営業の方だったら誰しも、お客様に対してなるべくお役に立ちたい、価値貢献したい、と思われていると思います。しかし実際のところ、営業が良かれと思ってやっていることは、必ずしもお客様がいいと思ってくださらなかったり、営業がアピールしていることは「そんなのどこの会社でも言ってるよ」とお客様に思われてしまう…よくあることですよね。 そこで今回は、どうやってその価値に対して敏感になっていくか、ということをお話していきたいと思います。
「違い」の答え合わせをする
お客様とのお話の中で、当社のほうが競合よりも何か優先してもらったり良く扱ってもらった、というようなことがあると思います。
例えば 「ほかの会社には部長を紹介していないけど、うちにだけ部長を紹介してくれた」 「このお客さんは各ベンダーに対して一時間しか時間を取らないんだけれども、今日は一時間半くれた」 そんな風に競合とちょっと違いがついたぞ、という状況です。
この違いがついた状況が生まれた時に、ほとんどの方は「ラッキーだな、なんかうちだけ紹介してもらえたぞ」という風に「良いことだ」ということは認識するんですが、その先の「何でそういう風になったか」をあまり掘り下げない方が多いんです。
例えば、他の会社はまだ部長を紹介されていないのに、うちの会社だけ先に部長を紹介してもらったぞ、となったら必ずあとで答え合わせをしてみましょう。 お客様に電話をかけて、「ちょっとつかぬ事をお伺いしますが、たぶん部長さんを紹介していただいたのってうちだけですよね」と。そして「御社のご期待とか、思われているところに対してきちんとお応えしたいと思いますのでお聞きするんですが」、という枕詞をつけた上で、「なぜ他の会社さんにはまだ部長をご紹介されていないのに、当社だけ部長が同席されたんでしょうか。ご参考までにお聞かせください」。 こうやって、なぜうちだけ上司が同席されたかを聞いていくわけです。
商談時間なども、「通常だと御社って一時間が商談時間なのに、今回は結構長かったですね。なにか変化の要因があるのでしょうか?事情があるのでしょうか?」と探っていく。 もっと細かいレベルでいくと、「このお客さんはいつもは関心なさそうに資料をめくるだけなのに、今日は結構メモの回数が多いぞ」こういう時があると思うんです。こういう時に、「あ、なんか今日メモしてくれてるな」で止めてしまう方が多いと思いますが、こんな時も聞いてみることをお勧めします。 ただ、「いつもなんか眺めてるだけですね」なんて言ったらさすがに失礼なので、そこはちょっと表現を工夫します。 「今日はいつもよりも資料でメモを取っていただいている箇所が多いと感じるんですが、今後も御社に対していい価値貢献をしていきたいので、どういう点が今までと違ったのか教えていただけますか?」など、必ずこの「違いを確かめる」ということをしていただきたいのです。これは非常に大事なポイントで、実はこういうポイントっていっぱいあるんですよね。
価値が生まれるポイントに敏感に
例えば他の営業マンがすごく成績を上げていて、自分よりも調子がいいぞ、という時、おそらくその営業マンはいろんな会社から成功事例の教訓が得られていると思うんです。その時に事例を聞いて、多くの方が「たまたま彼の担当先はそういうことができたかもしれないけど、うちのお客様は違うんだよ」という風に考えてしまう。これはとてももったいないんですね。
そんな時は、「今のギャップについて何か自分が参考にできる点はないんだろうか」「何が彼と自分とで違うんだろうか」という風に「違い」を自ら確かめるということをやっていただきたいんです。 ギャップというのはすなわち「その価値が生まれてくるポイント」ということになりますので、そこに対して敏感になっていくと、その確かめた結果や情報を得た結果によって、自分の活動に必ずプラスのフィードバックが来ます。
ですので、ぜひこの「価値のアンテナ」を立てていただいて、「競合と自社の差」「今までと今回の差」あるいは「他の営業と自分との差」ということでも構わないんですが、何かそこにギャップが生じたら、必ずそれを確かめるということを習慣にしてみてください。