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2024.09.05

お客様は不満や問題を話したがっている

「深掘り質問」でお客様の真のニーズを理解しよう

お客様の真のニーズを把握するには?

商談ではお客様の真のニーズを把握することが必要です。お客様の真のニーズを把握するには「深掘り質問」が重要です。今回はお客様の真のニーズを把握する「深掘り質問」についてお伝えします。

商談の成功を左右する「深掘り質問」の極意

商談において話すべきはお客様であり、営業はお客様の話を促すことが重要です。理想的な会話の配分はお客様の発言が8割を占めるべきですが、このバランスを実現するためには「深掘り質問」が不可欠です。しかし、適切な深掘り質問をすることは多くの営業にとって困難なことがわかっています。以下に、営業が直面する5つの障壁とそれを乗り越える方法を紹介します。

①不安から話しすぎてしまう

多くの営業が会話の間や沈黙を恐れ、過度に話してしまう傾向にあります。この原因は「不安」にあり、それを乗り越えるためにはロールプレイでの練習と商談での実践が必要です。ロールプレイでの練習では営業が一定時間以上話し過ぎた場合にロールプレイを止めることで、時間感覚を身につけます。商談での実践はいきなり接戦案件でやるのではなく、慣れるまで楽勝案件や惨敗案件でこの体感を磨くようにしましょう。

②深掘りのポイントがわからない

お客様の話からどのポイントを深掘りすべきか迷うことがあります。お客様の台詞に対してどこを掘るべきかがわからないと「いちいち深掘りしていたら商談が前に進まないのでは?」と思いこんでしまいます。その場合、うっすらと「ここは聞いたほうがいいのかな?」と感じていても、その場で聞かないので会話が流れてしまいます。

その解決策としては、背景やきっかけ、急激な変化、理想と現状のギャップなど、具体的な深堀りポイントを事前に把握しておくことが有効です。これにより、会話がスムーズに進み、お客様からの追加情報を引き出すことが可能になります。以下は深堀りポイントの例です。

深掘りポイントの例

  • 背景やきっかけ:「事の発端は〜」
  • 急激な変化:「最近、〜のようになった」
  • 理想と現状のギャップ:「本当はXXしないといけない」
  • 循環構造:「いつもXXが起こっている」
  • 組織内での不一致:「人によって意見が分かれている」
  • 個人的感情:「正直、戸惑っている」

③質問のバリエーション不足

自分が使える深掘り質問の種類が少ないと、会話が単調な一問一答になってしまいます。そのため、質問のバリエーションは広げておきましょう。「と、おっしゃいますと?」「具体的には?」「なぜでしょうか?」「他には?」あたりは基本ですが、「今の話をもう少し詳しく伺えますか?」も便利です。「疑問文を使わない質問」もあります。それは、「相槌による促し」です。「なるほど、そうなんですか」「XXということなんですね」というような相槌を打って、その後に自分の台詞を続けなければお客様はさらに追加で言葉を足してくれます。相槌による深掘りができると、会話が自然なリズムになります。

④深掘りの度合いについての迷い

どこまで深掘りすべきかの判断は難しいものです。多くの営業はお客様の反応を見て早めに話を切り上げがちですが、実際にはもっと深掘りしても問題ない場合が多いです。深掘りが順調にいったとき、その後のシナリオは限られています。

深掘りをした後に想定されるシナリオ

  • お客様が話しているうちに自分で核心に気づく
  • お客様が話しているうちに情報が整理される
  • お客様から「具体的にこう助けてほしい」というリクエストがくる

この3つのどれかを着地点としてイメージしながら深掘りをしていくといいでしょう。

⑤深掘りをした後の対応

「深掘りをした後の対応をどうするか」に不安があるという営業がいます。ここで大切なのは、「深掘りによって対応のハードルが上がる」という誤解を解くことです。深く聞かずに、お客様の理解が浅い状態で提案をする方が危険です。

ただ、深く聞く際のリスクヘッジはしておいたほうが安心です。「全てに応えられるかはわかりませんが、お客様のことをきちんと理解したいので伺いたく…」と枕詞をつけて聞くことでリスクヘッジをすることができます。最後は「伺ったことについて、弊社でお力になれること・なれないことを整理して、提案を持って参ります」と締めましょう。

対話の中でお客様の真のニーズを理解する

当社代表の高橋は最近は大人数の集まりにはあまり参加していませんが、昔の学生時代の友人たちとの飲み会に出席した際、自分の話し方のクセに気づく機会があったようです。高橋は自ら積極的に話をするタイプではありません。性格的に控えめで、あまり社交的ではありません。飲み会では常に話の中心にいる人がいますが、高橋はそのようなコミュニケーション能力を持つ人を羨ましく思っていました。

