営業マネジャーの忙しさを軽減する10の打ち手
今回は営業マネジャーの忙しさを軽減する方法についてお伝えします。
以下は「営業マネジャーの忙しさを軽減する10の打ち手」です。
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確認「係」
メンバーからの報告やタスクが実行されない場合のリマインドは非常にストレスになります。これを軽減するにはチーム内で「確認係」を設定し、確認作業を別のメンバーに担当してもらうのが有効です。例えば、「3月31日の12時までに全員のXXXが完了するようにしてください。それが難しい場合は、当日の10時までに知らせてください」といった形で具体的に依頼をしましょう。
2
コミュニケーションは60点主義
合格基準を高く設定する営業マネジャーは「うちのチームのレベルが低すぎる!」と常にストレスを感じています。もちろん「やるべきことをやらない」ことは見過ごせませんが、スキルや能力に関しては60点レベルで良しとして褒めるようにしましょう。それでも仕事が回るように業務を設計することがポイントです。
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音声でコメント
メンバーの提案内容や営業活動にフィードバックをするとき、全てを文章できちんとわかりやすくコメントすると膨大な時間がかかります。そこに音声で伝えるやり方を混ぜると、スマートフォンの操作だけで行えるためフィードバックの時間を効率化できます。さらに、音声であれば「微妙なニュアンス」も伝わりやすいです。
4
手書き写真で伝達
メンバーにフィードバックをしていると「自分の考えていることがうまく伝わらない」ことにやきもきすることがあります。こちらもテキストでタイプ打ちすると時間がかかる時は手書きでポンチ絵を書き、それに音声で補足をするようにしましょう。それによりニュアンスが伝わりやすくなり、時間も削減できます。
5
不毛な仕事をなくす宣言
「実はそんなに時間をかけなくてもよい」ことに時間を使っていると忙しさの問題は解消されません。それはメンバーも同じです。不毛なことに時間をかけて仕事をした気分になってはいけません。そこで、先にマネジャーが「不毛な仕事をなくす宣言」をし、チームにその方針を行き渡らせるようにしましょう。
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減らすためのミーティング
マネジャーの「ミーティングやろうか」は嫌がられることが多いです。その理由はミーティングによって仕事が増えるからです。そこで、それとは逆のことをやりましょう。「◯◯さんの負担を減らすためのミーティング」をするのです。「やらないこと」を決め、無駄なことに時間をかけさせないよう支援するのです。それによりメンバーの余計な負荷を減らすようにしましょう。
7
絶対的な優先順位
余計な仕事がなくならないのは優先順位がハッキリしていないからです。マネジャーが「優先順位を書いた虎の巻」を用意し、そこに書いてある優先順位を守ってチームを運営するようにしましょう。優先順位を見直すときは虎の巻を書き換えて周知します。優先順位を浸透させるにはドキュメントが鍵を握ります。
8
タイマー5分
ここまでやると、マネジャーにとっての憂鬱は「突発的なトラブル対応」や「緊急ではないけど大事なこと」に絞られてきます。ただ、忙しさに追われると気分の問題でなかなか進みません。そこで「とりあえずタイマーを5分回して手を動かし始める」ことで「気が重たい」を乗り越えましょう。
9
辞書登録
あとはひたすらコツコツ効率化しましょう。仕事をしていて同じ文言を3回打ったなと思ったら辞書登録をします。これは習慣化するのがおすすめです。PCもスマートフォンもどちらも辞書登録を使いこなすことで入力スピードは格段に上がります。
10
ショートカット
1日に3回以上使うアプリや繰り返しアクセスするファイル、Webサイトは「ショートカットキーに覚え込ませる」ことでさらに時間効率が上がります。こうして捻出した時間は「メンバーのため、チームのため」に使い、その分、人と人とのコミュニケーションをよりハートフルに、丁寧に行っていきましょう。
「やらなくてもいい仕事」を減らそう
営業マネジャーの方々と話をしていて「忙しくない」と言う人に出会ったことがないほど、営業マネジャーの方は多忙です。それはなぜかというと、厳しい目標や数字を追いかけながらメンバーをマネジメントしているからです。やるべきことは常に山積みで、時間がいくらあっても足りないというのが多くの営業マネジャーの現状です。
営業マネジャーの忙しさにはいくつかの構造的な問題があります。実はやらなくてもいい仕事や、意味のない業務が沢山あるのです。特に営業チームはお客様とのやり取りや商談が頻繁に発生するため、本来不要な仕事が増えやすいです。
その一例が「報告業務」です。報告を完全に排除することはできませんが、受けた報告に対して本当にフィードバックが必要かと考えると、そうでないことも多いでしょう。
