お客様に「御社の課題は何ですか?」と聞いても具体的な答えがすぐ返ってこないことは多いもの。また「御社の課題はこれで合っていますか?」と聞いても微妙な表情をされることがあります。お悩みや課題を言語化できるお客様は少ないため、 お客様の具体的な思考を支援する「特定質問」にもコツがあります。
(1)条件付きオープンクエスチョン
「どんな条件で」「何について聞くか」を組み合わせます。
①「どんな条件で聞くか」
●時間(期間や時期)
●人(人物や関係者)
●テーマ(領域やトピック)
②「何について聞くか」
●やりたいことや求めていること
●課題や悩み
●思っていることや考えていること
〈条件付きオープンクエスチョンの例〉
●1年後に目指したい状態はどんなものですか?
●(上司である)部長がよくおっしゃる課題は何ですか?
●特に新規のお客様を増やす上で、やりたいことは何ですか?
●費用面を除いて考えると、弊社の提案についてはどう思われますか?
(2)選択肢付きクローズドクエスチョン
「選択肢を提示して選んでいただく」形だとお客様は答えやすいので、使い慣れるとかなり強力です。慣れないうちのコツは、なるべく選択肢を2つにすること。AorBの切り口で聞けばシンプルになります。さらに、数字を使って聞くのもおすすめです(典型的なのは、金額について聞く場合)。
コンペで他社の価格を聞くときに「他社様はいくらですか?」と聞いても「それはちょっと…」となりがちです。そんな時は「他社様の価格、100万円と300万円ではどちらに近いですか?」と、クローズドクエスチョンを用いるとお客様が答えやすくなります。また、予算額の確認も「御社のご予算として、上限ラインは500万円と1000万円とではどちらに近いですか?」のように聞けばいいでしょう。
(3)「数字を使った質問」を応用する
「数字を使った質問」を応用すると、テストクロージングでこんな聞き方もできます。
●「当社の提案に対してやってみたいという思いは50%ぐらいですか?それとも80%くらいですか?」
●「当社のご提案と他社様とを比べたとき、当社と他社に対する評価は、5:5なのか7:3なのかでいうと、どちらに近いですか?」
(4)例示を使った選択肢付きクローズドクエスチョン
お客様の課題について、例示を使った選択肢付きクローズドクエスチョンという質問方法もあります。「他社様ではこういうのがありますが……」にくっつけた例を挙げます。
●「他社様では、業務効率化に関して、『デジタルへの移行』や『業務プロセス自体の見直し』といった課題をよくお伺いしますが、御社についてはいかがですか?」
オープンクエスチョンだと「どのレベルの課題を問われているのか」でお客様が戸惑ってしまうことがあります。 また、クローズドクエスチョンで「御社の課題はこれですか?」と聞かれても、「少し違うんだよなあ……」と思われてしまったら、その場が少し気まずくなります。 そこで「特定質問」が使えると便利です。