質問力の秘訣:なぜ30秒たつと、値引きしてしまうのか?について
質問力の応用方法の一つについて、日経ビジネスオンラインで執筆させていただいた記事のインサイドストーリーとして、お伝えさせていただきます。
なぜ、30秒たつと値引きしてしまうのか:日経ビジネスオンライン
営業現場で出てくる数あるテーマや課題の中で、“値引き”や“条件交渉”に対して悩んでいる営業の方々が本当に多くいらっしゃると思います。
そこで今回は値下げ交渉について掘り下げてお伝えしたいと思います。
値引きは受注の必須条件なのか
研修や、セミナーの冒頭において「皆様が悩まれている課題は、どのようなものがありますか?」ということについて書き出していただき、内容をグルーピングしていくと、最も多く挙がってくるのは冒頭でお伝えした“値引き”や“条件交渉”ということがほとんどです。
お客様側が多くの情報を手に入れやすいという時代ですので、購入前に様々な会社様の情報と見比べて判断されるということが当たり前になってきています。
そういった中、“値引き”や“条件交渉”というものなしで提案し受注までたどり着くのは難しいと感じられる側面もあるかと思います。
「値引きしないと本当に受注できないのか?」
ということについて考えてみましょう。
例えばある同じ会社の中で、値引きをしないと受注できないと言う営業の方がいる場合、値引きをせずに売れている方は本当にいないのか、あるいは、
同じ商材を扱っていて他社より高い価格で提示して受注を取っている方
はいないのかどうか、ということに目をむけてみてください。
値引きをせずとも受注している営業の方は確かに存在します。
値引きをしないと絶対に売れない、というわけではないのです。
値引きをせずとも買っていただける理由を理解しているか
では、どういう方が、値引きをせずに売れるのかということについて考えてみましょう。
お客様側がある程度値引きを期待しているという側面も時折発生するでしょう。
そのような場合には、「値引かなくても納得して買っていただくための理由」
をお伝えして理解してもらうことが必要になります。
「他の会社が提供していないもの」などはわかりやすい例ですが、そこまで差別化ができていないということもあるでしょう。
では、どんな情報であれば値引かないで受注ができるのかということが大切な考え方になってきます。
私が会社を立ち上げた当初は、どうしても定価だと買っていただけないお客様にやむを得ず値引きするというケースもあり、なんとかこれを打破する策を思案しておりました。
そこで活用したのが「過去に受注したお客様のリスト」です。
受注案件リストを利益率の高い順序で並び替えてみると、上部には定価で買っていただいたお客様のリストが並びます。定価で買っていただいているお客様のリストを眺めて、似た傾向のあるお客様を探し出してグルーピングしてみるのです。
全く躊躇せずスムーズに定価で買ってくださったお客様でも良いのですが、一番良いのは、「迷った末に定価で買ってくださったお客様」です。
このお客様は、何かと何かを比較した中で、定価でもこのサービスを使おうと決めてくださったお客様ということになります。
選んでいただけた理由がわかることが受注への近道
迷ったにもかかわらず定価で買っていただいたという背景には、値引きをせずに受注をしている理由が必ずあるはずなのです。
そこで、「どういうような材料があったら、同じような場面が再現できるのか。」
これを考えてみます。
例えば、お客様が他の会社の営業の方のスピード感に不満を持っていたが、あなたの営業の対応のほうがスピーディーで良かったので決めた、という場合もあることでしょう。
こういうお客様であれば、ご自身の対応の強み部分を磨きあげることで、商品自体を値引かなくとも、受注をいただける可能性が高くなるということが言えるのではないでしょうか。
このように、まずみなさんに考えていただきたいのは、
・受注において値引きは必ず必要だ
・これは、値引きを前提としている商品だ
というようなことを先入観として持っていないかどうかということです。
次に、ご自分がお客様に対してプラスとして作用する提案材料をきちんと手元に持っているかどうか。
もしも、手元の材料がないようであれば、ご自分や会社の過去のリストの
うち、粗利率が高い順番にリストアップし、上位の方々に「なぜ選んでいただけたのか、理由を考えてみる」。
そこからヒントとなる材料を探り、ご自分の提案の際にどのように効果的に利用してアピールするのか、ということを考えて組み立ててみていただくと有効です。
営業の現場において”値引き”がないと受注ができない、と思うことが多い方、ぜひ、ご自分の提案活動に活かしていただけますと幸いです。