接戦コンペでは、お客様に対して「当社の差別化ポイント」を一生懸命アピールしたり、当社提案に対するオブジェクションハンドリングをがんばる営業が多いのではないでしょうか。
ここで意外と手薄になりがちなのは「競合提案のどこをお客様が気に入っているのか」の確認です。
今回は競合提案のポジティブ評価を聞くことのメリットや、聞けない営業の心理状態についてお話ししていきます。
競合のポジティブ要因を聞くと、勝率が上がる
「他社の提案を気にせず、お客様にベストな提案をする」
「他社提案に対する評価は押さえた上で、競合とは一線を画した提案をする」
この2つは、似ているように見えてかなり違います。
前者だけで勝負できるのは、よっぽどプロダクトやブランドで差をつけている場合です。
接戦の場合は後者で戦った方が勝率が上がります。
ここでのポイントは、「御社から見て、他社さんの提案に魅力を感じられているポイントは、実は当社でも満たせるんですよ」ということをお客様にしっかり伝えることです。
お客様が競合の魅力だと感じているポイントについて、こちらでは満たせないとお客様が認識していたり、逆にこちら側が、その競合のポジティブ要因を自社でも満たせることに気づいていないケースが多いのです。
このお互いの情報ギャップや認識ズレをなくすと、圧倒的に勝率が上がります。
「他社の提案を気にするのはダサい」という美学(?)のもと、他社提案への評価を聞かないのは非常にもったいないことです。
競合提案のポジティブ要因を聞くには、1歩踏み込む勇気を
接戦の時は、お客様側も、営業に対する発言に気を使います。
まだ結果が決まっていなければ、お客様は「公平性の観点で」とか「まだ社内で検討中なので」のようにお茶を濁しますが、そこから突っ込んで聞けない営業は多いと思います。
接戦のコンペでお客様が「かわし」「はぐらかし」モードになったとき、オブジェクションハンドリングを仕込まれている営業ほど、自社提案に対するネックを確認し、それを必死に払拭しようとします。
その際、
「それを質問すると、お客様の心の中で競合の提案に傾いてしまうのでは?」
「聞くことで嫌われてしまうのでは?」
という不安が営業にはあると思います。
しかし、そこが盲点です。
聞くことで、自社のさらなるアピールができます。
そして、突っ込んで聞かれることに対しての怒りのボーダーラインは、営業が思っているほど、手前にないものです。
お客様はむしろ自社を理解して欲しいため、聞いてくれる営業の印象は良くなると言えます。
接戦のコンペでは、きちんと競合へのポジティブ評価を聞き出し、「それだったら当社でも満たせますよ」と伝えられるところまでが必要な流れなのです。