2024.06.04

質問力 :「ご連絡します」を信じていいのか 日経ビジネス連動企画

「ご連絡します」を信じていいのか:日経ビジネスオンライン

すぐ決断せずに保留するお客様の心理とは?

提案をした際に、お客様の方から

「考えてみます」
「またこちらからご連絡します」

というセリフを言われる状況は、非常に多いのではないでしょうか。

 

お客様としては、提案を受けてすぐその場では、瞬時に判断や決断ができないため、少し考える時間が欲しいと思っている状況であり、こういったことは営業現場では珍しい状況ではありません。

 

それに対してこちらから、「いやいや待てませんよ」「今すぐこの場でご決断ください」と迫る場合もあるかもしれませんが、たいていの場合は

「では、お待ちしますね。」

と、一旦下がることが多いのではないでしょうか。

 

今回はこのような状況で、すぐ決断せずに保留するお客様の状況、心理はどういうことなのか、深く掘って考えてみたいと思います。

「前向きなのかどうか」を確認しないのは、大きなリスク

お客様の心理状態を考える時、まず大きくふたつの方向があります。
導入に対して、「前向きなのかそうでないのか」ということです。

 

もし前向きでない状態で「ご連絡しますね」というセリフがあったとすれば、連絡を待てば待つほどお客様の熱は冷めていくということになりますよね。

つまりお客様が前向きでない状態にもかかわらず、すぐに下がってしまうと、その時点でほぼチャンスがなくなるということになります。

 

一方で、お客様としては前向きな状態で「ご連絡します」ということをおっしゃっていただいていたとしても、
「すぐに決断できないということは何かが引っかかっているのか?」
「引っかかっているとしたら何なのか?」

ということを特定せずに帰ってしまうと、ここから追加のアクションが取れないということになってしまうため、これも避けたいところです。

 

まずは、「前向きなのかそうでないのか」を確認せずに帰ってしまうということは、大きなリスクであるということをご理解ください。

お客様が前向きであるかを確認するには

お客様が「この場で判断をできません」とおっしゃっている状況で、そのお客様が前向きであるかを確認したいとき、私はよく、次のようにお聞きしています。

「なるほど、わかりました。では、大まかな感覚で構いません。どちらかというとこの提案に対して、買いたいなという方に傾いておられるのか、あるいは、話にならないと感じていて、実は私の前では見せないけれども裏側ではきっぱり断ろうと決めておられるのか、どちらが近いですか?」

 

このような二択で聞くようにしているのです。
実はこれは、少し変わった言い回しになっています。

聞いていることとしては「前向きですか?それとも後ろ向きですか?」ということなのですが、単純に前向きか後ろ向きかということだけを聞くと、ほとんどの方はうまく答えられないと思います。

 

どういう状況にしろ、はっきりと「前向きか後ろ向きか」という二択の中でどちらかを選ぶというのは難しいものです。
そのため先ほどの私の質問は、片方を選びやすい状態にして、まずは様子を見てみるための言い回しになっています。

 

つまり、導入するということに対して「考えても良いかな」という「前向き」の選択肢を少し広めに取っているのです。

一方で、「話になりませんよ。断ることを決めていますよ」という極端な言い回しをすることで、「後ろ向き」の選択肢は狭くなるようになっています。

このような二択になると、例え100%前向きなお客様でなかったとしても、「目の前にいる人に対して、話になりませんよ、とは言いづらいな」という状況になると思います。

 

この状況では、もう片方の「どちらかというと前向きかもしれないな」という方が反応として返ってきやすくなるはずです。
そこで少しでも前向きな反応があったらすかさず「なぜ、そういう風にお答えになってくださったんですか?」とお聞きします。

そうすることで、ポジティブな材料が拾いやすくなってきます。

お客様からいただいた情報を整理した上で次のステップが見えてくる

もし仮に100%前向きでないとしても、多少なりとも魅力的に感じていただいている部分がある場合、これは絶対に拾っておくべき内容ということになります。

それが拾えたら、その魅力的に感じていただいている内容に対して、お客様の頭の中できちんと情報が整理されているかということを確認します。

 

「どういう点については魅力的に感じていただけたのでしょうか?」
「引っかかる点はありますか?」

などと質問を重ねていき、お客様がどこまで情報を整理できているのかを確認しましょう。

 

これらのことができると、お客様の方から

「もう少しこういう情報が欲しい」
「実はこれが引っかかっている」
「実はこれがそもそもわかっていない」

など、追加するべき情報が判明していきます。

 

この辺りをしっかりと掴めると、自分がこれからどういうことを情報として追加しなければならないのかがわかります。

場合によってはすぐに帰らずに、「あと5分ほどよろしいですか?」と追加で説明する方が有効である場面もあるかもしれません。

お客様のセリフをそのまま信じてしまわず、その場で真意を確かめる

「ご連絡します」というお客様のセリフがあったとき、このセリフに隠された心理を探ったり、追加するべき情報を見つけるために質問したり。
このようなことを何もせずに、「ご連絡しますね」で帰ってしまうと、大きなリスクを抱えてしまうということがお解りいただけたでしょうか。

 

「考えてみます」「ご連絡します」というお客様のセリフをそのまま信じてしまわず、その場で真意を確かめるようにしてみましょう。
ご提案の際に試していただければ、何か追加で説明するべきものが見え、成果につながっていくかもしれません。

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