2024.06.03

「お客様の断り文句」を自ら誘発しないために

営業の方は商談の中で、このようなトークをすることはないでしょうか?

●高いと言われるのですが、機能は充実しています
●他社と似てはいるのですが、ここが違います
●使いこなせるか不安という声もいただきますが、しっかりサポートします

これらの台詞によって、無意識のうちに「お客様の断り文句」を自ら作ってしまっているかもしれません。

断り文句を作ってしまう営業の心理

まず、これらに潜む営業の心理を構造的に考えてみます。

営業が誘発しているお客様の断り文句の例を挙げてみましょう。

●高いと言われるのですが、機能は充実しています→「やっぱり高いので…」
●他社と似てはいるのですが、ここが違います→「他社との違いを感じられなかったので…」
●使いこなせるか不安という声もいただきますが、しっかりサポートします→「使いこなせるか不安なので…」

そして、営業がお客様の断り文句を誘発している場合を、「自信の有無×意識の有無」で4パターンに分けてみます。

①自信がない&無意識に言っている
②自信がない&意識的に言っている
③自信がある&無意識に言っている
④自信がある&意識的に言っている

マネジャーからの指導方針は、それぞれの場合で異なります。

パターンに合わせた指導方法

①自信がない&無意識に言っている

こういう場合は、「お客様から(他社と)比較されたときにどう訴求するか」「自社の強みをどう伝えるか」について、トークを中途半端に教わっていることが多いです。

そのため、「何となくうろ覚え」のままに話してしまいます。

こんなときには、以下のように指導するのがお勧めです。

●自社の強みを訴求しているトークを動画教材化する
●そのトークが、なぜそういう表現になっているかを解説した資料(動画でもよい)を作る
●力強く言えるようになるまで本人に練習してもらう
●商談同行して、実際に言える場面をお膳立てする

②自信がない&意識的に言っている

これは、既にその理由(例:高いよねと言われる)で何回か断られた経験があるメンバーに多いです。

そして本人も心の中でうっすらとお客様の意見に同調しています。

この場合は、トークよりも「本人の認識」に原因があります。

こんなときには、以下のように指導するのがお勧めです。

●断り文句を反証する受注事例を集める(「高いよね」→他社より高値で受注した事例)
●事例をメンバーと共に研究する(価格で断るお客様と、高くても発注するお客様は何が違う?)
●研究結果を自らメンバーの目の前で実践し、認識を書き換える

③自信がある&無意識に言っている

ある程度の経験値を持つメンバーは、「高い(他社と似ている/使いこなせない/…)」と言われても、受注する自信を持っています。

しかし、タイミングを間違えるとヤブヘビになるという事実に気づいていないこともあります。

こんなときには、以下のように指導するのがお勧めです。

●営業メンバーの台詞に対するお客様の反応を、同行時にメモしておく(お客様の顔が明るくなった/曇った)
●商談後、「この台詞を言った後にお客様がこういう表情をしていた」とフィードバックをする
●言葉の順序の組み立てを一緒に研究する

④自信がある&意識的に言っている

オブジェクションハンドリングや応酬話法が一定水準以上だと、「断られる理由を先につぶす」発想を持ちやすくなります。

それ自体は間違いではありませんが、その前に「当社を選ぶ理由」をしっかりと作っておくと受注率がさらに上がります。

こんなときには、以下のように指導するのがお勧めです。

●商談同行して、当社ポジティブ評価の台詞(例:御社のサービスは品質が高い)を自ら深掘りする場面を見せる
●ポジティブな台詞は「当社を選ぶ理由」につながることを示す
●「当社を選ぶ理由」をしっかり作ってから反論に対応するやり方を教える

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