たった一言で自然な文脈を作れる
「ちょうどつい先日作戦」を使う場面、それはこちら側から出したいメッセージに自然な意味合いを持たせたい時です。 例えば、初回訪問で相手に対して強く印象づけたい場面。「うちにはこんな実績がありますよ」とアピールしたいけれど、それが相手にハマるかどうかなかなか事前にはわからなかったりしますよね。そんな時、こういう言い方をしてみます。
「ちょうどつい先日御社と同じような会社さんでこういうようなプロジェクトがありまして、こんなことがあったんですよ。やっぱりそういうのって御社でもありますか?」
こう言うと、さりげなく実績をアピールすることもでき、ついでに課題も聞き出しやすくなります。 同じようなことを「ちょうどつい先日」という枕詞を使わずにいきなり「御社こういう課題ありますか」や「うちにはこういう実績ありますよ」といったストレートな物言いをしてしまうと、それが微妙に外れた時に、後が苦しくなってしまいます。そこで「ちょうどつい先日」という言葉を前につけることで、とても自然な文脈として出てきますし、仮に外れたとしても次の話題に振りやすくなるのです。
私自身は試したい仮説などがある時に、「ちょうどつい先日、他の会社さんで…」「ちょうどつい先日、参加したセミナーで…」「ちょうどつい先日読んだ本で…」という感じで、「ちょうどつい先日」の後に自分が聞きたいポイントに関わるエピソードを出し、「御社はどうですか?」とか「●●さんはどうですか?」などと聞いてみます。
もともとトークに長けていて、割ともうそういうのうまいですよ、という方はいいのですが、いつもお客様との会話がぎこちなくなってしまうとか、こんなことをいきなり聞いていいのかちょっと迷うとか、確かめてみたい仮説があるけれどいきなりは聞けない…というような時に、「ちょうどつい先日」という言葉から始めると話の流れを自然につないでいきやすいのです。 そしてこの作戦をやっていくと、同時にもう一個プラスの副次的効果があります。
「ちょうどつい先日」が循環し始める
営業の方だったら日々いろんな会社さんを回ったり、いろんなお客さんとの商談や会話があると思いますが、「ちょうどつい先日」という言葉を使ってお客様に話すのがだんだん自分の習慣になっていくと、面白いことに、普段の営業の仕事の中でお客様との間に起こることや話したことに対して「あ、これは材料に使えるな」とか「こういうトークで使ってみよう」というアンテナが働くようになってきます。そうすると、「ちょうどつい先日」が循環し始めるんです。
「ちょうどつい先日こういうお客様にこういうことがありまして…」と話したお客様にこういう反応があった、ということをまた別のお客様に「ちょうどつい先日…」と話していくと、事例がどんどんぐるぐる回ったり、反応がぐるぐる回るようになっていきます。
同じことを「ちょうどつい先日」という言い回しを使わずにやっていこうとすると、文脈がなかなか自然になりづらいので、ぜひみなさんもこの「ちょうどつい先日」という言葉に続けて何か試したい仮説をぶつけてみたり、何か聞いてみたいことを言ってみたり、さりげなく自社のアピールをする、ということを試してみていただきたいと思います。