提案行動力におけるチェックポイント
上記の図は稟議案件やコンペ案件などの重要案件において提案行動力に関する受注までの流れをまとめたものです。
横軸は「時間の流れ」で縦軸は「提案活動単位」を記載しています。
ある会社で30人ほどの方に向けて営業トレーニング研修を行った際に各自過去の案件を持ちよって、図の「提案活動単位」5つの項目に当てはめて自信の営業活動を振り返っていただいた結果、顕著な差が出たのは「お客様とのメール」と「お客様との電話」でした。
「お客様へのメール」と「お客様との電話」を有効接点として商談に進める方と、対面でお会いする商談のみを営業活動としてとらえている方とでは、成績に大きな差があったのです。
お客様との電話やメールを、商談と同じぐらい大事な「お客様との合意や検討前に進める手段」として有効に使っているか、社内打合せを入れるタイミング、デスクワークの時間を確保出来ているかなど、ご自分の営業活動の生産性を上げる上で大事なポイントになるのでぜひ、振り返りの切り口として上記の図をご活用ください。
ではこれらの行動がコンペ案件や稟議案件どう関わってくるかを説明いたします。
コンペ案件でのビハインドスタートからの戦い方
ビハインドからスタートするような案件の場合、前半の価値訴求がとても重要なファクターです。
ただ、多くの営業の方々は苦しい状況のコンペや不利な状態のコンペのときに“提案内容”だけで戦い過ぎている傾向があるように思います。
例えば、既に他社が入り込んでいる施策や案件には、自社よりもお客様に詳しい競合が存在します。
そのような状況でいきなり提案内容だけでひっくり返すのは非常に難易度が高いため、まずお客様から様々な情報を引き出せる機会を得るようにした方が良いと考えます。
その過程でお客様とコミュニケーションが円滑になった時、自社と競合とのギャップをヒアリングし自社のマイナス部分を解消したり、勝てる部分で訴求を強めることがビハインドから案件を攻略することに繋がるでしょう。
稟議案件においての難易度が高い場合の戦い方
次に稟議系の案件の時ですが、営業の方でよく「クライアント側に推進力がないと上手く活動ができない」といった考えをお持ちの方がいらっしゃいます。
しかし、基本的にはこちら側でボールアクションを持ち続ける状態を作り出すことがとても大事なポイントとなります。
仮に、推進力がないお客様でも、こちら側でお客様が最低限の工数対応で社内検討が進められるように検討材料を提供することで、“お客様の推進力”を問わず受注まで進められるようになります。
このように営業側で細かな配慮をおこなうだけでも受注率がかなり変わってきます。
また稟議案件の場合、お客様が多忙で優先順位が上がってしまうと、シャットアウトされたり、うやむやになり温度感が落ちてしまうこともあります。
この場合、図③の部分にある「必ず答えなくても怒られない宿題」が鍵になります。
お客様が継続的に情報収集や検討をしている、あるいは解決されていない課題がある場合、「いつまでに〇〇します」といった温度感ではなく、「社内で確認しお役立ちできそうな情報があればご連絡します」くらいの温度感で、いつでも連絡できる口実を持っておくということです。
そうすると、優先度が高まった段階でご提案に繋げることが可能になります。
10ミニッツ営業で提案行動力を高速回転させる
活動していく中で、ちょっとした電話やメールで商談を前進させることがこのDX化が進んできた世の中で非常に大事な要素となってきています。
ある会社で「10分商談」を数十名の営業チームに展開し、1か月間でどのくらい商談前進率が変化するか計測したところ、個人ごとに「10分商談」の活用率と受注成績が比例した結果が算出されました。
これは最初に説明した商談や対面アポだけでなく、そこに付随するメールや電話のコミュニケーションも営業活動として捉えることが受注率を上げる要因になる証明となりました。
非常にベーシックな部分ですが、細かな配慮や地道な活動を重要なスキルと考えるかどうかで受注率は大きく変わってきます。
ぜひ、冒頭の「提案活動単位」5つの項目を自分に当てはめてみて、ご自身の営業活動を振り返ってみてください。