社内の営業人材育成を推進したい

2024.07.25

成功する営業は製品やサービスの紹介をしない

求められる営業は「解決策を提示するコンサルタント」だった

営業ではお客様の問題を深く理解し、解決策を提供する

営業では多くの場合、ただ「サービスの特長」や「他社との違い」を訴えてもお客様の心には響きません。それ以上に、お客様の問題を深く理解し、解決策を提供するコンサルタントであるべきです。それには「お客様が今この場に時間を使っている理由」を深掘りすることが重要です。

重要なのは「今この場に時間を使っている理由」

今回は「お客様が今この場に時間を使っている理由」についてお伝えします。

商談の場で「このサービスが必要なのは今ではありません」「昔から他社との付き合いがあります」とお客様が言ったことに対して強引にその考えを変えさせようとすると、逆にお客様は心を閉ざしてしまいます。

単に「サービスの魅力」や「他社との違い」を強調するだけの営業では、成約率は上がりません。むしろ重要なのは、お客様が「今この場に時間を使っている理由」を深く掘り下げることです。

多くの場合、ただ「サービスの特長」や「他社との違い」を訴えてもお客様の心には響きません。まずはお客様のことを深く理解し、営業都合のストーリーではなくお客様に合った文脈で提案をする必要があります。

営業が理解すべきは、以下の点です。強引なアポイントメントではない限り、この質問の答えには必ずヒントが隠されています。

  • 「今じゃない」と感じているのに、なぜお客様はこの商談に時間を割いているのか?
  • 「昔から他社と付き合いがある」と言いながら、なぜお客様はこの商談に時間を割いているのか?

お客様を理解することは信頼関係を築くこと

お客様が「今ここで時間を使っている理由」を丁寧に探求することで、営業の提案が必要とされている根拠が見つかります。ただし、お客様が「売り込まれるのではないか」と警戒している状態では、その根拠を聞かせていただくことはできません。正面から説得や論破を試みても、この壁は突破できません。

よく「営業は売り込まないから売れる」と言われますが、これを「売り込まずに待つだけ」と誤解する営業も多いです。実際のところ、ただ待つのではなく、「お客様が今この場に時間を使っている理由を積極的に探求する」ことが必要です。

この「理由」をしっかりと把握することは、お客様との信頼関係を築く上でも非常に重要です。営業の提案に対するニーズがあるということは、お客様自身も「理解してくれる営業とは関わっていきたい」と考えているということです。しかし、強引な営業をすると、そのような関係を築くことはできません。

お客様の抱えている問題を正しく理解する

お客様が何も問題を抱えていないということはまずありません。しかし、多くの営業はお客様が「特に困っていません」と言うと、その言葉の通りに受け取ってしまいます。

お客様が「特に困っていません」と言う場合、多くは自社の製品やサービスに対する需要がない、という意味でしょう。しかし、それは「全く問題がない」ということではありません。その事実に気づくことが重要です。

弊社代表の高橋は商談の際、まずは自社のサービスや商品のことは一旦脇に置いておいて、お客様を理解することに時間を使います。具体的には、お客様に「忙しいにも関わらず、今ここに時間を使っている理由」を聞きます。

そうするとお客様は様々な会社の状況を教えてくれます。それを深く掘り下げることが重要です。

実は、「忙しいにも関わらず、今ここに時間を使っている理由」というのはお客様ご自身もわかっていないことがあります。

アインシュタインはかつて、「もし世界を救うために残された時間が1時間しかなかったら、私はそのうち59分を問題の定義に使い、残りを問題の解決に使うだろう」と述べたと言われています。

お客様に限らず、人は問題を正しく特定できたら、その問題をほとんど解決することができてしまうのです。

「その課題が長らく解決されていない理由」を探る

課題の理解について考える際、多くの営業は「新規売上が伸びていない」といった明確な問題点に注目します。しかし、単に課題が何であるかを知るだけでは不十分です。より重要なのは、その課題が長らく解決されていない理由を探ることです。

もちろん、お客様も何らかの対策を講じているはずです。それにも関わらず問題が解決しないのであれば、根本的な要因が別に存在している可能性が高いのです。ここで考慮すべきは、お客様が何に時間とリソースを費やしているのか、そしてそれが現在の課題解決になぜ結びついていないのかを理解することです。

このプロセスを深堀りすると、多くの場合、組織内の課題が浮かび上がります。例えば、「社内で意見がバラバラだから総力戦ができていない」といった事情がわかることもあります。このような情報が明らかになれば、私たちが提供できる解決策の方向性も明確になります。

事例紹介だけでなく、実績と効果を明確にする

その際、成約への障壁となるのはお客様の「あなたたちがなぜ解決できると言い切れるのか?」という疑問です。この疑問に対する最良の答えは、同様の課題を解決した実績を示すことです。そしてその実績がどれだけお客様の現状に近いかを明らかにすることで、信頼を勝ち取ることができます。

しかし、事例だけを出しても、お客様はすでに様々な解決策を検討しています。だからこそ、私たちの提案が他の解決策と何が違い、なぜ効果的なのかを明確にする必要があります。

総じて、課題の理解はお客様の現状を深く探る過程であり、その課題に対する自社の解決策が本当に有効なのかを検証する過程でもあります。この両方をしっかりと行うことで、お客様に真の価値を提供できるのです。

営業は「製品やサービスの紹介者」ではない

成功する営業はただの製品やサービスの紹介者ではありません。それ以上に、お客様の問題を深く理解し、解決策を提供するコンサルタントであるべきです。それには、単に自社のサービスが他社より優れているとアピールするだけでは不十分です。何がお客様にとって本当に重要なのか、それを論理的かつ感情に訴える形で説明する必要があります。

お客様が他社のサービスで満足していない理由がある場合、何に満足していないのかを正確に把握することが大前提です。その上で、「当社のサービスだから解決できる」という明確な根拠を提示しましょう。もしその点で説得力が欠けていると、お客様からの信頼は得られません。

多くの営業は自社の提案を急いで述べるために、お客様が本当は何に困っているのかを見落としてしまいます。しかし、お客様に「この会社は私たちのことを理解している」と感じてもらうことができれば、信頼は自然と築かれます。

この信頼を築くためには、お客様との対話が鍵です。営業として、お客様としっかりと対話を重ね、そのニーズと期待に応えられる提案をすることが成功への道です。

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