2024.06.08

インサイドセールスや新規開拓営業における電話の会話

今回は、「インサイドセールスや新規開拓の電話での会話をどうするか」ということについてお話します。 特に若手の方からは「お客様にすぐ電話を切られてしまう」とか「話せる時間が短い」、「関係性ができていない」などのご相談を受けることがとても多いです。

私がテレアポをやり始めたのは、大学生のアルバイトからでした。 最初は、とにかく関係ができていない中で、相手の顔も見えず、あまり歓迎されない状態で話をするということに難しさを感じました。

今のご時世ですと、インサイドセールスとかマーケティングがかなりしっかりされることによって、例えば問い合わせを元に接触するようなやり方になっていて、代表電話に次から次へとかけて……というのはだんだん減ってきているかもしれません。

ただそれでも、やはり関係性ができてない中でコミュニケーションするというのは結構勇気が要りますよね。 そこで私がまず一番最初にやったのは「会話を長くすること」です。

まずは会話を長くする

「アポを取らなくてはいけない」とか「商談を前に進めなくてはいけない」という気持ちでやっていると、どんどん追い詰められていって、うまくいかないときには心が折れそうになってしまいました。 そこである程度割り切って、ストップウォッチを横に置いて「まずは会話を長くしよう」と決めたのです。

当時(2003年頃)は東洋経済の『四季報』を買ってきて、一部上場企業のリストを元に代表電話にかけていたのですが、当然ながらどんどんシャットアウトされてしまうので、とにかく長く話す練習をすることにしました。 たしか、最高記録は23分30秒ほどだったと思います。 代表電話でそれだけ長く話すというのは珍しいことですよね。

「どうしたら会話を続けてくれるだろうか」と考えたときに、まずいかにも売り込み然とした会話は、条件発射ブロックに遭いやすいなと思いました。 だから、最初に工夫をしたのは「いかに典型的なシャットアウトに遭わないようにするか」ということです。

ただ会話に慣れてくると、話は長くできたとしても次に繋がらないという問題が出てきます。 こちら側から用件を伝えたり、聞くべきことを聞いたりしなくてはいけません。 その時に重要になるのが「端的に物が言えるか」ということでした。 したがって次のステップとしては、短い時間の中で「ポイントを突いて言う」とか「言葉を少なくして聞く」ことを意識しました。

落ち着いたトーンで切り出す

私自身、たまに新規営業の電話を自分で受けることがありますが、そこで若手の方と話して思うのは「ひたすら電話をかけているモード」と「電話が繋がって話ができるモード」を同じモードのままやってしまう方がすごく多いということです。

電話を取った瞬間に「あぁ良かった繋がった」という雰囲気が漂う方がいらっしゃるのですが、その時点でよくある売り込みっぽい感じがしてしまうというのが正直なところです。

繋がるかどうかドキドキしながらたくさん電話をかけているときと、繋がった後の会話で、パッと切り替えられるかどうかはすごく大事です。 電話が繋がったら、なるべくゆっくり落ち着いたトーンで話しましょう。

落ち着いた印象は安心と信頼に繋がる

若手の方は、慌てて話されることがほとんどです。 だから、入口段階で慌てている時点で「はいはい、なんかよく来る電話ね」と思われてしまいます。

先日とあるサービスを契約したのですが、その新規営業の電話の方は、ものすごく落ち着いていた印象があります。 切り出しが落ち着いているだけで安心感があるのです。 一旦会話が始まったらとにかく落ち着いたトーンで話をすることが、安心感や信頼感に繋がってくるのだと思います。

特に、SDRやBDRの方でプッシュの色合いが強いコールを多くかけている方は、相手の方が「とにかく切りたがっている」と思いすぎてしまい、つい早口でたどたどしくなりがちです。

何人かに1人でも「今ゆっくり話せますよ」ということがありますから、相手の方がどういう反応であろうとも、落ち着いて話をしましょう。 入口のところを変えるだけでだいぶ印象は変わってくるはずですよ。

「教えてくれるお客様」を探す

また、電話口にはたまに「今がタイミングのお客様」と「教えてくれるお客様」がいらっしゃいます。

「今がタイミングのお客様」というのは、探そうとするとどうしても門が狭くなってしまいますので、「実は会社が今こんな状態なんですよ」などとお話してくださるような「教えてくれるお客様」を探すことがおすすめです。

そういうお客様と幸運にも繋がることができると、若手の方でも落ち着いて話せるのではないかと思います。

振り返りをして感度を上げる

私が電話をする若手の方々を育成する時には、「とにかく楽しく会話することをゴールにしようか」というのを入り口にして、ある程度気持ちを落ち着けて、ゆったりと長く話せる状態をまず作ります。

次に毎日終わった後の振り返りで、「アポが何件取れた」とか「商談が進んだか」などのプレッシャーをあまり過度にかけすぎず、「気づいたことの数」を若手の方と話すようにしています。

単純に確率論だけで次から次へと電話をかけていくと、感度が鈍って、どうしても対応がテンプレート的になってしまいます。 1件ずつの電話から気づきや発見を得るようにすると、電話の活動も続けやすくなると思いますよ。

育成側の見本は「トライする姿勢」を見せる

最後に、育成側の方にとって大事なことをお話します。

さまざまな会社で「見本を見せる」場面に立ち会ってきて感じるのですが、見本を見せようとすると、人はつい「上手くやろう」としてしまうのです。 少し緊張していつもと違う感じになってしまうこともありますよね。

実は、きれいに上手くいった例よりも「なかなかうまくいかないけれども何回かトライする例」のほうが、若手の方には一番響くものです。 育成側の方は、上手くやることよりも、トライする姿を見せることを強く意識してみるといいのではないでしょうか。

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