「10分電話商談」の7つのコツ
今回は「10分電話商談の7つのコツ」についてお伝えします。
受注率とリードタイムの改善を望む営業の方々へお勧めする「10分電話商談」のコツが7つあります。
1
「打ち合わせ」への固定概念を変える
営業の方もお客様も「打ち合わせ」で進展すると考える方が多いのですが、これを変えることが重要です。以前、お客様との会話で「他社は何日サイクルで提案をブラッシュアップしてくるのですか?」とお伺いした際、「7〜10日」の回答が多かったという事例があります。電話商談を活用することで、この期間を短縮できます。
2
電話でも時間を約束する
お客様と「落ち着いて話せる」時間を設定することが重要です。電話可能な時間を伺い、予約するのがよいでしょう。しかし、予定が入れられてしまうこともあるため、「念のため10〜15分」という前提で事前にメールも送ります。
3
資料を事前に送付する
資料のページ数や量を過剰にしないよう気を付け、電話でスムーズに話を進める工夫が必要です。非対面でも分かりやすくするため、箇条書きではなく、番号を振ると良いでしょう。
4
聞くべきことを事前に決めておく
聞くべき項目は、状況に応じて「感触」「課題の優先順位」「他の方のご意見」「他社状況」「検討に向けた社内の動き」「決定基準」など、事前に確認しておくことが重要です。
5
最後に伝えるべきことを事前に決める
電話では限られたやり取りが主となります。慌ただしさを避け、最後に伝えたいことは予め決めておくとスムーズです。
6
終了後にすぐメールを送る
ハンズフリーでの電話が望ましく、終了後には速やかにメールでメモを送ります。お客様には「動きが速い営業」だと感じていただけるでしょう。
7
リズムとスピードを意識する
重要案件には1~2日のペースで10分の電話商談を重ねましょう。トータルの営業活動時間、上司のレビュー時間、受注確度、リードタイムが大幅に改善されることでしょう。2回目の訪問時には、受注の確度が見える状態に近づいているはずです。
「おとなしい」「口ベタ」は営業に向かないのか
以前、弊社代表の高橋が『「口ベタ」でもなぜか伝わる 東大の話し方』(ダイヤモンド社)という本を出しました。出版した直後、高橋が書店を回るなかで感じたことをお伝えします。
本書を高橋が書いた背景には、「話すことへの苦手意識」というテーマがありました。高橋にとって公共の場で話すことは、何千回と繰り返し行っているので、ある程度スムーズにこなすことができます。しかし、普通の会話になると、かなり控えめにしゃべるように心がけているといいます。
営業の方々は、明るいオーラでコミュニケーションをとる方が多いです。そんな中に入ると、高橋はおとなしいとよく言われますが、これは個性でもあるのです。実は高橋は、雑談や話すことへの苦手意識が強いのです。仕事としてはある程度できるのですが、根本的にはかなり苦手です。
例えば、高橋が妻の親戚との食事会に参加するときには、固まってしまうこともあるといいます。何ともない会話が非常に難しく、ついていけず、割り込むのも申し訳なく感じることが多いそうです。話してもボソボソとしゃべり、黙々とご飯を食べる、そんな感じなのです。
社会人になりたての頃も同じでした。若い人たちがよく参加する「合コン」という飲み会が流行っており、そこでは男女数人ずつが集まり、会社に勤めたばかりの頃に自ら幹事を務めなくてはいけないこともあったようです。しかし、会話が苦手なので、飲み会での場では隅っこに座るタイプだったといいます。まるで地蔵のように黙って座っていることも多かったのです。
こうした苦手意識と向き合い、乗り越えてきた経験から学んだことを、今回の書籍にしたとのことです。
「話さなくてはいけない状況」になって変わったもの
こうした経験から、高橋はどうしようもなく会話が苦手だという自覚が強まりましたが、25歳の時に起業すると、喋らなければならない状況が増えました。毎日、交流会に出かけては名刺交換をし、お客様と一生懸命に喋るように努めました。多くの起業家は、何かを夢中に、ぐわっと喋るタイプだと言えるかもしれませんが、高橋はそれが苦手でした。
創業初期の会社は役員3人でスタートし、社交的な人が営業で、高橋は会計士の試験勉強をしていたので管理担当となりました。しかし、創業すると毎日異なる人たちと喋る必要があり、自分の能力だけではうまくいかないと感じました。
そこで、高橋は新卒の頃のコンサルティング会社での経験や、大学受験などを通して得たスキルを活かすことにしました。「体系的に考える」ということです。
自己紹介やフリートークで相手を惹きつけるのが難しいので、事前にどう喋ったらいいかを試し、練習し、克服してきました。この経験をまとめ、ビジネスの世界での話し方について、前述した書籍として出版することにしたのです。
話し方に一定の自信が持てるようになって得たもの
本書には、会話が苦手な人の助けになれればという高橋の強い願いが込められています。高橋は、極度に緊張せず、気持ちを込めてしっかり話せるようになった時に感じた清々しさがあったといいます。具体的には、話し方に一定の自信が持てるようになった際、初めてお客様と落ち着いて話せる感覚が得られたのです。
自分なりの話し方を見つけられるようになると、高橋から焦りやドキドキ感が消えていきました。もちろん、仕事の場だけではなく、親戚での集まりなどでも、余裕を持って臨むことができるようになっていきました。この成長によって、今では極端な焦りや不安はほとんど感じなくなりました。話し方やトークで無理に動かそうとするのではなく、一対一の人間として真摯に向き合う力を得ることができるようになったのです。
執筆の過程で、この体験をどう表現するかは難しい課題だったようです。しかし、高橋は話すことに対する苦手意識をもつ人に、自分の経験を伝えたいという強い思いで執筆したと言います。
本書を手に取って読んでいただければ、話すことに対する苦手意識が軽減するのではないかと思います。苦手意識が消えた時に高橋が得たものは、単なるテクニックで人を動かすことではなく、安心して人と向き合って話せる力だったのです。
もしご共感いただける方がいれば、ぜひこの本をお手に取っていただければ嬉しいです。みなさんが、安心して人と向き合い、話せる自分を見つける一助になればと願っています。