まずは、お客様の「真のニーズ」を知る
今回は「真のニーズと予算を聞き出す会話の組み立て方」についてお伝えします。
成功しない営業活動に共通する問題として、「お客様の真のニーズや予算に関する情報を正しく 聞き出せない」という点が挙げられます。
先日、『キーエンス解剖 最強企業のメカニズム』(日経BP)という書籍を読みました。
本書には「『お客様がまだ自分で気づいていないニーズをいかに引き出すか』が重要であり、この問題に対して多大なエネルギーを注いでいる企業がキーエンスである」と記述されています。この「お客様がまだ自分で気づいていないニーズ」こそが真のニーズということができるでしょう。
「予算は決まっていない」を信じてはいけない
また、成功しない営業は、予算についてお客様から得ている情報が不明瞭であることが多いです。
例えば、お客様から「予算はまだ決まっていない」という回答を受け取るとします。しかし、いざ見積もりを出すと、お客様から「こんなに高いのですか?」という驚きの反応をされることがあります。驚きがあるということは、お客様の中に何かしらの「予算」があったということです。これを事前につかめていない中で提案をしても通りづらい、ということです。
弊社代表の高橋は日常的に多くの営業とロールプレイをする中で、予算に関する質問が適切なタイミングで行われていないということに気づいたと言います。
営業はしばしば、予算のことを「確認しなくてはならない1つの項目」として考え、商談の後半で突然その話題に触れようとします。しかし、お客様にとって予算は敏感な話題であり、積極的に共有したくない人も多いです。 情報収集の段階で本当に予算が決まっていないケースもあります。
こうしたときは、具体的な予算を聞き出すのではなく、「いくらを超えたら検討の対象外なのか」という上限、いわば「お財布感覚」を教えていただけるようにしましょう。
お客様が「商品を欲しくてたまらない状態」を作る
そのためには、予算について触れる前に「ある状態」を作る必要があります。それは、「お客様が商品を欲しくてたまらない状態」です。
「欲しい」という状態が作られる前は、お客様の気分はそれほど盛り上がっていません。こうした状態でお金のことを聞かれたとしても、お客様は言わなくて済むのであれば言わないようにしますし、会社で決まっていないのであればそのように言うでしょう。
逆に、お客様が「どうしても欲しい」「どうしても買いたい」という状態になったとしましょう。そうすると、お客様からしても「なんらかの相場観を伝えておいた方がいい状況」になるわけです。相場に沿った提案を営業が出すことができれば、社内の承認などもスムーズに進むからです。 では、どうやって「欲しい」「買いたい」という状態を作ればいいのでしょうか?
そのためには、お客様が「他の選択肢では満たせなかったものが、満たせそうだ」と感じることが重要です。
「他の商品で満たされなかった理由」を押さえよう
お客様の中には、営業が提案する商品やサービスと比較する「他の選択肢」があります。
だからこそ、営業はお客様が「他の選択肢」では満たせないものが手に入る状態を作る必要があります。
そのためには、「他の選択肢では満たせない理由」を商談で明らかにしましょう。「他の選択肢」ですでに満たされているのであれば、お客様は追加の商談をしていないはずです。だからこそ、「なぜ『他の選択肢』で満たされなかったのか」ということについて、お客様に聞いてみましょう。
「他の選択肢」で満たされなかった理由をお客様と共有し、「この商品はその悩みを解決するものだ」という認識がお客様の中で高まったタイミングで予算について聞きます。
「このラインを超えたら検討の対象外」というのはどのような商談においてもあるものです。だからこそ、「それを教えていただいた方が、いいご提案ができます」とお伝えすれば、お客様としても「それでは、予算についてお伝えしよう」となるわけです。
「真のニーズ」を知るために覚えておきたい言い回し
提案をする際には、「表面的なニーズ」と「真のニーズ」を分けて考える必要があります。
多くの営業の方は、表面的なニーズを聞いた状態で「はい、かしこまりました」と言って持ち帰ってしまいがちです。
ですが、本当にお客様にとって良い提案をするにはお客様の真のニーズを知る必要があります。
そのためには、「もう少し詳しく伺ってもいいですか?」という言い回しを使うことです。
このフレーズを商談中に一定の割合で入れていけば、お客様が話しているうちに、本当に求めている真のニーズが出てくでしょう。