商談に使う資料を「単に説明して終わる」営業と「創造的なディスカッションに展開できる」営業は、何が違うのでしょうか? 前者は「最後にご質問ありませんか?」で静かに終わってしまい、後者は時間を忘れてお互い盛り上がります。差がつく要因は、
①キースライドの存在
②3つの観点
③問の投げ方
という3つのポイントです。
①キースライドの存在
よく、資料を作る際に「キースライドを入れよう」と言われますが、いったい何がキースライドになるかというのは意外と語られていません。そこでおすすめなのは、「お客様の成功」を要素分解することです。例えば、
●成功するために検討すべき論点マップ
●成功するまでに存在する「壁」リスト
●成功するまでのステップ
などを示したスライドがよいと思います。
キースライドがあれば、その場で説明の流れを止めて、双方向のディスカッションに入ることができます。キースライドがないと商談に「山」が作れないので、どうしても、用意してきた資料をつらつらと説明する感じになってしまうのです。特にオンラインでは、受け身の状態になったお客様は集中力が落ちやすいので注意が必要ですね。
②3つの観点
続いて、お客様とディスカッションするために意識しておくべき3つの観点について説明します。書籍『無敗営業』(高橋浩一、日経BP、2019年)の”提案ロジック構築力”ではおなじみの「網羅感」「具体化」「優先順位」のことです。
これらについて、ディスカッションができるために、営業がどのレベルに達しておかないといけないか?を考えましょう。
「網羅感」については、お客様が漏れてしまいがちな点について、営業から「これも考えないといけないのでは」と言えるかどうかということが重要です。「具体化」は、抽象と具体のレベルをいったりきたりして「今ここを話してますよね」と言えるかどうか、「優先順位」は、お客様に対してトレードオフの検討論点を迫れるかどうかがポイントになってきます。
③問いの投げ方
3つの観点が見えたら、次は「問い」を適切に投げることです。問いを投げる際には、
●枕詞や選択肢つきクローズドクエスチョンで、具体的な質問ができる
●お客様が「う〜ん」と考え込んでも、沈黙を恐れず待てる
●お客様から返ってきそうな答えに対して、さらに仮説をぶつけられる
といったポイントが重要です。
お客様とディスカッションするために、ひとりでこの3つを揃えるのは難易度が高いので、チームで取り組むことをおすすめします。キースライドを作れる人は限られていますし、3つの観点はマネジャーからの指導が必要です。問いの投げ方については、ロールプレイで練習しておくといいですよ。