「どうしたら、お客様の真の課題を聞けるのか?」という営業の相談を受けることがあります。
SPINの手法は有名ですが、S→P→I→Nと質問していけば真の課題を捉えて提案できるような甘い商談は、実は稀です。
私が「真の課題」を捉えるのにお勧めするのは、「これまでずっと解決されてこなかった課題」から切り込むアプローチです。
ずっと解決されずに残っている課題
「課題」というのは極めて抽象的な概念なので、「いま自分が聞いたことは真の課題なのか」について確信が持ちづらいものです。
お客様もはっきり言語化できなかったりすると、尚更難しくなります。
そこで、次のように質問してみます。
「御社で、これまでずっと解決されずに残っている課題はありますか?」
だいたいどこの会社でも、そういう課題があるものです。
この質問で「これまでずっと解決されずに残っている課題」を聞けたら、次に「踏み込んだ質問になってしまったら恐縮ですが、それは、なぜこれまで解決されずに残っているのでしょうか?」と質問します。
そしてお客様からの回答をひたすら深掘りしていくのですが、その際、自分の意見やカウンターを交えず、「聴く」ことに徹することが重要です。
批評家のような担当者へするべき質問
このように「これまでずっと解決されずに残っている課題」を切り口に深掘りしていくと、2パターンに分かれます。
①当事者意識のある相手なら、お客様が自分で真の課題に行き着く
②当事者意識のない相手だと、途中から批評家っぽくなる
①の場合はそのままSPINを進めますが、②の場合には、お客様の愚痴が増え、批評家っぽくなり、行き詰まってしまう営業が多いです。
しかしそこで「この人はキーマンではない」といきなり切り捨ててしまうのは早計です。
ここで、「もし仮に、●●さんが事業部長の立場だったらどうしますか?」という角度で聞いてみましょう。
当事者意識がなく批評家っぽい担当者に対してこのような質問をすると、一瞬、場が止まります。
そこでひるまず、沈黙を恐れず、少し待つのがポイントです。
これまでさんざん自社の批評をしてきた担当者は、色々と言った手前、少し考え始めるモードになります。
批評家っぽい担当者は、当事者意識が薄い分だけ逆に「自社を客観的に」見ています。
そのため、しっかりと深掘りした後にディスカッションに持っていけば、「お客様の企業が陥っている構造(悪循環)」を言語化しやすくなります。
そして、組織の周辺事情も聞くことにより、キーマン接触の作戦も立てやすくなります。
真の課題をおさえていれば、より大きな予算も確保していただきやすくなりますし、当社提案の優先順位も上げていただきやすくなります。