2024.06.07

お客様 への価値をどう高めていくか

お客様との関係をよりよくするために

「お客様への価値」に関しては以前、「価値訴求力」についてお話をしました。
ただ実際、「価値訴求力の重要性はわかったけれど、実行が難しい」というお声をよくお聞きします。

では具体的に、どのようにお客様への価値を高めていけばいいのでしょうか。

 

今回は、「お客様からまったく価値を感じていただけない、ビハインドの状態」や「お会いしたばかりのお客様で、どのように進めていったらよいのかよくわからない状態」からスタートして、お客様からすごく必要とされる、いわば「相談したいランキング1位」というような求められる存在となるためのプロセスについて、「価値訴求力」という観点からどんな段階や進化があるのかをお話しいたします。

価値訴求のための4パターン

まずスタートの段階で何をするかですが、これには以下の4パターンがあります。


【1】労務提供
【2】情報提供
【3】提案・提言
【4】共感

 

例えば、お客様が悩んでいることやお客様のキャラクターがわかっているなど、何か情報がある場合にはやりようがあると思います。

しかし、まだお客様について何も掴めておらず、かつ自分自身も営業としてキャリアや力があるわけではない、という場合には、価値訴求そのものが難しいのではないか、と思ってしまう方もいると思います。

 

【1】労務提供

そのような場合でもまず初めにできることは、「労務提供」です。
これは、お客様の仕事を肩代わりするということ。

お客様に仕事が発生している以上は、「何かの負担を代わりに負う」ということであれば、相手としても特段の理由がない限り、差し障りのない範囲でやってもらえれば助かることですし、またこちら側としても申し出がしやすいものです。

 
例えば

・資料を代わりに作成する
・何かを調べておく(リサーチ)
・店舗の整理など、物理的なお手伝いをする
・代わりに社内の人の話を聞く

などが挙げられます。
しかし、このような労務提供ばかりやっていると、自分の時間がどんどん使われていってしまいます。

労務提供というのは「自分の時間と交換に相手に価値を提供すること」ですので、自分の時間がどんどん使われてしまうこのステップから次へ進んでいく必要があります。 

そこで大事なのは、「自分だけが持っている固有の情報」に気付くかどうかということです。

労務提供としてお客様の仕事を肩代わりするということは、お客様の直接的な仕事を代わりにやるということですので、当然、競合や他の会社が知り得ないことにタッチする機会があるはずです。

つまり、そこで得られる「自分だけが持っている固有の情報」に気付けるかどうかが重要なのです。

いくつか労務提供の価値訴求を繰り返していくと、だんだんお客様の世界に詳しくなってきます。
そうすると「いまお客様の業界では、こういうことで困っている方が多いんだな」「こういうところが悩ましいポイントなんだな」など、内部のことが分かってきます。

 

【2】情報や人の紹介

そこで今度は「情報や人の紹介」をメインにした価値訴求にシフトしていきます。
すると、自分の時間を大きく使わずに、レバレッジが効いた活動ができます。

手元に情報があれば、それを何社かのお客様に送ることも出来ますし、1回情報の塊を作って、それが電子ファイルの状態で手元にあれば繰り返し使うこともできます。

 
ただし情報というものは、最初に【1】労務提供によってお客様の内情にかなり詳しくなる、という段階を経た時にパンチ力を持つものなので、お客様に対して情報提供という面で価値訴求していくことによって、活動時間に対する提供価値の大きさがかなり大きくなっていきます。

ただ悩ましいことに、情報だけ送っていてもスルーされてしまったり、お客様があまり反応してくださらない事もあり、やはり情報や人の紹介という価値の提供の仕方には限界が出てきます。

 

【3】提案・提言

そこで次に、情報を送ることから一歩踏み込んで「提案・提言」につなげていきます。

例えば「こんな事例がありますよ」「こんなニュースがありましたよ」「これ知っておくと良いですよ」といった情報をお送りするだけでは、お客様がその情報をもとにどう行動したら良いのか、どう意思決定したら良いのかまではタッチができません。

そこを一歩踏み込んで「なので、こういう風にされたらどうですか」「こうされたら上手くいきますよ」と提案や提言を積極的に行なっていきます。
こうすると、何割かのお客様には「確かにそのとおりですね」「そうですね、そうやってみます」と、提供した情報が響いてきます。


そういうお客様が出てくると、「提案・提言」によって価値訴求ができている、という実感が非常に出てきます。

提案・提言というのは、価値訴求のあり方として大変理想的ではあるのですが、いきなりそこにはゆくのは難易度が高いので、【1】労務提供→【2】情報や人の紹介→【3】提案・提言とステップを踏んでいくのです。

 

【4】共感

ただ、このようなことを進めていこうとした時に、人間関係や感情のつながりが全くできていない状態ではうまく進みません。
そこで、ここまでお話しした【1】~【3】のあらゆるプロセスにおいて「共感」が関わってきます。

共感も、最初の段階から発揮できる価値訴求です。

例えば相手と共通点を見つけて盛り上がったり、「ラポール(※)」という言葉もあるように、心の架け橋を掛けることで関係がしっかり作られます。

※ラポールとは
言語学、心理学用語。主に2人の人の間にある相互信頼の関係。親密な信頼関係、心が通い合っている関係。

 

これはお客様との関係のなかで、いついかなる段階でも有効です。
ですので、共感や感情のつながりを作ることによって、この【1】労務提供→【2】情報や人の紹介→【3】提案・提言までの一連のステップがスムーズになります。

「提案・提言」に至るまでの道のり

以前、「価値訴求の4つのタイプ」でも説明しましたが、この4つの中で「提案・提言」が非常にパワフルです。
しかし、いきなりそこにはいけないので、提案や提言に至るまでの道のりが必要です。

 

営業経験があまりなくてお客様に提供できる価値も大きくないという方や、お客様とまだ関係が構築できていなくて何が響くのかわからない、という段階からでもできることを見つけてみてください。 

そしてそこから「提案・提言」につなげていき、更にお客様から必要とされていく、という体験ができるように、ぜひこの「価値訴求のための4パターン」を活かしていただければと思います。

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