。
ここまでをしっかり考えきって案件を成就させると、「そうか、こうやってコンペの勝敗は決まるのか!」という、極めて純度の高い学習体験が得られます。
そのため、特に伸び盛りの若手がチームにいるときは、マネジャーが若手の接戦案件をしっかりと勝たせることは、とても大きなレバレッジがかかるのです。