なぜ「真面目な営業」の成果がでないのか
今回は「目標達成する営業になるための『決定的な難所』」についてお伝えします。
なかなか目標達成できずに苦しんでいる営業の多くは、驚くことに不真面目だったり怠けていたりするケースが少ないということです。
しかし、上司やマネジャーに聞いてみると「彼の姿勢が問題だ」「彼女のスタンスが悪い」といった声が多く聞かれます。
上司やマネジャーの方は特に若手メンバーのお客様への提案活動や営業活動において、「売り手目線」が強い行動が見られた時に営業に取り組む姿勢を問題視されることが多いようです。また、「行動量が増えない」「結果ではなくプロセスにばかり意識を向けている」といった場合にもスタンスが悪いと感じる方がいらっしゃいます。
しかし、弊社の「営業1万人調査」から見えてくる真実は、目標達成できずに苦しんでいる方々は不真面目なために成果が出ないわけではなく、むしろ逆に非常に真面目な傾向があるのです。
「営業1万人調査」から見えてきた具体的な例として、目標未達の営業に強みを尋ねると4分の1以上の方が真面目さや誠実さを自分の強みとして認識していることが明らかになりました。この調査は21の項目から3つの項目を選ぶ方式で実施したものです。その中で目標未達の方の4分の1以上が真面目さや誠実さを選択しているというのは、かなり顕著な傾向を示しているのではないかと考えられます。
カギは「成功のヒント」に気付けるかどうか
では、目標達成する営業になるには真面目さや誠実さを捨てなければならないのでしょうか?
そうではありません。目標達成している営業に聞いても、2割近くの方は真面目さを自分の武器としています。実際にハイパフォーマーの営業の方と話をしても、真面目で誠実な方が多いのです。
この調査結果から、目標達成が難しい方々はある種の「委ねる気持ち」が強いように思われます。
もちろん、お客様に対して誠実に対応し、会社の指示を真剣に遂行することは重要です。そうした姿勢は素晴らしいと言えるでしょう。しかし、ビジネスの世界では、それだけで成果が上がるという保証はありません。
苦しんでいる営業の方たちは、どこかでお客様や上司など、「自分以外の誰かが何とかしてくれる」という期待を抱いているところがあるかもしれません。そこから抜け出せるかどうかというのが決定的なポイントとなります。
「営業1万人調査」の中で「あなたの組織では勝ちパターンがありますか?」という質問に対して、目標未達チームの4割近くが「ありません」と答えました。しかし、冷静に周囲を観察すれば、どんな組織でも成功のヒントは存在するはずです。
その隠れた成功のヒントに目を向けるかどうかが重要です。そのアンテナは、人に委ねる気持ちが強すぎると蓋をされてしまうのではないかと思います。つまり、「誰かが何とかしてくれる」というふうに思っていると、せっかく周囲に転がってるヒントを見過ごしてしまうのです。
一流は真のニーズをつかみ、答えようとする
真面目で誠実な姿勢はもちろん必要ですが、それだけでは「十分ではない」ということを理解する必要があります。大切なのは、「誰かが何とかしてくれる」という考えから抜け出し、自分で何かを掴み取る姿勢です。
人の力を借りることも重要ですが、そのオーナーシップは自分にあるという意識が求められます。ただ待っているだけではなく、積極的に力を借りに行くことが求められるのです。
例えば目標未達の方は、お客様からの要望が1つあった場合はそれに答える、3つあった場合は3つに答える、5つあった場合も5つに答える、という傾向があります。しかし、継続的に目標達成をするハイパフォーマーの方は、お客様の真のニーズをつかみ、それに対して答えようとする傾向があります。重要なのは「目の前に来る要求に応えていればそれでいいというわけではない」ということを理解することです。
お客様は全ての要望を言葉にできないこともあるでしょうし、本当にいい商品であっても、その方が会社に導入するだけの力を持っていないということもあるかもしれません。いかに役職が高くて権限を持っている決裁者の方であっても、意思決定の際に中々決めきれずに悩んでいる方が多いのも事実です。
人は完全ではないからこそ、そこに営業が補うことのできる役割を見出すことができます。委ねる気持ちに身を任せることなく、「自分で何とかするんだ」という意識に転換できるかどうかが目標達成する営業になるための決定的な違いかもしれません。