高橋のアプローチは受け身で、聞き手としての役割を担うことが多いです。仕事では相手の話をじっくり聞いてから、それに対して反応するスタイルを取っています。このスタイルは高橋が25歳の頃から変わらずに続いています。

最近、高橋が学生時代の友人と再会した際、20年前に高橋がその方の勤務する会社に営業をしに行ったことを覚えていてくれたそうです。その時、高橋は分厚い資料を持ち、熱心にプレゼンテーションを行っていたとのことです。若い頃の高橋は情熱を持って積極的に話をしていた時期があったのです。

なぜ話し方のスタイルが変わったのかというと、情熱だけで顧客を納得させることの限界を感じたからです。確かに、情熱に引かれるタイプのお客様もいらっしゃいます。しかし、すべてのお客様がそのタイプではなく、実際には少数派であることを高橋は理解しました。結果として、高橋は聞き手としてお客様のニーズにじっくり耳を傾けるスタイルに変わりました。これは、対話の中で相手の話を深堀りし、真のニーズを理解することが効果的なコミュニケーションには不可欠であるという認識を深めた結果です。

「お客様が何に興味を持っているのか」を知る

お客様との会話がスムーズに進まないと、商品やサービスを購入していただけないことがあります。高橋はかつて、マシンガントークと分厚い資料を駆使して営業をするスタイルを約1年間ほど続けていました。しかし、ある時を境にこのアプローチを完全にやめることにしました。これは、非常に親切なお客様との出来事がきっかけでした。

そのお客様は商談後に親切にもランチに誘ってくれ、その際に高橋の持っていた資料を見直すことを提案してくださったのです。この時、お客様は資料の特定の部分に印をつけ、なにが印象に残ったのか、どの情報が理解しにくかったのかを共有してくださいました。この経験を通じて、資料の大部分が実際には無用だったことに驚いたようです。

この出来事から、高橋は資料作成の目的を再考しました。以前は自分が伝えたい内容を中心に考えていたようですが、実際にはお客様が知りたい情報にフォーカスする必要があると気づいたと言います。しかし、お客様が何について知りたいのかを理解するには、まずはお客様が何に興味を持っているのかを知ることが重要です。これを知るには直接質問をするだけでなく、会話を通じて興味のポイントを探る必要があります。

この気づきを得てから、高橋は資料のボリュームを減らし、意味のない情報はなくすように心掛けるようになりました。また、お客様との会話においてはお客様の興味やニーズに応じて話題を深堀りすることを意識しました。さらに、自分が話しすぎることによってお客様が情報を十分に消化できていないことに気づき、不明点がないかを積極的に尋ねるようにしました。この変化により、商談の成果が明らかに向上したのです。

高橋のこの経験から学べることは、お客様とのコミュニケーションにおいてはただ情報を伝えるだけではなく、お客様が本当に知りたいことに関する理解を深めることが重要だということです。これはお客様との信頼関係を築く上でも非常に重要なことであると思います。

「お客様が主体となって話を進められること」が重要

高橋は一時期、「無口な営業スタイル」を試みていました。このスタイルでは初対面での名刺交換をした後にあえて数秒間の沈黙を保ち、お客様からの反応を待ちます。一見するとリスクが高いように思えるかもしれませんが、このアプローチによりお客様から自然と会話が始まるケースがありました。この経験から、高橋はお客様により多く話してもらうことの重要性を再認識したと言います。しかし、これはすべてのお客様に効果を発揮するわけではなく、特に興味やニーズを持っているお客様に対して効果的であることがわかりました。

この試みから学べるのは、お客様とのコミュニケーションにおいてはこちらの発言は最小限に留め、お客様が主体となって話を進められるように促すことの大切さです。お客様が不満や問題を感じている時には、それを共有したいと思う自然な動機があります。このような状況でお客様に話をしてもらい、その話を基に問題解決へと導く方法を模索することが重要です。

後に高橋はこのアプローチが効果的な営業手法である「SPIN話法」に類似していることを知りました。SPIN話法では以下の4つの観点からの質問を通じて、お客様のニーズを深掘りし、適切な解決策を提案します。

SPIN話法における質問の種類

  • ①現状を聞く質問
  • ②問題点を聞く質問
  • ③その問題点が及ぼしている影響について聞く質問
  • ④問題解決に繋がる質問

この方法を知ったことで、高橋は自分が本能的に取り組んでいたことが実は効果的な営業手法の1つであることを理解したと言います。

この経験を通じて、高橋は営業スタイルを大きく変えました。資料を基にしたマシンガントークから、お客様主体の会話へとシフトし、お客様との関係構築に重点を置くようになりました。お客様との出会いや対話から多くを学び、それが今日の高橋に大きな影響を与えています。これらの経験はお客様と深い信頼関係を築き、ニーズに応じたサービスを提供する上で非常に貴重なものとなっています。

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