営業メンバーのスキルを上げたい

2024.06.27

競合に勝つための「オーラ」は工夫で作れる?

「価格だけで選ぶのはもったいない」とお客様に思っていただく方法

値段しか見ないお客様に提案の価値を伝えるには?

営業活動をする中で「値段しか見ないお客様に提案するのが難しい」と感じるのはよくあることだと思います。では、そのようなお客様に対して営業はどのようなアプローチをすればいいのでしょうか。今回は「お客様の判断軸を揺さぶる」という観点から説明します。

まずはお客様とイメージを共有しよう

今回は「値段しか見ないお客様に付加価値提案をする方法」についてお伝えします。

「値段しか見ないお客様に提案するのが難しい」「価格競争に陥らない方法はありますか?」といったご相談をよくいただきます。カギとなるのは、お客様の判断軸を良い意味で揺さぶる3つの質問です。

お客様の判断軸を揺さぶる3つの質問

  • ①網羅感を問う
  • ②具体感を問う
  • ③優先順位を問う

引っ越しのお部屋探しの場面をイメージしてみてください。もし自分が街なかにある不動産屋さんに入るとしたら、最初は以下のような「数字で表しやすい指標」「わかりやすい基準」で選択肢を考えるはずです。なぜなら、まだ物件のイメージが湧いていないからです。

  • 家賃
  • 間取り
  • 駅から徒歩●●分
  • 築年数●●年まで

不動産屋さんの「どんなお部屋をお探しですか?」という質問に、家賃、間取り、駅からの距離、築年数などの希望を伝えると物件リストが出てきます。これは、法人営業で言えば「わかりやすい指標だけが話題に出てくる商談の序盤」に相当します。

お客様の「変化」を見逃すな

しかし、お部屋探しはここで終わりません。不動産屋さんからの質問と、内見によって幅が広がります。

家族構成やライフスタイルがそれとなく会話に出てくると、例えば以下のような人それぞれの「希望条件」がさらに明らかになります。

  • 仕事が忙しいから、コンビニ、スーパー、クリーニングが近いほうがいい
  • 子供の安全のために、交通量が多い大通りから遠いほうがいい
  • 気軽に行ける飲食店が近くにあるといい

このようなやり取りがあると、お客様側の判断基準が「変化」します。

  • 想定していなかったが、考えておくべき項目の抜け漏れが見つかる(例:小学校の学区)
  • 曖昧としていた判断基準が具体化される(例:「落ち着いた場所」をさらに詳しく考える)
  • 優先順位がはっきりする(例:部屋の広さより利便性が大事)

お客様の「判断基準」の揺さぶりかた

判断基準に変化が起これば、お客様は「価格よりも大事なものは何か?」について考え始めます。このプロセスがないと、購買側はどうしても「わかりやすい、当初の基準(だいたいは価格)」で判断しがちです。より良い提案をするには、営業側から「網羅感」「具体感」「優先順位」を問いかけ、お客様の「判断基準」を揺さぶる必要があります。

「値段しか見ないお客様」の解像度を上げていくと、以下のいずれかに集約されます。

  • ①購買経験がほとんどないので判断基準がわからない
  • ②購買経験が豊富すぎて判断基準が固定化されている

その場合、下記の展開で流れが変わることが多いです。

  • ①の場合は特に「具体感→優先順位」
  • ②の場合は特に「網羅感→優先順位」

「値段しか見ないお客様への提案は難しい」と多くの営業は悩みます。その際、商材の良さをアピールするだけでは足りません。そうではなく、お客様の「判断基準」に変化を起こす営業を目指しましょう。弊社の「お客様1万人調査」では、想定予算より高い価格で買ったお客様にその理由を尋ねると「提案の質や内容を重視した」がトップ、そして次が「判断基準の変化」でした。

ヒントは「五感に訴えかける」こと

多くの営業が悩むのは、「お客様が価格以外の要素でどう評価するか」という点です。

人の認識や感覚を変えるのは簡単ではありません。不動産屋さんの例でいうと、内見によってお客様に少し予算オーバーでも良い物件を見せることがあります。その結果、新たな評価軸がお客様に提供されるのです。これは五感に訴えかける手法であり、非常に効果的です。価格だけでなく、お客様の五感に訴え、多角的な評価軸を提供することで価格交渉を超えた付加価値の提案が可能になるのです。

商談において五感に訴えかける重要性について語る際、私はよく「商談体験」を中心に考えます。この考え方は弊社で「お客様1万人調査」を実施した際にも参考にしました。その結果わかったことは、お客様は「価格が安いかどうか」よりも「営業担当の人柄」「スキル」「熱意」といった要素を重視しているということです。

では、どのようにして「商談体験」を豊かにしたらいいのでしょうか?

これには試行錯誤が必要です。普通の商談だけでは、お客様が感動するような五感の体験はなかなか生まれません。

もちろん、雰囲気作りが上手であったり、個性が強烈であるような営業は別です。過去にもあるコンペで、弊社代表の高橋の提案の方が内容自体は評価いただいていたにもかかわらず、営業の「オーラ」によって敗れた経験があります。

「五感」は工夫で作れる

しかし、この「五感で感じる部分」は、実は商談の場で工夫することで作り出せるのです。

例えば、「早くレスポンスをする」という行動が挙げられます。弊社の「お客様1万人調査」でも、最もスコアが高かったのは「レスポンスの早さ」でした。早いレスポンスが良いのは、それがお客様の五感に訴えかけるからです。

また、商談では視覚的な要素も有効です。例えばホワイトボードにお客様との議論内容を明示することで、五感に訴えかけることができます。このような視覚表現は、どのようなお客様でも感じ取れる共通の要素であり、レスポンスの早さと並ぶ重要なポイントです。

多くの営業は商材で差別化や付加価値を見い出そうとしますが、それだけでは不十分な場合が多いです。それに対して商談体験で付加価値を出す方法に注力する営業は少数派であり、お客様から見ても高い評価を受けやすいです。

お客様が「単に価格だけで選ぶのはもったいない」と感じる瞬間を創出するようにしましょう。

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