よく「プロアクティブ」と「パッシブ」という言葉が使われますが、メンバーからの報告や連絡、相談に対応する業務は営業マネジャーにとってパッシブな業務と言えるでしょう。メンバーからの連絡だけでなく、経営層や上層部からの要請に対応することもパッシブな業務と言えます。例えば経営層から「来季の目標は高くなるから、しっかり達成してほしい」といった指示が飛んできたり、営業戦略や重要なキャンペーンを現場に展開するよう求められることもあります。そして、結果的に忙しさが増すのです。
しかし、そのようにして発生した業務が本当に必要なのか、常に疑ってみる必要があります。もちろんメンバーからの報告や相談を無視しろということではありませんし、経営からの指示を無視しろということでもありません。重要なのは「それが本当に必要なことなのか」をよく考えることです。
このような状況を改善する鍵を握るのは「プロアクティブ」と「パッシブ」の比率を見直すことです。プロアクティブなコミュニケーションとは誰から言われたわけでもなく、自ら主体的にコミュニケーションを取ることです。例えばメンバーに対して何かを伝えたり、経営層に対して提案をしたりすることです。プロアクティブな姿勢で臨むか、パッシブに対応するかで仕事の成果には大きな差が生まれます。
現在、多くのライフハックや業務効率化ツールが世に溢れていますが、その多くはパッシブな枠内での効率化に焦点を当てています。例えば、「ChatGPTを使ってメールを早く作成する」といったものはその一例です。これはすでに「メールを書かざるを得ない」状況があり、その状況においていかに迅速な対応をするかという話です。しかし、どれだけ効率的にメールを作成できるようになっても、パッシブな状況そのものを解消することにはなりません。
重要なのは「プロアクティブな行動」を増やすこと
そこで重要なのがプロアクティブな行動の比率を可能な限り高めることです。もちろん、100%にすることは現実的には難しいかもしれませんが、50%まで持っていくだけでも大きな変化があります。誰かに言われる前に、自分から動くのです。
プロアクティブに動こうと決意した時点で、まず仕事に追われる状態から抜け出す必要があります。極端な話、「プロアクティブな行動の割合を増やす」という決意をするだけでも、忙しさを減らす効果があります。プロアクティブな行動の比率が上がり、パッシブな対応においても完璧主義にならずに柔軟な対応ができるようになった時、仕事の生産性が飛躍的に向上することを体感できます。
マネジャーに限らずメンバーの方も同様にお客様から何かしらの依頼や問い合わせが来たり、上司から指示を受けたりすることがあります。これらはすべてパッシブな対応です。極論を言えば、パッシブな対応のみで業務をこなしている人は忙しさやストレスから逃れることはできないでしょう。なぜなら、自分で決定権や何かをコントロールする自由度を持てていないからです。仕事というのは次から次へと来るものですから、そのような状況であればどれだけ仕事が早い人であっても忙しさは軽減されないのです。
そこで重要なのがプロアクティブな行動の比率をどうやって増やしていくか、ということです。他人からの指示や依頼に応じるだけでなく、自ら主体的に動いてコミュニケーションを取るというワークスタイルが求められます。例えば、お客様から頻繁に連絡や問い合わせが来て業務に支障が出ている場合、どうやって自分から先手を打ってそのような状況を打開するかを考えることが重要です。
「プロアクティブな行動」で現実を変えよう
お客様から頻繁に電話がかかってくる業界というのがあります。そういった業界で研修を行うと、営業の方々は研修中にも頻繁に電話対応をしています。「すみません」と言いながら電話を取って部屋を出て行き、お客様の対応をするわけです。
しかし、非常に興味深いことに、トップセールスの方々はそのような状況に陥っていません。電話が鳴らないのです。なぜかと尋ねると、「お客様にあらかじめ連絡してありますから」と言うのです。
つまり、彼らはお客様に対しても社内に対しても日頃から大きな信頼を得ており、必要なときにしっかりと先手を打っています。「今日は研修があるので電話には出られません」と事前に伝えておけば、その日は電話がかかってきません。それもプロアクティブな行動の1つです。
休憩時間には他の営業が必死に電話対応をしている中、トップセールスの方々は同僚と情報交換をし、研修の内容を深めているという現実がありました。これはプロアクティブな行動とパッシブな行動の比率が業務に与える影響の一例です。
こうした話をすると、「私の業界はとても忙しく、お客様からも上司からも絶え間なく連絡が来て、会社からもどんどん要求が押し寄せてくるんです」という声が寄せられます。もちろん、業界ごとに特有の事情はありますし、パッシブな業務を完全になくすことはできません。
しかし、先ほどお伝えした業界は数秒以内に電話に出なければ怒鳴り始めるようなお客様がいるような業界です。そのような業界においても、やり方次第で現実を変えることはできるということです。プロアクティブなアプローチを少しずつ取り入れることで、忙しさの質を変えることができるのです。