「新卒や若手の営業に何から教えたらよいですか?」という質問をよくいただきます。そういうときに私がおすすめしているのは、基本的な業界・商品知識、マナー、PCスキルは前提として、営業の土台を築くうえで大事な「きちんとした議事録が取れる力」を身に付けることです。お客様の言葉をしっかりとキャッチできるかどうかで、成長スピードがぐんと変わってきます。
ヒアリングシートの落とし穴
若手がつまづきがちなポイントとして、
●相手の話を聞かず一方的に話してしまう
●お客様と会話が噛み合わない
●一問一答の尋問コミュニケーション
などがあります。この原因としては、「ヒアリングシート」の存在が大きくあります。
ヒアリングシートは、素人でも成果が出しやすいように聞く項目がリストになっていますよね。聞くべき項目をリスト化しておけば、経験が少なくても聞き漏らしを減らせます。しかし、このシートに依存しすぎると、「こちらが聞きたいこと」だけヒアリングする営業が育ちやすいという落とし穴もあります。
ハイパフォーマー営業は、実際にはヒアリングシートの項目順には聞いていません。お客様ときちんと「会話」をしているのです。
議事録でアンテナを磨く
では、どうやったらお客様と双方向の会話ができる営業に育つのでしょうか? その鍵を握るのが「議事録をきちんと取れる力」です。会話の流れを追いかけ、拾うべき発言をキャッチし、後で意味のかたまりを整理します。そして、情報の重要度や関係性にそって並び替えます。これらを通じて、大事な基礎が培われていきます。
議事録がきちんと取れるようになると、
●商談の着地点がわかる
●お客様にどう話していただいたらよいかがわかる
●商談の中の山場がわかる
●大事な情報と些末な情報の違いがわかる
など、いわゆる「アンテナ」が磨かれていきます。一方的なヒアリングとテンプレ商談から、次のステップに進むきっかけになるのです。