「営業は自信を持って“買ってください”と伝えるべし」とよく言われます。「Ask for order(AFO)」は早すぎても遅すぎてもだめで「最適なタイミング」があるのですが、多くの営業の方はそれを知らないままに提案活動をしています。
そこで今回は、AFOのタイミングを逃さないためにするべき質問について解説します。
AFOのタイミングミス
Ask for order(AFO)のタイミングが早すぎると、「もう少し考えます」と言われてしまいます。お客様からすれば「保留する」のがいちばん楽な選択肢です。そして、こう言われると営業は焦って値引きに走りがちですね。
一方AFOが遅いと、決定的瞬間を逃し、検討はもつれ、これも結果として利益率は下がっていってしまいます。
AFOの前に「必ず作っておくべき状態」
AFOの前に「必ず作っておくべき状態」があります。それは、
(A)競合、保留、内製など、他の選択肢に比べて当社提案が単独1位である
(B)他の選択肢と当社提案が同率1位だが、お客様は「今後、当社が単独1位になる可能性がある」と感じている
のいずれかです。それ以外のときにAFOを試みても保留されやすいので、注意が必要です。
接戦状況を問う質問
AFOするかどうか判断する前に「接戦状況を問う質問」を投げましょう。惨敗案件でAFOしても、お客様は(表情には出さないものの)心の中で苦笑されますし、接戦を勝ちきれないままに「検討しますね」と言われて、そのまま落としてしまうのが何よりも手痛いことです。まずは、接戦から頭1つ抜けるためにできることがあるはずです。
AFOを言える土台作り
戦況は刻々と変わります。接戦で一時的に頭1つ抜けても、油断していると同率1位に戻ってしまうことはよくあります。これは相手方が競合のときだけでなく、保留や内製でも同じこと(社内状況の変化など)です。「接戦から頭1つ抜けたその瞬間」を捉えて、すかさずAFOを言える土台を作りにいくのが望ましいですね。
AFOを言える土台作りとは、「案件がこの瞬間に決まるはず」というタイミングを押さえることです。それは、
●会議の場
●誰かが決裁者に上申する
●決裁者が一人で判断する
などになります。意思決定のタイミングを完璧に押さえたら、段取りを整えたうえで、力強く「買ってください」とAFOをしましょう。
好タイミングのAFOはお客様のためにもなる
お客様が決めきれないときは「認知的不協和」でモヤモヤします。そして、人はモヤモヤに耐えきれないという心の性質があります。自社の提案が頭一つ抜けたタイミングで「買ってください」と自信を持って伝えることは、お客様のためにもなるのです。お客様だって「さっさと決めて、楽になりたい」心理があるからです。
チーム全体で接戦に注目する
AFOのタイミングを逃さず勝率を高めるには、「チーム全体で”接戦”に注目している」ことが必要です。接戦に焦点が当たっていれば、マネジャーはメンバーに「この商談は接戦かどうか」を尋ねることになりますし、メンバーも自然とお客様に接戦状況を質問するようになります。会議では「接戦の振り返り」をこまめに行いたいですね。