2024.06.09

ボトムアップのための8つの施策

営業1万人調査では、成功体験や課題についてお聞きしていますが、「目標の達成常連の方」と、「目標がなかなか達成できない方」との回答では、かなり傾向の違いが見られました。

その結果を元に、パフォーマンスのわかれ目になりそうだと感じたポイントについて、「質問力」「価値訴求力」「提案ロジック構築力」「提案行動力」という4つのスキルから2つずつ、計8つの施策をまとめました。

今回は経営者やリーダー、マネジャーなど、組織を見ていらっしゃる方の目線で解説していきます。

準備段階で差がついている

8箇条のうち1番目は「質問してるつもりがただの傾聴?」です。

営業1万人調査の結果でも、多くの方が「丁寧に傾聴しお客さまの言うことを素直に聞こう」「真摯な人柄でいい人であろう」ということを非常に意識されていますが、違いが出るポイントは、きちんと鋭い質問ができるかどうかです。

ここを見極めるためには、予算や決済者、ニーズ、タイミングや競合情報などのいわゆる「BANTCH情報」をはぐらかすお客さまのロープレを行うのが効果的です。マネジャーがお客様役を演じて、対処できるかどうかをチェックすると、「傾聴はできるけれど質問できない方」がはっきりとわかります。

8箇条のうち2番目は「事前準備の不足?」です。

ハイパフォーマーの方の質問力の特徴は、事前準備に基づいて質問していることです。事前準備をチェックするときに、「お客様の会社のホームページは見たか」と聞くと大体は「見ました」と返事が返ってくると思います。

ここで、商談前のメンバーに対して「お客様の直近3ヶ月のホットトピックは何か」「他の会社と違う独自の課題はなにか」と少し突っ込んで聞いてみましょう。

これらの質問は、きちんと調べて考えておかないとなかなか答えられません。事前準備では、この段階まで聞いてきちんと答えが返ってくるかどうかを見ていきましょう。

お客様に提供する価値を見直そう

8箇条のうち3番目は「レスポンスが遅い?」です。

レスポンスに関するお客様の時間軸は、「1日以内に返信が来る」そして、「2日以内に解決される」というものです。タスクが溢れていて、時間の感覚に気づいてないメンバーがいる場合は、それだけで「レスポンスが遅い」とお客様に判断されてしまいます。

そこで、タスクを一覧化してみましょう。タスクが溢れている方は、タスクや時間軸がつかめていなかったり、ボールが中に浮いた状態のまま放置されていることがあります。全てのメンバーに行う必要はありませんが、必要な人に対して介入してあげると良いですね。

8箇条のうち4番目は「情報提供ができていない?」です。

私もつい最近、社内のお役立ち情報がいかに使いやすい状態になっていないかということを痛感し、一通り整理をしました。これは本当に組織に対するインパクトが大きいものです。

お客様に送るお役立ち情報のフォルダを作り、そこにツール資料を格納し、当面は情報提供メールにCCを入れてもらいます。

お客様1万人調査の方での結果から、お役立ち情報を送る際の一番の問題は、「情報が読まれていない」ということでした。まずは、メールの書き方もきちんとチェックする必要がありますね。

必要なものを見極めて時間をかける

8箇条のうち5番目は「提案書に時間かけすぎ?」です。

営業1万人調査によると、目標が達成できていない方ほど丁寧にじっくり資料で勝負しようとするという傾向が明確に表れています。

目標未達者の方はむしろ、資料作成が得意だと回答されていますが、目標達成の常連者は、20個ほどあるスキルのうち「資料作成が得意だ」と回答された方の割合は最も低かったのです。

この結果は少し驚きでした。つまり商談時に資料で勝負することは、かなり危険だということが分かります。若手の方々を見てらっしゃる方は特に、提案書作成時間をオンライン上のカレンダーで見える化して、提案書を書いてる画面を生で見せてもらうのが良いと思います。

私も最近は若手メンバーに対して、パソコンの画面操作を録画してもらっています。この方法で、新しく仕事を始めた人がどんなところで行き詰まってるのかが如実に分かります。提案書を作って仕事してるつもりになっている方に対しては、しっかりとケアする必要があるのです。

8箇条のうち6番目は「提案が表面的な要望しか見てないんじゃないか」です。

こちらも営業1万人調査によると、目標が達成できない方ほど、お客様の個別の要望に一生懸命応えようとします。逆に目標達成されてる方は、その表面的な要望の裏側にある「真にやりたいこと」に焦点を当てるという結果が明確に出ています。

メンバーの提案書を見たときに、個別の要望に応えるカスタマイズ的な記載があれば、「この要望に応える他のオプションは何か」と尋ねてみてください。

表面的な要望にそのまま答える方は、他のオプションが思い浮かばず、言われたことに対してそのまま素直にできるできないを答えようとします。そうすると、提案の工数は膨らみがちです。

商談の全体像を把握できているか

8箇条のうち7番目は「目の前のお客さんを巻き込めていないまま提案活動を進めていないかどうか」です。

当社も工夫をして必ずチェックしています。見積を出してからクロージングしようとすると手遅れなことがあるため、見積を出す前のタイミングできちんと受注決定予定日がわかっているかどうかを確認します。

目の前のお客様をしっかり巻き込めていないと、受注決定予定日が分からないまま商談を進めているということが多々ありますので注意しましょう。

そして8番目は「イレギュラーな状況に弱い」です。

目標の達成度合いに応じて、イレギュラーな状況に対して臨機応変に対応できるかどうか。こちらもはっきりと相関が見られました。

見積を出した後のタイミングで「これから起こって欲しくないことは何か」と聞くと、ハイパーフォマーの方はこの状況をきちんと想定して準備しているため、ぱっと答えが出てきますし、状況に応じてこちらからも追加の手を打てるように準備することができます。目標が達成できない方はこの辺りが手薄になっていることが多いのです。

最後に、少し補足をします。今回紹介した施策は8つもあるのでどれから手つけたら良いか分からないという声もあるかもしれません。

そこで、即効性があるものをピックアップしていくとすれば、まず、ボトルネックをすぐに外せるという理由で、1番、5番、7番です。

危ない要素をすぐに発見しやすい、かつ、意外と多くの会社でパフォーマンスが上がらない方に対して、介入のタイミングが手遅れになってしまうことがよくあります。手遅れにならない早め早めの段階で、きちんとフォローする体制に入りましょう。

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