いわゆるコンサルティングやアウトソーシングのサービスでは、お客様が「内製」と迷う接戦が存在します。
「外部のプロに依頼したほうがよい理由」を熱弁しても、3つの落とし穴のどれかにハマると失注につながりやすいので要注意です。
今回は、この3つの落とし穴について考えてみましょう。
①「外部に依頼したほうが良い理由」を作る際の落とし穴
外部のプロに頼む理由になりうるものとして、以下のことが挙げられます。
●時間を買う
●知見を買う
●プロと一緒に仕事することによる体験や人の成長を買う
●確率を買う
これらについて、「どのぐらい(自社でやる場合と)差をつけないといけないか」を知っておく必要があります。
「時間を買う」
スピードが1.5〜2倍しか変わらないなら自社でやるメリットの方が上回りやすいです。
最低でも3倍以上は差をつけたいです。
「知見を買う」
お客様は知らないけれど、プロが知っているノウハウがあります。
お客様が想像するリスク要因が10だとすると、100は欲しいところです。
そして、その100の乗り越え方を明示できるかどうかが鍵になります。
「体験や人の成長を買う」
一緒に仕事をする楽しさや成長を予感できるかどうか。
提案前のディスカッションの段階でワクワク感がないと厳しいでしょう。
「確率を買う」
失敗したらお金はいただきません、もしくは、成功するまでやりますと言えるかどうか。
そしてその根拠となる実績や経験はあるか。
このあたりが問われます。
「外部に依頼したほうが良い理由」を作る際の落とし穴は、「外部に依頼したほうが良い理由までは言えても、自社でやる場合に比べて差をつけきれていない」ということになります。
②自社でやる理由がつかみきれないという落とし穴
自社でやりたいというお客様は
●コストの節約
●ノウハウを自社に蓄積したい
とおっしゃることが多いと思います。
これについては、外注のメリットが上回ればいいという話ですが、実は、これ以外に重要な要素があります。
それは、「よくわからなくて不安だから、まずは自社でやってみて感触を知りたい」というものです。
これに対して、いきなり「外部のプロに任せた方が安心ですよ!」と説得しても空振りに終わる場合が多いでしょう。
「感触を知りたい」というプロセスに対しては、提案段階でクリアしておくことが必要ですが、これが盲点になりやすいです。
ちょっとだけやってみて、やはり自社だと難しい、外部のプロと一緒にやらないと厳しい、と感じられるような体験プロセスが必要です。
これをデモやテストとして提案前の段階に組み込んでおくと、お客様もすっきり気持ちよく依頼できます。
もちろん、デモやテストの過程で「依頼したくなる体験」を感じられることが重要です。
③「外部への依頼に感じる抵抗」を払拭しきれない落とし穴
理屈では「自社でやるより外部のプロに依頼したほうがよい」が成り立っていても、感情としての内製志向というものがあります。
ここを、ロジックや合理性で無理に押してもなかなか前に進みません。
では、「外注への感情的な抵抗」をどう捉えたらよいのでしょうか。
「どうしても外部に依頼したくないというDNAが会社に根付いている」というケースがあります。
特に日本の製造業はこういった傾向があるようです。
ただ、実はもう一つ、見落としがちな要素があります。
それは、「過去に外注したときのほろ苦い失敗体験」です。
過去に「外部のプロに依頼したけれどもうまくいかなかった」場合、多くのお客様は「コンサルの口車に乗せられて頼んでみたけれども、当初の期待値を満たすものではなかった(損した)」と感じています。
一度このような体験をしたお客様は、次から、外注に対してかなり慎重になります。
感情要因からくる「内製による失注」を防ぐためには、過去の外注体験を、初期段階でヒアリングしておくと良いです。
外注経験がある場合、何がよかったか/よくなかったか。
その際、「よくなかった」ことにまつわる全ての要素をヒアリングし、「それらの逆ですよ(今回は大丈夫!)」と示す必要があります。
当社では、インサイドセールスの電話ヒアリングや、フィールドセールスの初回訪問で、必ず「過去の外注経験」を聞くようにしています。
そこでの満足体験・不満体験をしっかりつかんでおくことが、後の受注率に影響してくるからです。
過去の不満体験をかなり詳しく聞けていると、受注率が大きく上がります。
まとめると
①外部に依頼したほうが良い理由を作るときは、内製でやる場合に比べた「差」の大きさ
②内製でやる理由をつかんでひっくり返すためには、「よくわからなくて不安」を払拭
③外部への依頼に感じる抵抗を乗り越えるためには、「過去に外注したときの失敗体験」を把握
がポイントになります。