営業の方の中には、「デリケートなことは、お客様と関係構築できてからでないと質問してはいけない」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、これは典型的な「思い込み」の1つだと言えます。
そして営業の実力は、こういった「思い込み」にとらわれなくなることで格段に伸びるのですが、多くの営業がこの「思い込み」にはまっており、外し方にはコツが必要です。
「関係構築できるまで聞いてはいけない」わけではない
まず、「デリケートなこと」の定義は人によって異なります。
営業マネジャーの方は、ぜひメンバーの認識を確認してみてください。
パフォーマンスが上がらないメンバーは、本気で「お客様が悩んでいることを深掘するのは失礼」「お客様にお金のことを聞いてはいけない」などと思っている事が多いのです。
これらも全て、「思い込み」です。
「どうなったら関係が構築できたと言えるのか」というラインは人によって違いがあり、あくまでも相対的なものです。
また、「関係構築ができたら聞きやすくなる」というのは事実ではありますが、だからといって「関係構築できるまで聞いてはいけない」わけではありません。
では、なぜ「デリケートなことは、お客様と関係構築できてからでないと質問してはいけない」と思い込んでしまうのでしょうか?
これについて私は直接、数千人の営業の方に確かめてみました。
その結果、「過去において、デリケートな(と本人が思っている)ことをお客様に聞いたとき、快く答えていただけなかった、または困惑されたから」という回答が最多でした。
しかしここには重大な誤解があります。
デリケートなことを聞くこと、それ自体が間違いなのではなく、次のような原因があるのです。
●会話の順序が悪かった
●間やタイミングが悪かった
●尋ね方の表現が悪かった
●聞く相手が悪かった(法人営業の場合)
そしてこれらは、いずれもトレーニングで改善することができます。
「聞いたら失礼」の”思い込み”を外す指導
トレーニング方法は3つあります。
●ロープレで「会話の順序」「間やタイミング」「尋ね方の表現」を教える
●商談同行で手本を示し、「聞いても大丈夫」な場面を見せる
●同行の際「何かあったらフォローするから、どこまで聞いても大丈夫」と背中を押す
営業が強い会社は、これら3つを必ず実施しています。
「聞いたら失礼」の”思い込み”にハマって、お客様と仲良くなるまで聞けない営業がいる一方で、初対面だろうと初回訪問だろうときちんと質問できる営業もいます。
強い営業組織では、例外なく「お客様の課題を解決するために、必要なことを聞かないのは失礼だ」というカルチャーが浸透しています。
もし、「初回訪問からなかなか先に進められない」というお悩みをお持ちなら、まずは「思い込み」を外すためのトレーニングをお勧めします。