世の中の営業資料の多くは「当社がどうお役に立てるかをお客様に説明する資料」になっています。これだと、
●どの会社にも同じ内容を出す ⇒テンプレ化して価値が伝わらない
●会社ごとに1つ1つゼロから書く ⇒カスタマイズ工数が膨大
という問題が発生してしまいます。この問題を解決するために必要なのは、営業資料を「お客様と対話するための資料」へシフトすることです。
「お客様と対話するための資料」の例
①共感を形成する資料
②論点を網羅する資料
③構造を明らかにする資料
④発想を刺激する資料
⑤山への登り方を示す資料
これらを使って、お客様と「共に創り出すための対話」をしていきましょう。
①共感を形成する資料
1つ目は、「あるある」とお客様が激しく首を縦に振る「よくあるお悩み」がいくつか書いてある資料です。この「よくあるお悩み」の並べ方は、頻度順に左上から書くことが重要です。お客様が「ああ〜そうそう!!これ全部うちのことが書いてある!」となると、お客様からの発言も活発になりますよ。
②論点を網羅する資料
2つ目は、お悩みを抱えたお客様にとって「何を考えなくてはいけないか」の論点が1枚にギュッと凝縮されている資料です。縦軸・横軸がきちんと整理されていれば、多少ビジーになっても問題ありません。「考えるべきこと・やるべきこと・調べることが、この1枚の中に収まっている」という状態が理想です。
③構造を明らかにする資料
3つ目は、構造がわかりやすく示されている資料です。資料に論点が網羅されているだけでは先に進めないことがあります。いったい何が問題なのか?核心を知るためには「構造」(因果関係や対比)がはっきりとわかる必要があるのです。そういった循環図やロジックが、ビジーにならないようすっきりと示された資料は、お客様との対話を促してくれます。
④発想を刺激する資料
4つ目は、ユニークな事例や斬新なコンセプト、本質的かつ新しいキーワードなど、お客様が「今まで見たことがなかった」ような切り口からの情報が投入された資料です。「ああ、その手があったのか!」という発見を生むことができれば、行き詰まっていた状況を打開するシナリオが生まれますね。
⑤山への登り方を示す資料
5つ目は、ゴールまでのルートを教えてくれる資料です。お客様の発想を刺激するだけでは、「でもうちは特殊だし……」などと「できない理由」が出てきます。そこで「世の中でよく言われるのはAルートだが、実はBルートの方が、きちんと山頂にたどり着ける」といった実現までの順序を示すのです。「この7つのステップで登りましょう」という資料があれば、お客様と一緒に進んでいけるはずです。
例として挙げた①〜⑤の資料は、順番にお客様に「説明」するだけでは商談の場もあたたまりません。お客様との「対話」によって、反応が引き出され、会話が活性化し、お互いの思考が共鳴するのです。
営業資料をこうして使っていくと、毎回ゼロから資料を作らずとも、お客様との商談の質が大きく向上していきますよ。