「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」だけでは、営業が聞きたいことに対して、求める答えがお客様から返ってこないときがあります。 そこで、「条件付きオープンクエスチョン」と「選択肢付きクローズドクエスチョン」の2つの特性質問を使うと、質問力のレベルを大きく引き上げられます。
オープンクエスチョンと条件付きオープンクエスチョン
●オープンクエスチョン
「御社の課題は何ですか?」 これだと、お客様は(問われている範囲が広すぎるし、どこから答えてよいものやら…)と戸惑うことがあります。なぜなら答えの範囲があまりにも広すぎると、逆に答えにくいからです。 そんなときは、「どんな観点で聞いているのか」を表す”条件”を枕詞としてつけて聞くといいですね。
●条件つきオープンクエスチョン
(1)「コロナ対応以外では、どんなことが課題ですか?」
(2)「上司がよくおっしゃるのは、どんな課題ですか?」
(3)「緊急度が高いのは、どんな課題ですか?」
(4)「弊社サービスに関係なくて構いませんので、どんな課題が社内で言われているか教えていただけませんか?」
条件つきオープンクエスチョンは、お客様に「考える観点」を明示してくれます。理由は、これによって、どんな方向から回答をいただきたいかがはっきりするからです。
さらにお客様に「ちゃんと考えて質問する営業である」ことが伝わるので、付随して他の質問にも答えていただきやすくなるというメリットもあります。
クローズドクエスチョンと条件付きクローズドクエスチョン
●クローズドクエスチョン
「御社の課題は、新規の売上アップということで合っていますか?」
これはお客様からYes/Noで答えがいただけるので、その後に話をどう進めるかはっきりさせやすいというメリットがあります。しかし、この聞き方の難点は、「微妙に、YesでもNoでもない」という場合、お客様が回答に困ってしまうことですね。
●選択肢付きクローズドクエスチョン
AorBの選択肢の作り方が肝となります。
(1)「新規の売上を増やすうえで、リードの新規獲得と過去に接点のあるお客様の掘り起こし、どちらを重視されていますか?
(2)「新規の売上を増やすうえで、新しいお客様層の開拓と、新商品の拡販とでは、どちらの方が大事ですか?」
クローズドクエスチョンの選択肢を考えるトレーニング
選択肢付きクローズドクエスチョンの「選択肢がすぐ思いつきません」という相談を受けることがあります。そんな時には、こんなトレーニングが有効です。
●クローズドクエスチョンで聞きたいところを、ぐっとこらえて二択で聞く習慣をつける
●商談前に、お客様に関する仮説を沢山ノートに書き出しておき、商談後に検証する癖をつける
選択肢がうまく出てこない人に聞いてみると、過去に「商談では小さなYesを積み重ねろ」と教わっていることが多いです。これが間違っているとは断言しませんが、「お客様を”型”にはめようとする思考回路」が身についてしまいやすいので、中級者になったら手放してもよいのではないでしょうか。
結局、条件付きオープンクエスチョンも選択肢付きクローズドクエスチョンも、数ある技術の1つに過ぎません。本当に大事なのは、お客様を真に理解すること。質問力の不足が原因でお客様への理解が浅くなると、結果的にお客様へ迷惑がかかってしまいます。そうならないためには、質問力を高めていくといいですね。